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COLUMN

ここには、日頃の診療で役立つと思うアドバイス、私の考えを少しずつ載せていきます。
(※許可なく記載内容を転載したり、公表することを堅くお断りします。)
   24, 子どもの利益が一番と考えて診療しています
子どもは自分で主張できないので、小児科医はまず子どもの利益を最優先して助言します。
 
 小児科医療の難しさは子どもの訴えが少ないことと言われますが、他にもあります。親御さんが連れて来られると言うことです。病気を診ることに加え、患者である子ども自身にではなく、ある意味第三者である親御さんに病状の説明をすることになります。説明を受ける親御さんも病気の当人ではないため、医師の説明を聞かないと子どもの状態を理解できないのです。言わば、我々小児科医は治療者であると同時に病状の解説通訳者とも言えます。そこが難しいところです。
 説明が手間だと言うのではなく、親御さんの思いが影響することがあるのです。ステロイドを使いたくないとか、抗生剤は出来るだけ飲ませたくないとか。でもこれは子ども自身の意見ではなく、親御さんの気持ち、方針な訳です。もちろん親御さんの意見を無視するわけにはいけません。当然です。でも医師が必要と考えれば、説明の上同意を得るか、どこかで妥協点を見つけなければなりません。それが難しいところです。
 親の都合もあり、「明日保育園へ行ってもいいですか」と聞かれることもありますが、そんな時は子どもの病状を最優先にし、親の都合も考慮しながら保育園に行けるかどうか判断します。また、同じようなことで、症状が続くにもかかわらず受診が遅すぎる場合には親御さんに注意することもあります。特に元気そうだったから、忙しくてなかなか連れて来れなくて、とかいう時です。親の都合はわからないではないけれど、病気の当人の辛さはどこまでわかるのか、ほっといて悪くなったら子どもも困るし、入院になれば親も困るのです。ですから、時に私が注意して嫌な気持ちになるかもしれませんが、小児科医は子どもの代弁者になり、子どもの利益を守るための苦言を言うこともあります。ただし、それが嫌なことであっても、親御さん同様に我々も子どもを早く元気にしてあげたいと言う気持ちからの意見だと思ってしっかり受け止めて欲しいのです。
 子どもの咳がひどくて、と言って受診するお母さん。でもお母さんの衣服からタバコのにおいがプンプン漂う。やめられない気持ちはわかるけれど、病気の時ぐらいは禁煙して欲しいとアドバイスすることは間違いではないと思いませんか。ひどいとご自分が風邪ひいた時は、咳がひどくなるのでタバコも吸えないと言っておきながら、子どもの風邪ひきではタバコがやめれないという方まで時におられます。
 時に医者は言いたいこと言いよるな、と思われる場面もあるかと思いますが、それは多くは子どものためにと思ってのことです。出来るだけ言葉を選びやさしく言っているつもりですが、忙しいと選びきれずキツメに言う時、認識が甘いので本当にわかって欲しいと思いマジできつく言う時、いろいろありますがなにとぞご了承ください。
 
小児科医は子どもの健康のために、時に苦言を述べることもあります。多くの親御さんにはご理解頂けると思いますが。
更新日時:
2008/01/02
   23, 私は親御さんの顔色をうかがって診療しています
変な意味ではありません。病気だけを診るのではなく、親御さんが安心納得されたかを感じながら診療と病状説明を行っているということです
 
 医者の仕事は病気を治す事です。しかし本当はそれだけではないのです。患者さん自身、付き添いの親御さんが安心して病気回復まで通院と自宅療養が出来るように病状説明、看護の仕方、再診の目安を伝えることだと思っています。
 なぜこんなことを言うかというと、病気に対する心配度は人それぞれだからです。心配し過ぎて気持ちからすでに負けている人、逆にこっちが心配しているのに大した事ないと思っている人、色々です。しかし、いずれにせよその思いのギャップを埋めておかないと後で問題が生じます。例えば、心配しすぎると大事なポイントを見落として不必要に夜に夜間急病診療所に走ることになる、看病疲れで寝込むことになる、かも知れません。また、軽く考えすぎて再診のタイミングが遅れ、病状が悪くなり過ぎていることもあるかもしれません。
 医者の方が風邪くらいと軽く考えすぎて流してしまうと、心配できたのにあまり解消されず帰宅した親御さんは不安で看病疲れが増しますし、再診の目安もわからないままで困るかもしれません。
 とにかく、診る側と診てもらう側の気持ちが近づき、お互いが納得して診療を終えないと双方が困るのです。特に病気でしんどい子どもに不利益になるのは避けたいものです。だから私は親御さんの様子を見ながらできるだけ安心してもらうよう説明を重視しています。
 子どもの病気は手助けすれば自然に本人の治癒力で治る病気がほとんどです。だから、治すということに重点を置くよりも、親御さんに病状、予測される経過、再診のタイミングを伝え、落ち着いて家で看病にあたってもらえることが一番なのです。
 
