歌を感じる
歌唱の授業をとおして、音楽を楽しみ感じる事例です。
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1.愛の詩
教材「トゥナイト」
ステップ1.
英語で歌えるようにする。
ステップ2.
生徒に歌詞を日本訳にするように指示する。
ステップ3.
生徒訳例
「こんやこんやすべてが始まった。私はあなたを見た、そして、世界はどっかへ行った。
今夜今夜、あなたがここにいる、あなたは何、あなたは言う、あなたは行動する。
きょう、一日わたしは感じを持っていた。きせきがおこる。私は知る。わたしは右。あなたは、ちょうど星だ。」
のような訳になる。これくらいに訳すのはまだ、うまく訳せている方で、「what you are」のところは大抵うまく訳せない。
ステップ4.
今は音楽の授業で、英語の授業ではないから、少し違訳なってもいいから、曲の情景を考えて、イメージが伝わるように訳そうと話して。
ステップ5.
これを「今夜、すべてが始まった。私があなたを見た瞬間、今までの私の周りの世界は消え去ってしまった。
今夜、あなただけがここにいて、あなたの存在、あなたの言葉、あなたの行動だけがある。
今日、一日中、奇跡が起こるんじゃないかと僕は感じてた。そして、今その気持ちが正しかったことがわかった。
なぜなら、ここにあなたがいる。そして、星がきらめくように世界は変わってしまった。」などというように、情景が判るように訳す。
ステップ6.
(重要) それぞれの学校の生徒の状況に合わせて、詩の意味が伝わるように話してやるのが大事。
ステップ7.
すると、ストレートに生徒に詩の意味が伝わり、気持ちよく歌うようになり、歌い方が変わっていく。
ステップ8.
ただし、説明を行った直後は、詩の意味を感じようとしながら歌ってるので声は小さくなります。
ここで「声を大きく」などと声を掛けないで、感じていることを大切にしながらうたってもらいましょう。
その後、この詩を感じたことは、確実に歌い方の変化につながります。
2.野バラの秘密
教材「野バラ」(作曲:シューベルト 作詞:ゲーテ 訳詩:近藤朔風)
ステップ1.
日本語で歌えるようにする。(できれば原語でも)
ステップ2.
日本語の歌詞を読む。(今では、日常あまり使われない言葉があるので、解説する必要がある。
例えば、「わらべ」という言葉にイメージを持っていない生徒もいるし、「めでつ」や「おもいでぐさに」など)
ステップ3.
子どもとバラのお話になっていることに気づかせ、その情景を想像して歌う。
ステップ4.
作詞者のゲーテについて説明する。
ステップ5.
この詩の成立について説明する。(ゲーテが、大学時代に民話採集に行った村で出会った女性と恋の実話を元にして出来た詩で、
野バラは女性、子供が男性(ゲーテ自身)であり、二人の出会いと別れの詩であることを説明する。原語で歌っていれば、
子どもの表現がドイツ語の「Kind」や「Matchen」はなく「knabe」であることから「わらべ」は男の子であることを
説明してやると理解しやすい)
ステップ6.
日本語の歌詞を、ゲーテの恋に置き換えて説明する。
ステップ7.
この情景を想像して歌う。しかし、すぐに歌い方は変わらない。
ステップ8.
次に、伴奏に注目させ、1番は子どもが野原を小走りに走っている音、2番は恋人二人が別れ話に緊張して心臓がどきどきしている音、
として伴奏を意識して歌うようにする。
ステップ9.
さらに、今度は一つ目のフェルマーに注目させ、1番は彼女を見つけた時の喜び、2番は別れを意識して見つめ合ってる瞬間として意識して歌う。
ステップ10.
このよう具体的に情景を音楽に移し変えていくと、生徒たちの歌い方は音楽性豊かな表現に変わっていく。
(なお、3番については、この訳詩はゲーテの詩からかなり離れているので、日本語訳に中心にするか、ドイツ語の原詩を中心にするかで、
説明する内容を変える必要がある。)
3.シューベルトはすごい人
作曲家シューベルトへの関心を高める。
ステップ1.
中学校で習った、「魔王」を思い出す。(さわりの部分を弾くと、すぐ思い出す。)
ステップ2.
「この魔王の登場人物は何人」と聞く。
ステップ3.
たいていの答えは、「3人」(お父さん、子供、魔王)
ステップ4.
しかし、これは間違いと指摘する。すると「4人」と答える。(お父さん、子供、魔王、馬)これも、間違い。
(「正解は、お父さん、子供、魔王、ナレーターの4人」)
ステップ5.
生徒たちは、魔王を聞くと馬が走っている情景を思い浮かべている。そこで、なぜ、馬が走ってるように感じるのかに注目させる。
ステップ6.
この点こそ、シューベルトの工夫であり、シューベルトは詩の内容により、その情景を伝えるために、
伴奏を含めて歌曲に新しい観点での作曲の仕方を工夫した人であることを説明する。
ステップ7.
シューベルトはなんとこの曲を、みんなとほぼ同じの18歳頃に作ったことを伝えると、さらにシューベルトに関心を持つようになる。
4.愛は時代を超える
教材「カロ ミオ ベン」
ステップ1.
原語で歌えるようにする
ステップ2.
ポルタメントについて説明する。
ステップ3.
「tannto rigol − caro mio ben」の間でポルタメントが使えるようにする。
ステップ4.
原語の歌詞を説明する。(前半は「愛しい人よ」と呼びかけるが、中間部では「なんとあなたはむごいのか」と嘆き、
そのあともう一度前半の歌詞が歌われる。)
ステップ5.
ポルタメントはその中間部の歌詞から前半の歌詞へと戻るところの、曲の内容が変化しているところで使う。
ステップ6.
ポルタメントの前は、「彼女をうらみ、嘆く気持ち」で強く歌ってるのが、ポルタメントで音を変化させながら
「(しかし)、愛しい人よ」と呼びかけて歌っている。
ステップ7.
(重要) その気持ちの変化のためにポルタメンが掛かっている。
(「なんでそんなに冷たいねん!けど、やっぱ、あんたが好きやねん!」と大阪弁で表現してやるとよく分かる。)
ステップ8.
ポルタメントはその気持ちの変化の表情をつけるためのテクニックであり、音程が勝手に変化することとは違うことの話をする。
ステップ9.
イタリアの古典歌曲を歌っていても、恋する気持ちは現代人と同じやで!
5.情景を感じる
準備中。
6.食は文化
準備中。
7.季節で感じる
準備中。
8.オペラってすごい
準備中。
9.作曲家ってすごい
準備中。
10.音楽と人生
準備中。
11.宗教と音楽
準備中。