ほ場整備直後にはまず播種しましょう

 新造畦畔が一気に出来上がるほ場整備では、のり面緑化工法の吹き付け法が最適です。
 ごく一部に表層土壌ごと滑り落ちるなどして、発芽数が不足する以外は、ほぼ安定しています。は種翌年の被覆のための目標発芽数は、だいたい1平方メートルあたり20株です。播種後三年目の被覆であれば、平方メートルあたり10株もあれば、必ず繁茂する力をもっています。
1  必要資材
 下表は、2000年5月に播種した大津市伊香立北部土地改良区で、バケツと柄杓を使って打ち水の要領で播く方式を採用したときの資材量です。なお、混和水量は畦畔1平方メートル当たりわずかに1リットルでした。タンク車では畦畔1平方メートルあたり4リットルもの水量で均一に吹き付けます。しかし、伊香立北部では、土木工事に精通した事務局長がいて、みんなで播く方が早いと考え、バケツで運ぶ手間を節減する水量を1リットルとしました。混和液は、まるで山かけとろろのようで、とても均一には播けませんが、うまくしたもので、発芽までの約20日間で雨によって飛び散り、結果として均一に発芽します。
 種子量は、滑り落ちなどを考慮に入れ、余裕をみて平方メートルあたり5グラム量としました。なお種子1グラムで約1,100粒を超え、5グラムで6,500粒を超えます。目標とする発芽、生長株数は平方メートルあたり10〜20株ですから、いかに多くの播種量かおわかりでしょう。表土が滑り落ちれば、いかな播種量でも落ちることは同じです。なお播種量は、試験の結果、約半量の3グラムでも5グラムと当初から全く遜色がありませんでした。現場では2.5グラムではしゅされています。資材費のほとんどが種子代ですので、コスト削減も合わせて、平方メートル当たり2.5グラムは種をお勧めします。
 なお畦畔面積は、斜面の面積で、真上からの面積ではありません。

資材名

使用量g/平方メートル

価格
/kg

平方メートル価格

備考

種子「センチピードグラス」

2.55.0

8,00012,000

2060

播播種翌年夏100%被覆の目安量 2.5g/平方メートルで十分です    品種についてはココをクリックしてください

養生材(古紙再生パルプ)

50

50

2.5

のり(高粘性高分子化合物)

1.5

1,000

1.5

製品によって粘土が違うので適宜量を加減します

肥料(化成肥料)

20

90

1.8

(発芽後施用でも良い)

 合  計

2666

価格は、業者や流通経路により様々で目安

 2 必要な道具類
 バケツ、柄杓、混和水槽や桶、混和器具(棒、攪拌機、発電機)、運搬・移動用軽トラック。
 画像では、200リットルの水槽二基を軽トラに積んで、交互に攪拌し、軽トラ一台あたり20人程度の出役で、一気には種しています。この能率は、一日約1万平方メートルの畦畔をは種できます。
 吹きつけ業者に委託することも可能ですが、地権者自らがは種することで、後々の管理が熱心になるようです。ほ場整備組合が音頭をとって一気には種するか、個々人で大きめの桶で攪拌しては種するケースもあります。みんながセンチピードグラスに期待を掛けて、種を播くことから始めましょう。

3 播種時期
  4月中旬から梅雨入り前までが適期です。梅雨の降雨と温度で発芽させ、夏の日照りを乗り越えさせます。種子のカタログには、7月末が種限界とされていますが、空梅雨の年には、事実上の8月〜9月播きとなって越冬できません。
  参考に右のグラフは、2002年のセンチピードグラスは種後の6月〜9月の志賀町の降水量です。この年は7月20日から9月5日までの47日間ほとんど無降雨で、2000年からこれまてで一番の日照りの夏でした。この年の9月3日のセンチピードグラスの画像はココをクリック。
この年は気をもみましたがセンチピードグラスは強かった
4 は種畦畔の除草
 ほ場整備が前年夏以降に仕上がるなどして、一旦雑草が生え、種をこぼしたり、冬施工ですぐにセンチピードグラスをは種できても、畦畔造成土壌に雑草種子が混ざっている場合などでは、播種前にすでに雑草が生え始めていることがあります。この場合には、センチピードグラス播種前に一度除草剤で枯らし、刈り払うなどの処理をした方が、センチピードグラスの初期生育に少しでもプラスになります。除草処理をしても、雑草は生えてきますが、全く処理をしないよりは、初期の競合が軽減されます。除草剤は、雑草にのみ効くもので、土壌表面に種子発芽阻害処理層を作らない剤としましょう。
5 混和液を作る
  水槽に水を入れ、養生材のパルプを荒く砕くなどしてから、攪拌して溶かし、次いで化学合成のりと種子、肥料を均一になるように振り入れて混ぜます。なお肥料は、発芽後に別途散布しても良いです。
6 播きかた
  のりとパルプで「山かけとろろ」のように播きづらい混和液となりますが、柄杓で出来るだけ均一に散るように播きます。少々固まってまけますが、発芽までの雨で飛ばされたり流れたりして、結果的に均一になります。
柄杓で撒いた後がクッキリ でもこの後の雨で均一になります

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