テレビゲーム用タイマー
これは、99年の1月に某雑誌に掲載されたウッキーの記事を再編集したものです。
初めて投稿したので思い出深い作品です。 初めて原稿料をいただきました。
図と表はpdfファイルになっていますので、acrobat reader をインストールしてご覧ください。 図の番号をクリックすると大きな図表が開きます。
1.製作の動機
我が家の子供はみんなゲームが大好きで、注意しないと2時間でも3時間でもゲームで遊んでいます。
それが原因かどうかわかりませんが、最近視力も落ちてきたようだし、少しでも屋外で遊ぶようになればと思いプレイ時間を制限するタイマを制作することにしました。
ウッキーにとっては十何年かぶりに手がける工作なので、計画通りに完成するかどうか不安でしたが、無事出来上がりましたので紹介させていただきます。
2.主な機能
このタイマの機能は単純で、例えばゲーム開始後50分でアラームが鳴り始め、開始後60分で電源を強制的に切ってしまいます。
時間設定はアラームも電源断もそれぞれ1分から99分まで任意に設定でき、ゲーム開始後の時間を2桁でデジタル表示します。
いきなり電源断にしなかったのは、せっかく攻略したゲームをセーブしておくために余裕が必要だろうと思ったからです。
また、我が家のゲーム機はスーパーファミコン(SFC)とプレイステーション(PS)なので、その両方に使えるようにしましたが、他のゲーム機や電気機器にも簡単な修正で応用できるでしょう。
3.回路の説明
第1図は回路の全体接続図です。
SFC用のACアダプタを分解して、タイマ基板へ供給しているのでタイマ専用の電源は必要ありません。
基本的に第1図の波線の部分をケースに収める形になりますが、第2図の様にすることもできます。
タイマ基板の回路図は第3図の通りです。
簡単に動作を説明しますと、まずタイマの基本となる発振はNE555Pで行います。 このICは外付けの抵抗とコンデンサにより発振周波数を簡単に決められる重宝な石で、第4図の式で周波数を計算できます。
今回はR1を12.9kΩ、R2を20kΩ、Cを0.1μFとして約273Hzで発振させましたが、時間の微調整が出来るようにR1を4.7kΩの固定抵抗と10kΩの半固定抵抗に分けて構成しました。
あまり正確さを追求したものではないのですが、もし完成後に時間がずれていたら、この半固定抵抗で調整します。
さて発振周波数をMC14020Bで1/2倍に分周していくと、結局3ピンは2の14乗分の1になり1分周期のパルスが出力されるようになります。
なお、12ピンに接続したLEDは製作過程で動作を確認しながら工作できるようにしようと思って付けただけなので、機能上は無くてもかまいません。
MC14518Bはバイナリカウンタで、入力されたパルスを数えて2進化10進数にして出力してくれます。
例えば21個パルスが入ったとすると10の桁は2で1の桁は1ですから、3〜6ピンの出力が0010、11〜14ピンの出力が0001となります。 第2図でリセット信号と書いてある部分がありますが、これは電源投入とともに瞬時正のパルスを入れて、ICを初期化(リセット)しています。
さて次にカウンタの出力を3つに分岐します。
一つはそのままLEDドライバのMC14511Bを通して2桁の7セグメント表示器(SL−2227)へ送り、ゲーム開始からの経過時間をデジタル表示します。
それからダイオードを通してDIPスイッチへいっている部分ですが、これはアラームと電源断の時間を設定する部分で同じ回路がアラーム用と電源断用のために2つあります。
その動作を説明すると、DIPスイッチの下流(図でいうとDIPスイッチの下のライン)は初期状態ではLoに落ちていますが、MC14518Bの出力がDIPスイッチの設定と同じになると出力がHiに変化します。
アラームの回路は、このHi信号をMC14001Bで構成したNORゲートのフリッププロップに入力します。
すると第5図の通り、フリップフロップの4ピンの出力(電源投入以降ずっとHiのまま)が初めてLoへ反転し、NORは2Hzのパルスを出し始め、圧電ブザーを駆動します。
電源断の回路についてもアラーム回路と同じように、DIPスイッチの下流が設定時間以降Hiになります。 すると、トランジスタのベース電位が上昇してOff状態になり、リレーが非励磁になって、ゲーム機への電源が供給されなくなります。
蛇足ですが、MC14518BはBCDカウンタですから、DIPスイッチはBCDで設定します。たとえば50分なら、3〜6ピンが0101で11〜14ピンが0000ですね。
4.部品について
パーツは第1表の通りです。
同等品ならどこのメーカのものでもかまいませんし、特殊仕様品が必要なものもありません。
ウッキーはほとんどの部品を通販で入手しました。
圧電ブザーはフジ製の発信回路(3.5kHz)を内蔵したものを使ったのですが、もし発振回路付きでは無いものを使う場合は別途発信回路を構成してやる必要がありますので注意して下さい。 そのままでは音が出ません。
次に7セグメント表示器はカソードコモンのものを選びました。
リレーは制御する電流が小さいので、小型で省電力型のものを選定しました。
また、ウッキーの作品では手持ちのパーツを流用したので、抵抗は1/2Wのものを使ったりしましたが、全て1/4Wのもので十分です。
組み立て上、特殊な部分は特にありませんが、SFCの電源アダプタからのリード線は大変細いので、切ってしまわないよう注意して下さい。
5.あとがき
ウッキーは工具箱に残っていたユニバーサル基盤を使い、考えを進めながら組み立てていったので、大変煩雑な配線になってしまいましたが、組立後の動作は良好ですし、十分実用に耐えています。
また、ケースはいただきもののお弁当箱を流用したので、穴開けなどの工作も楽だし、コストもかかりませんでした。