伝統的な健康食品として知られる梅干し。最近の研究で胃がんのもとになるピロリ菌の活動を抑え、動脈硬化を防げる可能性もあることがわかってきた。独特の酸味には疲労回復や食欲増進の効果も期待される。
大学などとの共同研究で、梅干しに胃がんなど病気予防に役立つ効果が期待出来ることがわかってきた。胃がんや胃かいようの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌の活動を抑える効果があると考えられる。
成分分析が専門の先生によると「梅干しの中に含まれている抗酸化物質が効果のカギを握る」という。ピロリ菌が泳ぎ回っている液体にこの物質をごく少量(0.05%)溶かすとほとんど動きが止まる。「梅干しを一日一、二個食べればピロリ菌の活動を抑える効果が期待できる」とのこと。
医大では、人間の体内でも同様の効果があるかどうか調べるため、がんセンターと共同で約千三百人の胃の状態を検査した。その結果、梅干しの食習慣のある人ほど冑が健康で、ピロリ菌の感染度合いも低かった。
さらに血管細胞を使った実験で、梅の果汁成分に動脈硬化につながる血管細胞の異常増殖を防ぐ効果があることも発見した。
梅干しの効能は平安中期の医学書「医心方(いしんほう)」にも記載がある。戦国時代に食あたりなどを防ぐ携行品として珍重され、江戸時代に庶民の□に入るようになり「梅はその日の難のがれ」「梅は三毒を断つ」といった言い伝えとともに広まった。
梅干しが食べ物を腐りにくくするのは、独特の酸っぱさの源である「クエン酸」が細菌の増殖を防ぐから。クエン酸はエネルギーの生産を助け、疲労回復にも役立つことが知られている。
ただ毎日食べ続けると塩分が気になる。梅干しの大きさや塩分濃度にもよるが、塩分8〜10%の普及品で一個平均1グラムの塩を含む。厚生労働省は塩分摂取量を一日10グラム以下にするよう推奨しており、梅干しの塩分は無視できない。梅干しを水にさらして塩抜きをする手もあるが、せっかくの風味が薄れ、有効成分も流れ出てしまう。
食事のカウンセリングなどを手がける管理栄養士さんは「高血圧や腎臓病など塩分制限が必要な人を除いて、一日一、二個ならそれほど気にする必要はない。梅干しが食卓に上れば、和食が中心になって野菜などバランスのとれた内容になる効果もある」と指摘する。
どうしても塩分を避けた方がいい人には、青梅の汁をじっくり煮詰めて作る『梅肉工キス』をお勧めする。梅肉エキスが腹痛などに効果があるとして常備している家庭もある。梅干しの有効成分をほとんど含み、長時間加熱することで血液をサラサラにする「ムメフラール」と呼ぶ成分が生成する利点もあるという。
「スプーンの先に少しつけるくらいの量(1グラム)をはちみつ入りの湯やジュースで割り、毎日飲んで効果を実感してほしい」と言われている。
ピロリ菌のニュース(1)ピロリ菌を抑え疲労回復
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