MCP解説ページ

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ALT(ALTITUDE)ウインドウ


@セレクトした高度が100FT単位で表示される。セレクトした高度はPFDのSELECTED MCP ALTITUDEおよびSELECTED MCP ALTITUDE BUGにも表示される。表示されている高度はアルティチュードアラート(高度警報)とレベルオフの為の基準高度となる。ALTウインドウにセットした高度に接近すると、当該高度をキャプチャーすべくAFDSはピッチコマンドバーに指示を出す。FLCHモード、V/Sモードで上昇/降下中にALTウインドウにセットした高度をキャプチャーすると、ALTモードに変わりレベルオフする。VNAVモードで上昇/降下中にALTウインドウにセットした高度をキャプチャーすると、当該高度においてwpt高度制限が存在しなくFMC CRZ ALTでもない時、VNAV ALTモードに変わりレベルオフする。当該高度においてwpt高度制限が存在する時、もしくは当該高度がFMC CRZ ALTである時、VNAV PTHモードに変わりレベルオフする。

A表示範囲は0〜50000FTである。

B電力が最初に供給された時は10000(FT)が表示される。

C本HPではALTウインドウにセットされた高度の事をMCP ALTと呼んでいる。

  アルティチュードアラート  
 (アルチアラート)
高度警報の事。ALTウインドウにセットした高度(MCP ALT)の900FT手前の地点に差しかかると、PFDのSELECTED ALTITUDEおよびCURRENT ALTITUDEの周りに白色の枠が表示され、MCP ALTに接近している事を知らせてくれる。MCP ALTまで300FTの地点に差しかかると、アンバー色の太枠が消える。万一MCP ALTに到達してもレベルオフしない場合、MCP ALTから300FT以上逸脱した時点で再びPFDのSELECTED ALTITUDEおよびCURRENT ALTITUDEの周りにアンバー色の枠が表示され、マスター・コーションライトが点灯し、オーラルアラートが1秒間鳴る。この時、マスター・ウォーニング/コーション・リセットスイッチをプッシュするか、ALTウインドウに別の高度をセットする事でアルティチュードアラートをリセットする事が出来る。アルティチュードアラートは、ギアをダウンしフラップを着陸位置(25°もしくは30°)にセットした時、もしくはグライドスロープをキャプチャーした時にインヒビットされる仕組みになっている。
          
(左画像)4000FTへ向けて降下中。PFDのSELECTED ALTITUDEおよびCURRENT ALTITUDEの周りに白色の枠が表示される。
(右画像)MCP ALT4000FTを過ぎてなおも降下中。SELECTED ALTITUDEおよびCURRENT ALTITUDEの周りにアンバー色の枠が表示され、マスター・コーションライトが点灯する。またオーラルアラートが鳴り、プライマリーEICASに>ALTITUDE ALERTコーションメッセージが表示される。


ALTセレクター


左右に捻る

【PS1操作】マウス:ポインターをセレクター周辺に持っていき、左or右クリック。

ALTウインドウおよびPFDのSELECTED MCP ALTITUDEおよびSELECTED MCP ALTITUDE BUGに高度をセットする。

プッシュ

【PS1操作】マウス:ポインターをセレクター上に持っていき、左or右クリック。

ALT INTV(アルティチュード・インターベンション)として機能する。

@VNAVによる上昇/降下時、wpt高度制限がある場合は機体の高度とMCP ALT間にある次のwpt高度制限が削除される。

AVNAVによる上昇中、wpt高度制限がなくMCP ALTにFMC CRZ ALTより高い高度がセットされていると、FMC CRZ ALTがMCP ALTの値に変更される。

BVNAVによる巡航中、MCP ALTにFMC CRZ ALTと異なる高度がセットされているとFMC CRZ ALTがMCP ALTの値に変更し、A/Pがエンゲージされておれば当該高度へ向けて上昇/降下する。

CVNAVによる巡航中、T/D地点から50NM以内にありALTウインドウにFMC CRZ ALTよりも低い高度がセットされていればDES NOW(ディセント・ナウ)状態となり、A/Pがエンゲージされておれば当該高度へ向けて降下を開始する。通常の降下に比べて手前の地点から降下する為、アーリー・ディセントと呼ばれる。アーリー・ディセントの際のイニシャル・ディセントレートは-1200FPMであるが、パイロットがマニュアリーで推力を調整する事により降下率を変える事が出来る。

