このような問いなら皆、「小児科にかかればいいんじゃないの。だって子どもなんでしょ。」ってなるでしょう。
じゃあ、鼻が出る時は?足が痛い時は?と言われると、ちょっと返事が変わってくる人もいるでしょう。これは難しい質問ですね。年齢にもよるかもしれません。
では、少し見方を変えてみましょう。大人の診療科にはそれぞれ専門家がいます。消化器科、呼吸器科、アレルギー科、・・・・・など数え切れないくらい。でも今見直されているのは、「大人も最初に自分が何科に行けばいいのかわからないことがあるから、まず総合診療科を受診しよう」という流れです。例えばめまいがする、という時どこにかかればいいでしょう。耳鼻科?脳外科?心療内科?そこで登場するのが総合診療科です。そこへ行くとまず診察をし、必要な初期検査をし、おおまかな目安をつけた上で必要に応じて、このケースは耳鼻科、このケースなら脳外科、と遠回りせずに的確な科に受診できるように交通整理をしてくれるのです。
子どもではどうなっているのでしょう。子どもには実は総合診療科はありません。なぜなら小児科医がそれをすべて行っているから必要ないのです。「鼻血が出ました。」と子どもがやってきたら。耳鼻科?でも足に点々と内出血の跡がある、血を固める物質が血液中に不足して起こる病気かもしれない、血液検査をしよう、やっぱり血小板減少性紫斑病だ、大きな病院の小児科に入院して治療がいるぞ、というようなこともありえます。
明らかに怪我をして、足をひどく切っている、という時は?外傷が明らかな場合は、外科が近いなら直接外科へ行くのがいいでしょう。しかし外科が近くにないなら、内科でも小児科でもいいので、とにかくひどい怪我ならとりあえずの応急処置をしてもらうか、よっぽどひどいなら即救急車を呼びましょう。
鼻水なら?耳を痛がるなら?風邪なら?これは難しいですね?耳鼻科に行く人もいるでしょうし。でも、個人的には小児科受診をお勧めします。「鼻水ならアレルギーなのか風邪なのか、中耳炎は風邪との合併が多い、風邪がこじれて気管支炎や肺炎を疑ったらどうするか」そういうことを考えると、小児科にかかって必要なら耳鼻科へ紹介、という流れを考えます。しかし、耳鼻科が家のすぐ近くだし、とか諸事情があるでしょうから、小児科に絶対にかかりなさいということはありません。
しかし、我々小児科医のしていることはなにか?病気だけを診ているのではないということです。「風邪ばかりひいてる乳幼児に対しては、保育園に行き始めたからではないか、とか。風邪で受診した子だけど、身長が小さすぎるような気がする。予防接種に来てくれたけど、この湿疹はアレルギーかな?スキンケアのアドバイスをしておこうとか。風邪のようだけど今の流行の風邪は高熱が続くタイプだから慌てないようにこの先の予測経過を説明しておこうとか。」いろんなことを考えて診ているのです。育児の相談をしたことのある方などは特に感じたことがあると思います。
内科ではできないアドバイス、それは元気なお母さんお父さんにだから出来るのです。病気の大人に細かい説明をしても聞くのもしんどいこともあると思います。でも、子どもを診てもらいながら聞きたいことを聞けずに家に帰ってきた苦い経験はありませんか?小児科医(一部にそうじゃない先生もいるかもしれませんが)は子どものために、保護者の方に十分家でも診てもらえるように説明をしておきたいと思っています。
小児科は体の健康・心の健康、何でも相談できる総合診療科です。迷う時はまず相談を。当院は悩み事まで聞けるかかりつけ医を目指しています。
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