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COLUMN

ここには、日頃の診療で役立つと思うアドバイス、私の考えを少しずつ載せていきます。
(※許可なく記載内容を転載したり、公表することを堅くお断りします。)
   14, 待合で他の病気がうつりませんか?
出来る限り感染力の強い病気の患者さんは、他の方と一緒にならないようにしています。
 
 その方法はいくつかあります。1、感染力の強い病気の患者さんに個室で待ってもらう。2、病気に対する抵抗力の弱い赤ちゃんに個室で待ってもらう。3、予約システムなどを利用して、大勢が同時に待合で待つことがないように極力工夫する。4、予防接種、健診、定期受診の方は、一般診療時間とは別の時間に受診して頂く。
 これら1−4は当院で行っています。前出の1の方法は、インフルエンザやみずぼうそう、はしかの患者さんなどの時に行っています。
 他に、医院さんによっては熱のある患者さんと熱のない患者さんとを別々の待合に分けて待ってもらうという所もあります。しかしこの方法は個人的に好まないので、当院では行っていません。なぜか?例えば自分の子どもがもし高熱で受診する時、発熱組の待合に入れられたとしましょう。横は高熱のインフルエンザの人かもしれません。いくら自分の子どもが高熱でも、もしインフルエンザじゃなかったなら、そこでインフルエンザをもらってもっとしんどくなるかもしれません。だから、高熱だからと言ってそのような子どもたちばかりをひとところにまとめて待たせるのはどうかと思うのです。そこで一番は前出の2、3、4の方法がいいのではと思うわけです。
 理想的にはすべての子どもさんをそれぞれ個室で待ってもらい、診察医が移動して回るという方法が一番と考えます。しかしそこは現実、設置場所が足りないということと、あまり狭いところに長時間いると子どもが遊べず待ちくたびれてしまうということもあります。
 
 受診時の感染には、おもちゃの消毒から待合での工夫、予約システムの導入、予防接種は一般診療と別時間に行う、などできる限り行っています。それぞれの工夫が功を奏するよう、別ける必要があるとわかってる場合は早急に受付に申し出る、看護師の指示に従い個室で待つ、順番予約システムの呼び出しに早すぎず遅すぎず受診して頂く、これらをできるだけ守っていただくことが必要と考えております。
 
 時間(予約システム、予防接種と一般診療を時間で別ける)、空間(個室を使って接触を避ける)を出来るだけ別ける工夫をし、院内での感染をなくす努力を当院では行っています。
更新日時:
2007/04/03
   13, 嘔吐が続くんですが
欲しがるからといって、飲み物食べ物を与え続けないで下さい。
 
 嘔吐は胃腸炎のとき、咳き込んだときに見られることがあります。一回きりならいいのですが、何度も続く時は一旦物を口にしない時間を作ってください。
 時に吐いた後、子どもが欲しがるのでと言って何か食べさせ、また吐いた、と言う方がおられます。嘔吐を繰り返す時は、胃腸炎で胃の動きが停止している状態です。胃に消化する力がなく、胃の出口が狭くなっている状態で先に食べたものが流れていかないのです。だから、その状態で食べさせると、消化されずに胃に溜まった食べ物は、胃の反射収縮で嘔吐排出されてしまうのです。
 ではどうしましょうか。まず嘔吐が続く時は、1食は飛ばすつもりで5−6時間は食を抜き、空腹を保ってください。ただし、のどは渇くので、時々2−3口お茶やイオン飲料をふくませてあげて下さい。
 これを守らず、食べて嘔吐を繰り返せば、いつまでたっても胃は休まらず、拷問のように嘔吐を繰り返ししんどくなるばかりです。
 空腹を保つ限り吐かない様子だとわかれば、小さなコップに1/3〜1/2程度のお茶などの水分を与え吐かないかどうかの確認をします。2時間ほどしてはかなければ、量を増やしていき、重湯やスープを与えていけるでしょう。もし固形物にして吐くようなら液体だけを摂るようにして様子をみましょう。嘔吐がなければ、少しずつ量を増やし、形のある食事にしていきましょう。
 もし、水分を開始すると再び嘔吐するようならまた水分少量で喉を潤しながら数時間の空腹を保ち胃を休めましょう。
 しかし、それでも改善しない場合、個人差はあるので絶対ではありませんが、嘔吐が始まって大体24時間くらいすると脱水傾向が出てきます。口唇乾燥、顔色が悪い、遊ばない、横になりがち、動きがスロー、尿が出ない(10時間前後)、少ない、色が濃い。匂いが強いなど。そのような兆候が認められると脱水が考えられるので、いよいよ最終手段、点滴をする必要が出てきます。
 子どもの胃腸炎は治癒までの期間にはそれぞれ差がありますが、必ず治るのです。それまで点滴で脱水に陥るのを防ぎ、治癒を待ちます。しかし、脱水は命にかかわります。1日1回の点滴で追いつかないほどの状態になるようなら入院が必要です。
 