《ALT INTV》

ALT INTVには次の機能がある。ALT INTVはVNAVをエンゲージしている時、ALTセレクターをプッシュする事により行なわれる。

@VNAVで上昇/降下時、管制からある高度でのレベルオフが指示された時にALTウインドウに当該高度をセットすると、当該高度においてレベルオフするようAFDSはコマンドする。
●当該高度がFMC CRZ ALTでなく且つwpt高度制限が存在しない高度である時、当該高度をキャプチャーするとVNAV ALTモードにチェンジする。キャプチャーしたのちは、ALTウインドウに別の高度をセットしてもALTセレクターをプッシュしない限り上昇/降下する事はない。管制から高度制限を解除された時は、ALTウインドウに新たに許可された高度をセットしALTセレクターをプッシュする事によりALT INTVが行なわれ、VNAV SPDモードにチェンジしてMCP ALTへ向けて上昇/降下する。
●当該高度がFMC CRZ ALTであるかwpt高度制限が存在する高度である時、当該高度をキャプチャーするとVNAV PTHモードにチェンジする。キャプチャーしたのちは、ALTウインドウに別の高度をセットしてもALTセレクターをプッシュしない限り上昇/降下する事はない。当該高度がwpt高度制限の存在する高度である時、ALTウインドウに当該高度よりも高い高度をセット(上昇時)しておくか当該高度よりも低い高度をセット(降下時)しておくと、当該wptを通過すると自動的にVNAV SPDモードにチェンジしてMCP ALTへ向けて上昇/降下する。この場合はSPD INTVを行なう必要はない。当該wptを通過する前に管制から高度制限を解除された時は、ALTウインドウに新たに許可された高度をセットしALTセレクターをプッシュする事によりALT INTVが行なわれ、VNAV SPDモードにチェンジしてMCP ALTへ向けて上昇/降下する。逆に管制から当該wptを通過してもそのままレベルオフしておくように指示された場合は、ALTウインドウに当該高度をセットしたままにしておくと当該wptを通過すると同時にVNAV PTHモードからVNAV ALTモードにチェンジし、レベルオフを続ける。管制から高度制限を解除された時は、ALTウインドウに新たに許可された高度をセットしALTセレクターをプッシュする事によりALT INTVが行なわれ、VNAV SPDモードにチェンジしてMCP ALTへ向けて上昇/降下する。

*但しいずれの場合でも、新しい高度をALTウインドウにセットしALT INTVを試みる時、VNAVのモードと矛盾する値が入力されているとAFDSは当該高度においてレベルオフを続けるようコマンドする。
例えばVNAVが上昇モード(離陸してから巡航高度に到達するまでの間:つまりCDUのVNAVキーをプッシュした時にCLBページが表示されている間)の時にある中間高度でレベルオフし、ALTウインドウに現在の高度よりも低い高度をセットしてALTセレクターをプッシュすると、ALT INTV操作は受け付けず、VNAV ALTモードのままレベルオフを続ける。VNAVが降下モード(T/D地点を過ぎてからE/D:End of Descend地点に到達するまでの間:つまりCDUのVNAVキーをプッシュした時にDESページが表示されている間)の時はこの逆で、ALTウインドウに現在の高度よりも高い高度をセットしてALTセレクターをプッシュすると、ALT INTV操作は受け付けずVNAV ALTモードのままレベルオフを続ける。
これはALT INTVを行なう時だけでなく、他のピッチモードからVNAVモードをセレクトする時も同様で、例えば離陸後6000FTをALTモードで水平飛行しており、ALTウインドウに3000をセットしてVNAVスイッチをプッシュすると、VNAVモードはエンゲージするが当該高度においてレベルオフしたままとなる。

AVNAVで上昇/降下中、現在の高度とMCP ALTとの間にwpt高度制限が存在する時、ALTセレクターをプッシュすると次のwpt高度制限が削除される。wpt高度制限が複数存在する時、ALTセレクターをプッシュする度に更に次のwpt高度制限が削除されていく。但しFMC CRZ ALT上に存在するwptの高度制限は勿論削除する事は出来ない。

BVNAVで上昇中、ALTウインドウにFMC CRZ ALTよりも高い高度をセットしている時、現在の高度とFMC CRZ ALTとの間にwpt高度制限が存在していなければ、ALTセレクターをプッシュする事によりALT INTVが行なわれ、FMC CRZ ALTがALTウインドウにセットされた高度に自動的にチェンジする。

