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COLUMN

ここには、日頃の診療で役立つと思うアドバイス、私の考えを少しずつ載せていきます。
(※許可なく記載内容を転載したり、公表することを堅くお断りします。)
   29, うちの子何科に受診すればいいの?
迷う場合は、電話で様子を聞かせて頂き、まず小児科に受診することをお勧めします。
 
 小児科はお医者さんの中では「何でも屋さん」に当たります。他の科と違い、呼吸器科、循環器科、などとはっきり分かれていません。子どもはまず小児科に受診し、必要に応じて小児科の中にある、小児循環器、小児腎臓、小児神経、といった各専門医に振り分けて紹介したりします。
 
 子どもを診ることで大切なのは、症状を自分で十分表現できないので、小児科医は、お母さんの見た子どもの様子、その時の流行している病気、診察所見、予防接種歴、これまでにかかった病気など、少しでも多くの情報を得、総合して病気を見極めていきます。従って、他の大人を診る科とは随分異なりますので、子どもを診る姿勢(泣いていても辛抱強く診察し、情報を得ようとする)と情熱が大切です。
 
 風邪の子どもさんに風邪です、ということも大切ではありますが、こじれそうではないかとか、他に見逃してはいけない問題は潜んでないかとか考え、見通しがわかれば予測される先の経過を親御さんに説明し少しでも多くの安心を持って帰っていただきたいと思っています。時には、風邪で受診され、風邪ひきは大して問題ないが、他に後回しにできない問題を目にすることがあります。たまたま発達障害に気付くことや、気付かれないままだった斜視(寄り目など)年齢からはありえない幼児の乳腺腫大(おっぱいがふくれてくる)とか、薬の副作用と思ってたらネフローゼ症候群という腎臓の病気でのむくみだったとか、子どもは全体として大きく診てできるだけ見落としなく診療を進める必要があります。要は、症状の出ているパーツを診て問題なしと早合点しないことが大切です。
 
 私も医師になりたての時は、赤ちゃんの診察がとても不安でした。診察しなれていないので、見落としがないか不安だったのです。でも、未熟児センターで多くの未熟な赤ちゃんを診、500グラムで生まれてきた赤ちゃんを無事安心な状態まで診た時、こんなに小さな赤ちゃんが診れるのに、普通に生まれた赤ちゃんが診れない訳ない、というくらいの気持ちが湧いた時にようやく小児科医として、すべての子どもが診れる自信がつきました。私ですらこうですから、他の科の先生は、小児外科の先生以外は、大人をメインに診療されておられるでしょうし、小さな赤ちゃんの診察は小児科医の協力が欲しいと思っておられると思います。
 
 いろんなご意見が医者の中にもあると思いますが、私としては、自分で辛いところが的確に言えるようになるまではまず小児科受診でよいのではないかと思っています。例えば、こけて足を痛がっている、という時は明らかに整形外科でしょうし、目に手がぶつかって目を痛がっていれば、眼科。さっきから耳が痛いと言っています、なら耳鼻科。でも、こけた様子もないのに足を痛がる、鼻水が出てるけど鼻だけの問題?と思うときなどは小児科に受診し、必要なら小児科的には問題ない様子だから、整形外科に行ってみましょうとか、鼻以外に問題はないので耳鼻科に行ってみましょう、というほうが良いでしょう。やはり、小さなことに目が行って、大きな問題を見落とさないようにすることが大切だと思います。
 
このところ受診を迷われて相談を受けることが多かったので、このコメントに至りました。我々小児科医も専門外を見落とすことがあるかもしれませんが、大事なことはより重大な問題を見落とさないことです。受診先に迷った時は「何でも屋」の小児科にご相談を。 
更新日時:
2012/07/05
   28, その咳、鼻水、長引いていませんか
受診は面倒なものですが、こじれたらもっと大きな面倒が待っています。
 
 風邪によっては咳が長引くものもありますが、概ね4,5日で治り傾向が見えてくるものです。5〜7日以上続く場合は、風邪にしては長いので念のために受診をお勧めします。前触れなく突然発熱し、受診してみたら肺炎、ということがあります。こじれる前に一度受診し、一つの風邪が長引いているのか、治りきらないうちに次の風邪にかかったのか、医師の目で判断しておくほうが良いと思われます。
 
 「なんだか風邪にしては咳長いなぁ」と頭に浮かんだら、それが一旦受診時です。これは大人も同じこと。受診は面倒だけれど、こじれたらもっと面倒ですよ。
 
 鼻水に関しても同様です。小さな子どもは自分で鼻かみができないので、鼻水の治りが悪く長引くこともありますが、それが当たり前だと思ってはいけません。咳同様に長過ぎる時は受診を考えてください。やはり5〜7日以上続く時、鼻水の色が黄色くなったり、黄緑色になってきた時は注意です。
 
 鼻水はアレルギー性鼻炎の症状の1つでもありますが、ほとんどは風邪から来るものです。大袈裟ではありますが、「風邪は万病の元」と昔から言います。長引く鼻水、色のついた鼻水は注意のサインです。小児科医が全身の診察をし、風邪によるものか、アレルギーからくるのか、はたまた両方が一緒になってか、適切に判断し治療が必要です。長引かせ慢性化させないことが大切です。「保育園に行ってるからしゃーないわ」とか「アレルギー性鼻炎ちゃうか」とか勝手に決めつけず、1つの風邪で続くのか、治りきらないうちに別の風邪を引いたために続くのか、鼻水の場合も評価が必要です。
 