続く嘔吐に対し、脱水が進み、子ども自身の自然治癒力を超えるときは入院が必要になることがあります。嘔吐が続く時は一度受診し、重症化する前に状態を確認して再診のタイミングを先生から聞いておきましょう。
更新日時:
2007/03/11
   12, ほんとに早く治ることがすべてなのでしょうか?
早く治った方がいいのは当然のことですが、何かを代償にして得られるものだとしたら考えませんか?
 
 クリニックの評判をあげようと思えばどうすればいいか?答えは、熱があれば早く熱を下げ、湿疹があればはやく湿疹が消えるようにすればいいのです。でも世の常、甘い言葉の裏には何かあるのです。
 熱が出れば、鎮痛解熱剤を3度の食後の薬に毎回混ぜておけば熱は下がります。診てもらったお母さんは、「あそこの医院のくすりはよー効くわ。」となるでしょう。湿疹に対してきついステロイド剤を塗れば、まずすぐ治ります。「先生、前の薬よー効きましたわ。またください。」ということになります。
 でももっといろんなことを考えたいのです。このコラムの2でも書いている通り、熱は生体防御の1つです。下げることが100%よいとは限りません。熱がないからよくなってると思っていたら肺炎になっていた、ということも実際にありました。また、深夜になって急に高熱が出た、といって慌てて救急病院を受診したお母さんもたくさん見ました(解熱剤の効果持続は4−6時間位なので、夕食後に飲んだ解熱剤の効果は深夜に切れ、急な発熱に驚くのです)。症状を上手く言葉に出来ない小児にとって、熱は体の不調を知ってもらう手段でもあるのです。しんどい時に使う、熱を確認して使う。見栄えだけを考えた解熱剤の処方、使用は注意です。
 ステロイド軟こうも注意です。よく効きますし、副作用に気をつけて医師の指示にしたがって使えば、怖い薬ではありません。しかし、あまりによく効くケースがあり、知らない間に使い過ぎることがあるのです。また、特に赤ちゃんへの使用ですが、赤ちゃんの皮膚は一生のうちで最も弱いので、軟こうの使用はよくあります。しかし、逆に言うと、月日を経て年齢を経れば皮膚が強くなってくるということです。体のことを考えれば、自然治癒力で治る見込みがあるのにもかかわらず、副作用という代償と隣り合わせにきつい軟こうを早期から使うべきなのか、ということです。
 私たち小児科医は何を考えているか。鎮痛解熱剤は使わない、ステロイドは使わない、と言っているのではありません。必要な時はもちろん処方しています。しかし、医院の評判ではなく、親御さんへの受けでもなく、先の長い子どもの将来にとって、どんな経過で治ってもらうのが一番いいのか、ということなのです。わざと治すのを遅らせることはありませんが、早く治ることがすべてではなく、副作用の少ない薬で、できるだけ楽に治ってもらう、でもここぞという時は副作用に注意して強い薬も使うよ、というところです。
 早く治ることは必要ですが、それだけがすべてではありません。評判だけを目標にして正しい医療を見失いたくないものです。早く治ることを望んで医者を転々とする方も確かにいます。特に慢性の病気、アトピーなど、経過が長くなりますが、あせって黙って医者を変えるくらいなら、正直にかかりつけ医に相談し、これまでの治療経過の記録を書面にしてもらい、紹介状してもらうようにしましょう。かかりつけ医も同じく苦心して治療を考えています。より良い見立てをしてくれる先生がいれば病気に悩む子どものため、快く紹介状を作ると思います。
 