CVNAVで巡航中、クルーズクライム(巡航中により高い高度へ向けて上昇する事)やクルーズディセント(巡航中に低い高度へ向けて降下する事)をALT INTVにより行なう事が出来る。
巡航中、ALTウインドウに現在よりも高い高度をセットしALTセレクターをプッシュするとALT INTVが行なわれ、FMC CRZ ALTがALTウインドウにセットされた新しい高度へ自動的に変化し、VNAV SPDモードにチェンジしてクルーズクライムが開始される。この時、CDUにVNAVページが表示されているとCRZ CLBページが表示される。
また巡航中、T/D地点よりも50マイル以上手前にいる時、ALTウインドウに現在よりも低い高度をセットしALTセレクターをプッシュするとALT INTVが行なわれ、FMC CRZ ALTがALTウインドウにセットされた新しい高度へ自動的に変化し、VNAV SPDモードにチェンジしてクルーズディセントが開始される。この時、CDUにVNAVページが表示されているとCRZ DESページが表示される。クルーズディセントの際、A/TがエンゲージされているとA/TモードはTHRモードとなり、毎分1200FTの降下率となるようスロットルレバーがコントロールされる。またFDはターゲットスピード(FMC CRZ SPD)を維持するようコマンドする。このあとA/Tモードは自動的にHOLDモードに変わり、パイロットがスロットルレバーをマニュアリーで操作する事により降下率を変える事が出来る。

DアーリーディセントをALT INTVにより行なう事が出来る。巡航中、T/D地点の手前50マイル以内にいる時、ALTウインドウに現在よりも低い高度をセットしALTセレクターをプッシュするとALT INTVが行なわれ、アーリーディセントが開始される。VNAVのモードがVNAV SPDにチェンジし、A/TがエンゲージされているとA/TモードはTHRモードとなり、毎分1200FTの降下率となるようスロットルレバーがコントロールされる。またFDはターゲットスピード(FMC CRZ SPD)を維持するようコマンドする。このあとA/Tモードは自動的にHOLDモードに変わり、パイロットがスロットルレバーをマニュアリーで操作する事により降下率を変える事が出来る。クルーズディセントと同じように降下するのであるが、両者の違いは『クルーズディセントはVNAVモードがCRZモードであり、アーリーディセントはDESモードである』という事である。アーリーディセントの際はVNAV SPDモードで降下していくが、途中でVNAVパスが接近するとVNAVパスをキャプチャーしVNAV PTHモードとなる。VNAVがDESモードに入るとNDにVDI(Vertical Deviation Indicator)が表示され、VNAVパスと自機との位置関係を表示してくれるので、VDIを参考にしながら降下する事が出来る。


ALT HOLDスイッチ


【PS1操作】マウス:ポインターをスイッチ上に持っていき、左or右クリック。

プッシュ

【インテグラルライトバー点灯】

@ピッチモードとしてALTモードがエンゲージし、PFDのピッチ・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でALTと表示される。A/TアームスイッチをARMにしておれば、A/TはSPDモードでエンゲージする。

AAFDSはALTウインドウにセットされた高度に関係なく、ALT HOLDスイッチがプッシュされた時の高度を維持するようピッチコマンドバーに指示を出す。

BFLCHモードまたはV/Sモードを使用して上昇/降下中にMCP ALTをキャプチャーすると、ALTモードがエンゲージして当該高度でレベルオフする。この時、ALT HOLDスイッチ内蔵のインテグラルライトバーが自動的に点灯する。

LOC(LOCALIZER)スイッチ


【PS1操作】マウス:ポインターをスイッチ上に持っていき、左or右クリック

プッシュ

【インテグラルライトバー点灯】


グライドスロープ(G/S)が設置されておらず、もしくは故障・整備により運用されておらずローカライザー(LOC)のみでアプローチする時やILSサークリングアプローチ(途中までILSで進入し、滑走路を視認したところで左右いずれかにブレークして反対側の滑走路へ向けて有視界進入する方式の事)を行なう時に使用するロールモードである。ピッチモードとしてV/Sモードを併用する事が多い。LOCモードは、進入管制からLOCアプローチを許可された時点でアームさせる。
また通常のILSアプローチにおいてはAPPモードを使用するが、ローカライザーをグライドスロープよりも先にキャプチャーさせる為、最初はLOCスイッチをプッシュしてLOCをキャプチャーしてからAPPスイッチをプッシュするようパイロットに指導しているエアラインもある。これは擬似グライドスロープ電波(正規の電波ではなく、電波の乱反射などで生じた偽物のグライドスロープ電波)を捉えて降下する事のないよう安全面を考えての措置である。

@ロールモードとしてLOCモードがアーム、ディスアーム、エンゲージ、ディスエンゲージする。

Aローカライザー・キャプチャー(ローカライザー電波を捕捉する事)前はLOCモードがアームし、PFDのロール・フライトモード・アナウンシエーターに白色でLOCと表示される。インバウンド・フロントコースをキャプチャーしトラッキングするべく待機している。ローカライザーのキャプチャー・ポイントはレンジとインターセプト・アングルによって変わる。ローカライザーは、インターセプト・トラックアングル(ローカライザー電波の中心と交差する角度)がローカライザー・コースの左右60°ずつ以内であればキャプチャー出来る。

