心配が増すような解熱剤の使い方をしていませんか?熱が出たらすぐに解熱剤を、と短絡的に考えていると、安心するはずの解熱剤で心配を増すことになりかねません。正しい使い方を。
これは以前に、コラムの2でも少し述べたことがあるかもしれませんが。まず基本知識を整理しましょう。誤解していることも多いはずです。
1. 熱で体に障害を残すと考えられる異常体温は42℃を超えた場合です。
2. 解熱剤は38.5℃(小児の場合)を超えたら使うかどうか考えます。38.5℃を超えたら必ず使う、というのではありません。機嫌が悪い、かなりしんどそう、ぐずって寝つけない、熱でしんどいのか目を覚ます、など熱+αがあってはじめて使うと判断します。
3. 熱が続く際、連続して解熱剤を使用する場合は6時間以上間隔を空けてください。
4. 小児にはインフルエンザでは使えない解熱剤があり、取り置きすることがあるため、1年を通じてアセトアミノフェンを主成分とする解熱剤しか原則お渡ししていません。
5. アセトアミノフェンは他の解熱剤と比べると若干解熱効果が緩やかです。
6. 解熱剤はあくまでも熱を下げるだけで、熱の原因の病気そのものを治しているのではありません。熱による体力の消耗を低減するための1つの手段です。
7. 熱性けいれんの既往のあるお子さんの場合、心配のあまり解熱剤で熱を下げ続けようと考えるかもしれませんが、解熱効果が切れる時、熱の上昇とともにけいれんを起こしやすくするため、解熱剤の頻回使用はお勧めしません。
8. 熱が上昇するとウイルスや細菌の増殖力が衰えるため、発熱は人体の防御反応のひとつと考え、機嫌のさほど悪くない時はむやみに解熱させることが良いとは限りません。
9. 解熱効果のある体の冷却法は、腋の下、股の付け根といった太い血管が体表に近いところを走っている部位を冷やすことです。おでこは、冷やせば気持ちがいいのであればしてあげて構いませんが、嫌がるようなら解熱効果は薄いので、しなくてもいいでしょう。1歳未満(自分で剥がせない年齢)ではずれることによる窒息事故の報告があり、おでこに貼付するタイプの解熱剤はあまりお勧めしません。
など、理解した上で。
解熱剤の効果は、0.5〜1℃位でも下がればよい、機嫌が改善する、眠れるようになれば良い、と理解してください。
熱の上がり際に使うと、上昇するのを抑えただけで、数字上は下がっていないこともあるが、見た目に少しでもしんどさが取れていれば効果があったと考えて、心配しすぎないように。
8のことから、機嫌がいいのに熱に気を取られるあまり熱を下げてばかりは、体にとってマイナスに働く可能性もあると理解する。
解熱剤は安易に使わず、子どもの様子をしっかり観察し、ここぞという時に使ってください。さもないと、せっかくの坐薬を使って、「使ったのに熱が下がらない。」と深夜に心配となって救急に走るようなことになりかねません。
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