私は受けるクリニックよりも、病気で悩む子どもにとって最良の治療と治り方を一生懸命、親御さんと考える医療を実践したいと思っています。正解がないときは、自分の子どもがこんなだったら、この子にどんな治療を施すだろうと考えます。それが一番なのかもしれない、と思っています。
更新日時:
2007/02/28
   11, 子どもは何科にかかればいいの?
このような問いなら皆、「小児科にかかればいいんじゃないの。だって子どもなんでしょ。」ってなるでしょう。
 
 じゃあ、鼻が出る時は?足が痛い時は?と言われると、ちょっと返事が変わってくる人もいるでしょう。これは難しい質問ですね。年齢にもよるかもしれません。
 では、少し見方を変えてみましょう。大人の診療科にはそれぞれ専門家がいます。消化器科、呼吸器科、アレルギー科、・・・・・など数え切れないくらい。でも今見直されているのは、「大人も最初に自分が何科に行けばいいのかわからないことがあるから、まず総合診療科を受診しよう」という流れです。例えばめまいがする、という時どこにかかればいいでしょう。耳鼻科?脳外科?心療内科?そこで登場するのが総合診療科です。そこへ行くとまず診察をし、必要な初期検査をし、おおまかな目安をつけた上で必要に応じて、このケースは耳鼻科、このケースなら脳外科、と遠回りせずに的確な科に受診できるように交通整理をしてくれるのです。
 子どもではどうなっているのでしょう。子どもには実は総合診療科はありません。なぜなら小児科医がそれをすべて行っているから必要ないのです。「鼻血が出ました。」と子どもがやってきたら。耳鼻科?でも足に点々と内出血の跡がある、血を固める物質が血液中に不足して起こる病気かもしれない、血液検査をしよう、やっぱり血小板減少性紫斑病だ、大きな病院の小児科に入院して治療がいるぞ、というようなこともありえます。
 明らかに怪我をして、足をひどく切っている、という時は?外傷が明らかな場合は、外科が近いなら直接外科へ行くのがいいでしょう。しかし外科が近くにないなら、内科でも小児科でもいいので、とにかくひどい怪我ならとりあえずの応急処置をしてもらうか、よっぽどひどいなら即救急車を呼びましょう。
 鼻水なら?耳を痛がるなら?風邪なら?これは難しいですね?耳鼻科に行く人もいるでしょうし。でも、個人的には小児科受診をお勧めします。「鼻水ならアレルギーなのか風邪なのか、中耳炎は風邪との合併が多い、風邪がこじれて気管支炎や肺炎を疑ったらどうするか」そういうことを考えると、小児科にかかって必要なら耳鼻科へ紹介、という流れを考えます。しかし、耳鼻科が家のすぐ近くだし、とか諸事情があるでしょうから、小児科に絶対にかかりなさいということはありません。
 しかし、我々小児科医のしていることはなにか?病気だけを診ているのではないということです。「風邪ばかりひいてる乳幼児に対しては、保育園に行き始めたからではないか、とか。風邪で受診した子だけど、身長が小さすぎるような気がする。予防接種に来てくれたけど、この湿疹はアレルギーかな?スキンケアのアドバイスをしておこうとか。風邪のようだけど今の流行の風邪は高熱が続くタイプだから慌てないようにこの先の予測経過を説明しておこうとか。」いろんなことを考えて診ているのです。育児の相談をしたことのある方などは特に感じたことがあると思います。
 内科ではできないアドバイス、それは元気なお母さんお父さんにだから出来るのです。病気の大人に細かい説明をしても聞くのもしんどいこともあると思います。でも、子どもを診てもらいながら聞きたいことを聞けずに家に帰ってきた苦い経験はありませんか?小児科医(一部にそうじゃない先生もいるかもしれませんが)は子どものために、保護者の方に十分家でも診てもらえるように説明をしておきたいと思っています。
 