BローカライザーをキャプチャーするとLOCモードがエンゲージし、PFDのロール・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でLOCと表示される。

Cローカライザー・キャプチャー前であれば、アームされていたLOCモードは以下の場合にディスアームする。
・LOCスイッチを再度プッシュする
・現在エンゲージしているロールモード以外のロールモード(LNAV、HDG SEL、HDG HOLDのいずれか)をセレクトする
・フラップを1°以上下げている時、TO/GAスイッチをプッシュする

Dローカライザー・キャプチャー後であれば、エンゲージされていたLOCモードは以下の場合にディスエンゲージする。
・LNAVスイッチ、HDGセレクトスイッチ、HDG HOLDスイッチのいずれかをプッシュしてLNAV、HDG SEL、HDG HOLDのいずれかをセレクトする
・フラップを1°以上下げている時、TO/GAスイッチをプッシュする
・A/Pを使用中であればA/Pをディスエンゲージし、機長席側および副操縦士席側両方のFDスイッチをOFFにする(*PS1では副操縦士席側のFDスイッチは機能しておらず、機長席側と副操縦士席側のスイッチの位置は同期しているものとして扱われる)
・A/Pを使用していないがFDを使用していれば、機長席側および副操縦士席側両方のFDスイッチをOFFにする

APP(APPROACH)スイッチ


【PS1操作】マウス:ポインターをスイッチ上に持っていき、左or右クリック。

プッシュ

【インテグラルライトバー点灯】


通常のILSアプローチを行なう際に使用するもの。APPモード(LOC&GSモードの総称)は、進入管制からILSアプローチを許可された時点でアームさせる。A/Pをエンゲージしている時、APPモードをプッシュすると他の2つのCMDスイッチにもインテグラルライトバーが点灯するが、AFDSステータス・ディスプレー(PFDの水平儀上に緑色の文字でAFDSの現況が表示される)はLAND3にならずCMDのままである。CMDスイッチは3つとも点いているのであたかも3つ全てのA/Pがエンゲージしているかのように感じてしまうが、実際はこの時点ではシングル・オートパイロットのままであり、ELEC SYS(電気系統)の独立やラダーのオートコントロールはこの時点では行なわれない。実際にLAND3がエンゲージされるのは1500FTまで降下した時である。シングル・オートパイロットからトリプル・オートパイロットへの変化は、AFDSステータス・ディスプレーにより把握する事が出来る。

@ロールモードとしてLOCモードが、ピッチモードとしてG/Sモードがアーム、ディスアーム、エンゲージ、ディスエンゲージする。

Aローカライザーおよびグライドスロープをキャプチャーする前はLOCモードおよびG/Sモードの各々がアームし、PFDのロール&ピッチ・フライトモード・アナウンシエーターに白色でそれぞれLOC、G/Sと表示される。

Bローカライザーおよびグライドスロープのいずれでも先にキャプチャーする事が出来る。ローカライザーは、インターセプト・トラックアングルが左右60°ずつ以内であればキャプチャー出来る。またグライドスロープは、インターセプト・トラックアングルが左右40°ずつ以内であればキャプチャー出来る。

CローカライザーをキャプチャーするとLOCモードがエンゲージし、PFDのロール・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でLOCと表示される。グライドスロープをキャプチャーするとG/Sモードがエンゲージし、PFDのピッチ・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でG/Sと表示される。

DAFDSはLOCモードでローカライザーをキャプチャーしトラッキングする一方、G/Sモードでグライドスロープをキャプチャーする。

Eローカライザー・キャプチャー前であれば、アームされていたAPPモードは以下の場合にディスアームする。
・APPスイッチを再度プッシュする
・フラップを1°以上下げている時、TO/GAスイッチをプッシュする

PS1ではHDG SELモードで飛行中にAPPスイッチをプッシュしてAPPモードをアーム
させている時、LNAVスイッチをプッシュしてエンゲージするとAPPモードがディスアー
ムされてしまう。これは実機の-400の特性なのかPS1のバグなのか現時点ではわ
からない。