前にも言ったかもしれませんが、「病気を治す」ということを目指すのではなく、「少しでも安心して帰ってもらう」を目指せば、その中に「病気を治す」と「少しでも不安が軽減しがんばって家で病気の子を看れる」とが含まれ良い形の診療が出来ると信じています
更新日時:
2007/12/05
   22, 保育所に入る予定なんですが、風邪ひかないですか?
入所の初期は風邪ばかりひくと思っておいたほうがいいです
 
 赤ちゃんはだいたい6〜12か月くらいまでが一番免疫状態が低下します。というのも、お母さんのお腹にいた時にもらっていた免疫が、このころに一生でもっとも低くなり、1歳ごろから再び自分で免疫を獲得し増やしていくからです。したがって、個人的には保育園の入所は乳児期(1歳未満)はお勧めしません。
 しかし、やむを得ず保育園に預けないといけない方は当然あるわけで、そういう方にも少しアドバイスを。病気に対する体の抵抗力にはやはり子どもごとに差があります。だいたい保育園に行き始めて1〜3か月はみなどの子もよく風邪をひきますが、風邪をひいても熱を出さずに元気で保育園に行ける子どもと、風邪をひくと毎回のように熱を出し、保育園をお休みしなければならない子どもと大きく二分されます。ひどいとせっかく行き始めても月の半分も行けずに風邪で休んだと言う人もいます。
 風邪をひいても熱がなく、保育園へ行って風邪をうつす側にまわる子、行ってもすぐに風邪をうつされ熱を出して休んでばかりいる子、にだいたい分かれます。特に後者に当たる子どもたちは1〜3か月くらい小児科通いになってしまうことが多いです。乳幼児期に保育園に行き始める子を持つ方は、少し心に留めておいていただきたいと思います。
 「でも、知ってたって病気が良くなるわけじゃないんでしょ。」当然そう言われると思います。その通りで私も反論できませんが、入所前に心積もりも出来るし、「なんでこの子はこう熱ばっかり出すんだろう。」と思った時に、先に述べたことを思い出していただければ、少しでも納得が出来て気持ちが落ち着くでしょう。
 でも、本当にお伝えしたいのは、こういういきさつで、保育園に行き始めたら風邪ばっかりひくので、小児科通いが続いてもくれぐれも「先生のところでずっとみてもらってるけど、全然良くならないんですが・・・」と口に出す人、思っていても言わないけれど顔に現れている人、いろいろおられますが、あまり我々を責めず、免疫を獲得する過程なのだと思って一緒に子どもの体を見守って行きましょう、ということなのです。
 ゆくゆく子どもたちはどうなるかと言いますと、だいたい5、6歳くらいには皆体も大きくなって、免疫力、体力が備わり、皆一様に風邪ばかりひくということがなくなってきます。だから、それまでの辛抱なのです。
 
幼稚園、小学生くらいになると皆だいたいあまり風邪をひかなくなります。それまでは集団生活を小さい時期に行っているほど、病気に対する抵抗力がまだ十分ではないため風邪をよくひいてしまうということです。その覚悟はしておいたほうが良いでしょう。
更新日時:
2007/11/01
   21, 受診時の説明は大切です。
病気のときの受診の意味は、病気の診断と治療、それに説明を加えることで少しでも不安を軽減することです
 
