2006/9/12
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開院時の思い

2005年10月1日に開院しました。開院する時の熱い思いを、初心を忘れないよう、ここに綴ります。




 開院前は大阪のこども病院で、救急から一般まですべてをこなす医療を行っていました。そこでの救急医療はやはり昨今言われる通りの過酷なものでした。しかし、そこで得られる経験はとても大きく、多く、今の自分の大きな大きな財産となりました。
 
 そこで得たものは、診療技術習得はもちろんですが、それ以上に、夜間にわざわざ遠くても、寝ていたくても、心配だから診てほしいと、数少ない救急病院を探して受診される時の親御さんのお気持ちがよくわかったということです。それをできるかぎり、日常の診療に生かしたいと思ったのです。
 
 夜間にこどもとともに来られる親御さん、ときにはおじいちゃんおばあちゃんも伴って来られる事もあります。それだけ心配なのだと思います。しかし、医師が診ればたいしたことはない、事実翌日にはすっかりよくなってしまっていることも少なくありません。逆に、翌日は予想しないほど悪化して入院となることもないわけではありません。それだけに、安易に構えるわけにもいかないのです。
 
 何が大切なのか?どうすればよいのか?
 
 誰が重症になるのか、誰にでもわかればいいのですが、わからないから受診します。でも、医者にも完全に予測することはできません。だから、家での看護の仕方、重症化のサイン、次の受診のタイミングをアドバイスするのです。
 
 診断名ももちろん大切ですが、一番大切なのは上に述べたアドバイスです。アドバイスがなかったために、昼間近くで受診していて、必要な薬をもらていても、熱で慌てて夜間の救急診療を受診される方がたくさんおられます。でも、救急の外来でアドバイスすれば、薬も追加することなく安心して帰宅されることも多いのです。つまり、軽症で受診する患者側ばかりが悪いのではなく、数をこなすことに追われ、説明不足になった医師側の責任もないわけではないのです。
 
 患者側から聞いてくれれば説明した、というのは言い訳で、立場の弱いものから質問しにくいのは世に普遍の事実です。ですから、医師から一言、「夜によくこどもは熱出すけれど、この子ものどが赤いから熱上がるかも知れないよ、でも慌てず、機嫌がいいか、ご飯食べるか、みてから判断すればいいよ。」と伝えておけば、親御さんも、救急医も、もう少し夜に眠れていたかもしれません。
 
 それらをふまえた上で、当院ではできるだけ説明、アドバイスに重点を置いた診療を行っています。
 
余分な薬よりも、それを補って余りある1つでも多くの説明、アドバイスを
 
がモットーです。


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