相続について
相続が発生した場合、問題となるのが遺産の分割です。
相続人が複数いる場合は、被相続人の財産は共同相続人の共有となりますが、この共有状態
のものを各相続人に振り分けることが遺産分割です。
遺産分割には指定分割と協議分割があります。
指定分割とは遺言で分割方法を定めることです。
協議分割とは共同相続人全員の協議で分割することで、遺言がない場合に行います。
ただ、遺言があっても共同相続人全員の協議で遺言と異なる合意が成立すれば協議が優先します。
遺産分割協議書
遺産分割が終わり、各相続人の取得できる財産が確定しましたら、後日のトラブル予防のため、
遺産分割協議書を作成し、証拠として残しておくべきでしょう。また、財産の名義変更のために
遺産分割協議書を法務局や銀行に提出する必要があります。
協議で取り決めた内容を記入し、相続人全員が署名・捺印(実印)します。相続登記を行う場合は
分割協議書に実印を捺印した上、全員の印鑑証明書を添付します。
財産の名義変更
不動産 |
法務局 |
所有権移転の登記申請書、被相続人および相続人の戸籍謄本
遺産分割協議書、住民票、印鑑証明証、委任状 |
預金 |
銀行 |
依頼書、被相続人および相続人の戸籍謄本、通帳
遺産分割協議書、印鑑証明証 |

遺言
自分の死後に相続をめぐるトラブルがおきないようにしたいときなどには、遺言が有効です。
遺言の形式には3種類あります。
1.自筆証書遺言
全文、日付および氏名を自分で手書きをし、これに押印することで成立します。
一番簡便ですが、紛失・偽造・隠匿などの危険性があり、内容が不完全でトラブルが起きる可能性
があります。
2.公正証書遺言
公証役場で証人2人立会のもと、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口述し、それを公証人が筆記した
もので、遺言者、証人、公証人が署名押印し、原本を公証役場が保管します。
公証人が作成することで内容が明確で証拠能力が高く、安全確実です。偽造・紛失などの危険もあり
ません。ただし、費用として数万円必要です。
3.秘密証書遺言
遺言者が遺言書に署名押印した後、遺言書を封書に封じ、同じ印章で封印し、証人の立会の下、公証人
の前で本人が自分の遺言書であること、住所、氏名を申述し、公証人が遺言者の申述および日付を封書
に記載し、遺言者、証人、公証人がそれぞれ署名押印します。
内容を秘密にできますが、遺言の存在を秘密にできません。
相続発生後、遺言書の保管者または発見した相続人は、これを家庭裁判所に提出して検認を受けなけ
ればなりません。
公正証書遺言は公証役場に保管されることから検認の手続きは不要です。

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