 小児科の患者さんは初診患者さん(病気をして初めて受診する方。それに対し、再診患者さんとは、病気になって2度目以降の受診者を指します。)が多いので、診察に時間がかかります。同じ風邪ひきでも前回と今回は原因のウイルスが変るかもしれませんし、症状も熱がメインなのか、咳がメインなのか、その都度病気の状態を把握するため受診のたびに一通りの診察をします。
 また、時には病気でなく育児相談であったり、耳慣れない病気の診断をつけたときは、親御さんに十分理解していただくために説明に時間を取ることもあります。
 それはすべて、受診された方に少しでも安心して帰宅していただくためです。
 風邪です、と言われて帰ったのに熱が続き、結果的には無事治ったが不安の強い日々を病気で辛そうな子どもさんと一緒に過ごしたことはありませんか。確かに病気ですから不安なしに見ていけるということはないでしょうが、「もう2、3日熱は出ますがそれくらいから解熱し始め食欲も出てくるでしょう。もし予想通りに行かず、熱が続く、急に水分も摂らなくなるなら薬あっても受診をしてください。」とかアドバイスを受けていればどうでしょう。「かぜだから大丈夫ですよ。」だけで帰宅したときより心づもりが出来ませんか。
 子どものよくかかる風邪はまずほとんどの場合、時期が来れば必ず治ります。ですから、別に説明も少しで「風邪です。」の一言でいいのですが、受診しようと思うほどの心配があって来られたのですから、少しでも安心して、お家でポイントを押さえた自宅看護をして頂きたいと思うわけです。
 
見通しを心得ていれば気持ちが落ち着きますし、見通しから外れた経過ならそれが再診のタイミングです
 
 なぜ説明の時間を取るのかおわかり頂けたでしょうか。その結果、患者さんの病気によっては診察説明に時間がかかることがあります。でも、その説明により家で少しでも安心して看れる、再診を繰り返さなくて良かった、などのメリットが出てきます。
 心配だから毎日受診しました、というのも悪くないですし、そういう必要もときにありますが、できれば頻繁に通院するというのは避けたいものでしょう。
 我々からすれば、正直何度も受診して頂くほうが得られる診療報酬(収入)は増えるといえますが、まずは患者さんの負担を増やして得るものではありませんので、私は、説明を充実し、不要な再診回数を減らすことが一番と考えています。
 説明の少ない診療では、親御さんの病気に対する知識も増えませんから、救急受診もなかなか減りません。知識が増えれば子どもの成長とともに、病気の際の受診が減っていくのです。
 
時間をとれば他の患者さんをお待たせすることにつながりますが、私は、説明を診察治療と同じか、それ以上に大切なものと考えて診療に取り組んでいます。皆様にご理解頂けるとうれしいのですが。
更新日時:
2007/09/30
   20, - 閑話休題 -  保険診療とは?
健康保険法に基づいて、保険者(保険料を被保険者から徴収し、適切な診療を行った医療機関に診療費を払う機関)と保険医療機関(指定を受けた病院やクリニック)、保険医(保険医として登録を行った医師)とが契約し、被保険者に対して必要な医療を提供することを言います。
 「保険診療」に対する言葉は「自由診療」です。これは、100%自費診療の意味で、患者さん個人と医師との間の同意に基づく診療で、医師が自由に価格設定を行い、患者さん自身に全額医療費を負担していただく診療のことです。例えば、わかりやすい例で言うと、美容整形で、鼻を高くしてもらう、といった治療を受け、治療費を医師に支払い、医師は患者さん以外には診療報酬の請求を行いません。
 保険診療では、医師と保険者との契約で成り立っていますので、公に認められない治療、契約で認められていない治療を行った場合は、患者さんに一部負担金の請求も出来ませんし、保険者に診療報酬の請求も出来ません。
 つまり、国民健康保険、社会保険に加入している方が受診された際、保険医療機関に勤める保険医が診療を行い、保険で認められている治療を施した場合に、保険者に診療報酬が請求でき、医療機関は報酬を保険者と患者さんから受け取ります。具体的には、負担割合が3割の患者さんは診療報酬の3割を支払い、残りを保険者が医療機関に支払うということになります。
 日本のこの保険制度は、国民皆保険制度と言われるように、原則国民全員が加入し被保険者となります。この制度は、企業が行うものではないので営利目的はなく、効率よく治療が必要な人の治療費に充てられるというメリットがあります。しかし、少子高齢化が進み、治療の必要な人が増え、保険料を支払う人が減ったため、今までのように十分な資金が調達できなくなってきた、ということが問題になっています。そのため、受益者負担の原則にのっとり、患者さんの負担金を3割(以前は2割というのが多かったが)にアップしたり、診療報酬を引き下げたり(診察料や薬代を引き下げて保険者の支払いを少しでも抑えようとする)して乗り切ろうとしています。
 できるだけわかりやすく説明したつもりなのですが、耳慣れない言葉が多く理解しにくかったかもしれませんね。何度も読み返すと少し理解できると思いますが。
更新日時:
2007/08/23

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Last updated: 2012/7/5

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