MCP解説ページ

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HDG(HEADING)ウインドウ

@セレクトしたヘディング(機首方位)が常時表示される。セレクトしたヘディングはHDGウインドウに表示されると共に、PFDのヘディングバグおよびヘディング・ディスプレー、NDのヘディングバグによって表わされる。

ALOCスイッチもしくはAPPスイッチがプッシュされておりロールモードとしてLOCモードがアームされている場合、ローカライザーをキャプチャーしてLOCモードがエンゲージされると、HDGウインドウに表示される数値が自動的にローカライザー・フロント・コースへと変わる。

B電源が最初に供給された時は000が表示される。

HDGセレクター(内側のダイヤル)


左右に捻る

【PS1操作】マウス:ポインターをセレクター右側の部分(『BANK LIMIT』の文字周辺)に持っていき、左or右クリック。

希望するヘディングをセットする。セットしたヘディングはHDGウインドウとPFDのヘディング・ディスプレーに数字で表示されると共に、PFDおよびNDのヘディングバグによって確認する事が出来る。。ロールモードとしてHDG SELモードがエンゲージされている時、HDGセレクターによりセレクトしたヘディングへ向けて旋回するようAFDSはロールコマンドバーに指示を出す。この時のバンク角はバンクリミット・セレクターにより制限される。
HDGウインドウはHDG SELモードをエンゲージしていない時にも常時表示されるのだが、パイロットはHDG SELモードをエンゲージしていない時(例えばLNAVモードを使用している時)にもHDGセレクターを操作してHDGウインドウに現在の機首方位をセットする習慣がある。これは何故かと言うと、“FMCによるオペレーションが行なわれていても、パイロットが常にリードをとるのだ”という意識を持つ為であったり、万一緊急事態が発生(急減圧が発生)した場合にHDG SELモードへ移行して速やかに航空路から離脱出来るようにする為であるそうだ。一見ムダな操作のようであるが、この操作によりウインド・コレクション・アングル(WCA:偏流角)にも意識が行く−つまり風の現況を把握する事が出来る−という利点もある。パイロットはあらゆるデータをあらゆる手段を使って収集し、それをフライトに活かすという作業を続けている。これが出来るか出来ないかによって、オペレーションに差が出ると言われる。

バンクリミット・セレクター(外側のダイヤル)


左右に捻る

【PS1操作】マウス:ポインターをセレクター左側の部分(『AUTO』の文字周辺)に持っていき、左or右クリック。

ロールモードとしてHDG SELモードがエンゲージされている時、AFDSはバンクリミット・セレクターによりセットされたバンクリミットに基づきバンク角を決定し、ロールコマンドバーに指示を出す。

AUTO

TASにより15〜25°の間でバンクリミットが変化する。TASが332ノット以下の時、バンクリミットは25°であり、382ノット以上になると15°となる。但しフラップアップの状態で速度がV2+90ノット以下になった時、またはいずれかのエンジンがアウト(停止している事)になっている時、リミットは15°となる。また電波高度200FT以下の時にはリミットは8°となるが、現実問題として200FT以下の低空をHDG SELモードで飛行する事はまずないであろう。

5,10,15,20,25

速度およびフラップの状況に拘らず、バンクリミットはバンクリミット・セレクターによりセレクトされた値となる。

HDGセレクトスイッチ(ダイヤル上部)


プッシュ

【PS1操作】マウス:ポインターをセレクター上(『SEL』の文字周辺)に持っていき、左or右クリック。


@ロールモードとしてHDG SELモードがエンゲージし、PFDのロール・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でHDG SELと表示される。HDGセレクトスイッチには他のモードのように内部にインテグラルライト・バーが備わっていない為、エンゲージしているかどうかはロール・フライトモード・アナウンシエーターで確認しないといけない。

AAFDSはHDGセレクターによりセレクトされたヘディングへ向けて旋回しその方位を維持するようロールコマンドバーに指示を出す。この時バンクリミットはバンクリミット・セレクターにより制限される。

B以下の場合、HDG SELモードはディスエンゲージする。

・HDG HOLDもしくはLNAVモードをエンゲージする
・LNAVモードをアームしており、キャプチャーする
・ローカライザーをキャプチャーする

HDG HOLDスイッチ

【PS1操作】マウス:ポインターをスイッチ上に持っていき、左or右クリック。

プッシュ

【インテグラルライト・バー点灯】

@ロールモードとしてHDG HOLDモードがエンゲージし、PFDのロール・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でHDG HOLDと表示される。