 小児科は体の健康・心の健康、何でも相談できる総合診療科です。迷う時はまず相談を。当院は悩み事まで聞けるかかりつけ医を目指しています。
更新日時:
2007/02/09
   10, 子どもとの主導権争いに負けていませんか?
無理やりは良くないですが、子どもが嫌がっても薬を飲むようにがんばってください。
 
 普段子どもが嫌がると(泣くと泣き止むように)、子どもの好むものを次々とあてがっているようなことはありませんか?
 母親には子どもが快適に過ごすようにするというような本能があります。しかし同時に子どもが強く生きていく力をつけさせる、という本能もあります。前者の行き過ぎは、子どもの好みに合わせて何でも買い与える甘やかし。後者の行き過ぎは、教養を身につけさせようと子どもを塾や習い事漬けにしてしまうことです。
 いずれも必要なことですから、してはいけないというものではありません。しかし行き過ぎはいけないということです。バランスを見失わず、上手く過剰にならないようにご両親で考えながら進めてください。
 それに関連してですが、最近「嫌がって薬を飲まないから違う薬に代えてください」という言葉をよく耳にします。時代が時代ですから、薬も子どもが好む味のするものが多いです。いい時代になりました。しかし、その好みに合わせるのにも限界があって、病気によっては選択の余地なくどうしても飲みにくい味のものしかない場合があります。
 洋服や食べ物は代金と相談して好みのものを選べばよいと思います。お金出していまいち気に入らないものを買うということは不必要なことですから。しかし、薬は違います。好みで選ぶものではないのですから、まずは嫌がっても他にはないよ、というつもりから入ってください。がんばったけども駄目な時、代わりの選択肢、別の薬では代わりが出来ないか医師と相談の上一緒に考えるようにしましょう。私たち医師は、常に病気を考え、1番効果があると思われる薬を処方しているのです。当然ですね、はじめから効果がいまいちかもしれない薬出しときます、という人はいないはずですから。
 薬を嫌がる子に飲ませるのは一苦労ですが、親が子どもにマイナスに働くことを強いるはずはないのです。その時辛くても後にその子のためになる、と思ってさせていることがあるはずなのです。子どもは選んで嫌なことを選択しません。先を見通せる親が子どもに代わって、将来の肥やしになることを今は嫌なことでも選んでるはずなのです。
 押さえつけて飲ませることはかえって薬嫌いにするので控えてください。言い聞かせたり、飲み方を工夫したり(医師、看護師、薬剤師に相談を)しながらがんばって飲む努力をしましょう。私たちの健康を願う気持ちはいつしか通じると信じています。 
 親子の主導権争いは生まれた瞬間から始まっています。子どもの我がままにすべて従う羽目になるのか、ここ一番で時に辛抱をして得をつかめる人間にできるのか、親が強くなることからスタートだと思います。
 
薬が飲めないのか、嫌いな薬なのか、薬は好みで選ぶものではなく、その病気に最も効く薬を飲むのです。しかし、どうしても飲めなければ、飲める薬を選択することも大切です。その時は医師と相談してください。医師の薬の選択は、好き嫌いで決めてよいというほど、簡単に選んでいるのではありません。
更新日時:
2007/01/22

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Last updated: 2012/7/5

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