F以下の場合、APPモードはディスエンゲージする。
・ローカライザーをキャプチャーしLOCモードがエンゲージされているが、グライドスロープをキャプチャーしておらずG/Sモードがアームされたままの時……LNAVモード以外の他のロールモードをセレクトする
・グライドスロープをキャプチャーしG/Sモードがエンゲージされているが、ローカライザーをキャプチャーしておらずLOCモードがアームされたままの時……VNAVモード以外の他のピッチモードをセレクトする
・ローカライザーおよびグライドスロープをキャプチャー後は、TO/GAスイッチをプッシュするか、全てのA/PおよびFDをOFFにする

LOCモードおよびAPPモードについては、ミステリアスなAPPモードのページを参照して頂きたい。


CMD(COMMAND)スイッチ

【PS1操作】マウス:ポインターをスイッチ上に持っていき、左or右クリック。

プッシュ

【インテグラルライトバー点灯】

@CMDスイッチは、オートパイロットのコマンドモードをエンゲージさせるスイッチである。CMDスイッチはL CMD、C CMD、R CMDの3つに分かれており、APPモードをアームもしくはエンゲージしている時以外はいずれか1つのCMDのみを作動させる事が出来る。つまり通常の飛行に際してはシングル・オートパイロットであり、ラダーコントロールは行なわれない。シングルA/Pがエンゲージしている時、AFDSステータス・ディスプレー(水平儀の上にADFSの状態が表示される)にはCMDと表示される。
通常のシングルA/PではC CMD(センター・コマンド)を使用するエアラインが多いが、エアラインによっては左席のパイロットがPF(パイロット・フライング:操縦者)の場合はL CMDを、右席のパイロットがPFの場合はR CMDを使用するよう定めている所もある。
L CMDはFCC(Flight Control Computer:操縦系統を制御する装置) Lによりコントロールされ、FCC LはACバス3から電力が供給される。またL CMDはHYD SYS3から油圧が供給される。C CMDはFCC Cによりコントロールされ、FCC CはACバス1から電力が供給される。またC CMDはHYD SYS1から油圧が供給される。R CMDはFCC Rによりコントロールされ、FCC RはACバス2から電力が供給される。またR CMDはHYD SYS2から油圧が供給される。

Aシングル・オートパイロットにより飛行中、APPモードをアームもしくはエンゲージすると、残りの2つのCMDスイッチ内蔵インテグラルライトバーも点灯し、3つ全てのCMDスイッチのインテグラルライトバーが点灯する事になる。但し残りの2つのCMDに関しては1500FT AGLまではアーム状態であり、1500FT AGL以下となったところで初めてエンゲージされてトリプル・オートパイロットとなる。トリプル・オートパイロットがエンゲージされている時、ラダーコントロールも行なわれる。トリプルA/Pがエンゲージしている時、AFDSステータス・ディスプレーにはLAND3と表示される。

B全てのオートパイロットをディスエンゲージしており、機長席側および副操縦士席側のFDスイッチをOFFにしている時、いずれか1つのCMDをエンゲージするとAFDSはピッチモードがV/S、ロールモードがHDG HOLDモードで作動する。但しバンク角が6度以上の時、ロールモードはATTモードとなり、その時点でのバンク角維持するようA/Pはコマンドする。

C全てのオートパイロットをディスエンゲージしており、機長席側もしくは副操縦士席側のFDスイッチをONにしている時、いずれか1つのCMDをエンゲージするとAFDSの各モードはそれまでエンゲージされたモードが引き続きエンゲージされる(例えば全てのオートパイロットをディスエンゲージしており、機長席側もしくは副操縦士席側のFDスイッチをONにしておりAFDSのピッチモードはALTモード、ロールモードはHDG HOLDモードでマニュアルコントロールしている時、いずれかのCMDをエンゲージするとALTモードおよびHDG HOLDモードで自動操縦がエンゲージされる)。つまりFDとA/Pのモードは常に同一であるという事だ。

D【エアライン・オプション/例:United Airline】L CMDをエンゲージした時、機長席側のFDが消える。またR CMDをエンゲージした時、副操縦士席側のFDが消える(*PS1では副操縦士席側のPFDは表示されないので、このオプションを選択してR CMDをエンゲージしてもPS1コクピット内PFDのFDは消えない)。下の画像は、United Airlinesを選択してL CMDをエンゲージさせた時のものである。機長席側のPFDにFDが表示されていない事がわかる。


オートパイロット・ディスエンゲージ・バー


リフトアップ

250FT以上であればCMDスイッチをプッシュする事により自動操縦をエンゲージする事が可能となる。この状態が通常の位置である。

プッシュダウン(アンバー色の横線が見える)

自動操縦を使用していれば自動操縦が解除され、以後自動操縦のエンゲージが出来なくなる。自動操縦を使用していない時、以後自動操縦のエンゲージが出来なくなる。