Aバンク角0°で飛行中にHDG HOLDモードをエンゲージすると、その瞬間のヘディングを維持するようAFDSはロールコマンドバーに指示を出す。

B旋回中にHDG HOLDモードをエンゲージするとバンク角を0°にするようAFDSはロールコマンドバーに指示を出し、バンク角が0°になるとその時点でのヘディングを維持するよう指示を出す。

C飛行中、機長席側および副操縦士席側両方のFDスイッチがOFFで、なおかつA/Pをエンゲージしていない時、機長席側もしくは/および副操縦士席側のFDスイッチをONにするかA/Pをエンゲージすると、その時のバンク角が5°以下であればロールモードとしてHDG HOLDモード、ピッチモードとしてV/Sモードがエンゲージされ、HDG HOLDスイッチおよびV/Sスイッチ内蔵のインテグラルライト・バーが点灯する。
*PS1においては機長席側のFDのみがアクティブとなっており、副操縦士席側のFDのスイッチ・ポジションは機長席側のFDのスイッチ・ポジションと同じ位置にあるものとして扱われる。

D以下の場合、HDG HOLDモードはディスエンゲージする。

・HDG SELもしくはLNAVモードをエンゲージする
・LNAVモードをアームしており、キャプチャーする
・ローカライザーをキャプチャーする

V/S(VERTICAL SPEED)ウインドウ

@セレクトしたバーチカルスピード(毎分何フィートの割合で上昇/降下しているかを示すもの)が100FT単位で表示される。

A表示範囲は-8000〜6000FPM(フィート/分)である。

BV/Sモードをエンゲージしていない時、V/Sウインドウはブランクのままである。V/SスイッチをプッシュしてV/SモードをエンゲージするとV/Sウインドウがオープンして、V/Sスイッチをプッシュした時のバーチカル・スピードが100FT単位で表示される。

Cセレクトしたバーチカルスピードは、PFDのバーチカルスピード・バグによっても表わされる。

V/Sセレクター


上下に捻る

【PS1操作】マウス:ポインターをセレクター上に持っていき、左or右クリック。

V/Sウインドウにバーチカルスピードをセットする。V/SスイッチをプッシュしてV/SモードをエンゲージしてからでないとV/Sセレクターを動かす事は出来ない。

V/Sスイッチ


【PS1操作】マウス:ポインターをスイッチ上に持っていき、左or右クリック。

プッシュ

【インテグラルライト・バー点灯】


@ピッチモードとしてV/Sモードがエンゲージし、PFDのピッチ・フライトモード・アナウンシエーターに緑色でV/Sと表示される。

AV/Sウインドウに現時点でのバーチカルスピードが100FT単位で表示される。

BA/TアームスイッチがARMであれば、A/TはSPDモードでエンゲージする。つまりV/Sモードは、V/Sウインドウにセットしたバーチカルスピードを維持しつつIAS/MACHウインドウにセットした速度で上昇/降下するモードである。

CV/Sモードで上昇/降下中にMCP ALTをキャプチャーすると、ピッチモードがV/SモードからALTモードに変わる(A/TモードはSPDモードのままである)。

V/Sを使用するにあたっての注意
★ V/Sモードにより上昇/降下する時、以下の点に留意する事。気をつけないと墜落する恐れあり!! ★

●上昇時●

基本的に上昇時はV/Sモードを使用せずVNAVモードかFLCHモードを使用する事。ステップクライムの際にはV/Sモードを使用する事もあるが、その際は上昇率を抑えて使用する事。というのは、V/SモードはV/Sウインドウにセットしたバーチカルスピードを無理にでも守ろうとする性質があるからだ。例えばA/PおよびA/Tをエンゲージしている時にV/SをエンゲージしてV/Sウインドウに6000をセットしてみよう。重量が軽い時は高度が高くなければ速度を維持しつつ6000FPMの上昇率を得る事が出来るが、高度が上がるにつれ段々と性能がきつくなっていく。その時AFDSはどのように動作するかというと、速度を減らしてまで上昇率を維持しようとするのだ。パイロットがこれに気づかないでいると、しまいには失速してしまう。現にDC-10がV/Sモードを使用して上昇中に失速してしまい、一時的にアンコントロールに陥ったというインシデントも発生しているのだ。
よってV/Sモードで上昇時は速度に注意する事。また速度計が着氷などにより不正確になる事もある為、異常を感じたら機体姿勢にも注意する必要がある。

●降下時●

V/Sモードをエンゲージする時はMCP ALTを確認する事。V/Sモードは高度および速度に関するプロテクションがない為、特に降下時、気をつけないと墜落してしまう可能性がある。