 昨年12月からRSウイルスによる鼻水の多い風邪が流行っていますが、急に呼吸のゼーゼーをきたし夜間睡眠の妨げられる乳幼児が目立ちます。時には入院になる乳児も。鼻水は1つのサインであって、鼻だけの問題かどうか見極めが必要です。聴診を含め全身の診察が必要です。油断しないように気をつけてください。
 
咳も鼻水も風邪の症状であることが多いですが、不自然に長引く時は受診を。1つの風邪が長引いてるのか、治りきらないうちに次の風邪をひいたのか、こじれる前に判断する必要があります。
更新日時:
2011/01/03
   27, 健診の勧め
最低限保健所での定期健診は受けましょう
 
 病気になればクリニックを受診することがあると思うのですが、子どもの健診は最低でも4か月、8か月、1歳半、3歳児(京都市での定期健診、他の市町村では若干健診時期が異なります)の定期のものは受けましょう。3歳児だともう大きくなっているのですが、歯科健診など他の科の先生の診察もあるので是非お勧めです。
 他に勧める理由は。健診では診るポイントが少し違うからです。本当ならすべて診るべきなのですが、病気で受診された時はどうしても病気を見逃さないという方に気持ちが集中するため、なかなか発達や成長まで目が行き届かないことがあるからです。また、仮におかしな点に気付いても、受診目的がそれでない時には指摘しにくいという実情があります。例えば、発熱を心配して受診された子どもさんに、診察時多動傾向を感じても、簡単にはお母さんには伝えられません。上手く伝えないと病気を心配するお母さんを余計に心配させてしまうこと。また、お母さんが受け入れられず、悪い印象だけを与えてしまうということがあるからです。
 ですから、できるだけ基本的に健康な子どもさんが受ける健診で、成長発達のチェックを受け、日頃聞けない育児の悩みなどを保健所の保健師、医師らに相談する、ということが望ましいと思います。
 各医療機関でそれぞれ健診料が異なることがあるので、事前確認と予約をお勧めしますが、保健所の定期健診以外にも子どもの成長発達や育児に不安がある場合は、個人の医療機関で個別健診を受けることをお勧めします。
 もちろん成人の方にも特定健診がございます。こちらも京都市の広報誌などでアナウンスされておりますので、実施医療機関を確認の上受診してください。
 なお、「健診」とは健康で特に問題のないことを確認することを主眼にするもの。「検診」は、症状はないが病気を心配し、診察検査などで病気を予防、あるいは早期発見することを主眼とするものをいいます。しかし、その境界はあいまいで、厳密に区別しなくても支障はないと思います。
 
健康状態で受ける健診にも意味があります。病気の時には指摘しにくいことも言いやすいですし、お母さんの日頃のちょっとした心配にもアドバイスしやすい環境です。必要時ご利用ください。(健診実施は、当院では要電話予約、有料自費(病気の診療ではないので保険外扱い)です)
更新日時:
2008/09/11
   26, 浣腸は妙薬
浣腸のおかげで不要な検査をせず、症状も改善しおうちに帰ることの出来ることが多々あります。
 
 特に胃腸症状(嘔吐・下痢・腹痛)で受診されるケースで、浣腸一本でずいぶん症状が改善され、検査しなくても悪い病気ではないと判断でき、様子観察できることがあります。
 最近はあまり浣腸をおうちでされることがなく、私が浣腸をしましょうと言うと、浣腸しないと駄目ですか、すごく嫌がると思います、とおっしゃる親御さんが多いです。私の方は、こどもが嫌がることも百も承知で浣腸の処置を提案しているのです。でもなぜ勧めるか。それは浣腸1つで多くのことがわかるからです。泣く子を押さえつけて血液検査するより、X線検査室に連れて行き嫌がるのをなだめながら時間かけてX線検査をするより、ずっと簡便で、時には治療にまでなってしまう処置が浣腸なのです。
 激痛で救急車で運ばれてきたこども、お母さんも普通じゃないこどものお腹の痛がり様に、盲腸炎ですか、手術ですか、と慌てふためく。そのような時でも浣腸でウンチが出ればまるで何事もなかったかのように痛みが消え、にっこり笑ってバイバイして家に帰るこどもを何度も目にしたことがあります。お母さんは安心し、浣腸ぐらいで救急車を呼んで、と申し訳なさそうに帰っていかれます。こんな時私は救急車を呼んだことを少しも責めるつもりはありません。それだけの激痛でただ事ではないと思って救急車を呼んだのですから。たかが便秘くらいで、というのは結果論です。ただ最近ウンチが硬かったとか、毎日出る子がここ3日ほどウンチが出ていなかった、とかわかっていれば家で一度浣腸してみることが出来なかったのかな、と思うわけです。浣腸液を持っていないから無理、当然なければできるわけはありません。だからこそ、浣腸液を常備薬として家に置いといて欲しいと言うことです。そう、市販の風邪の薬の様にです。
 診察の時は当然浣腸してよいか、浣腸が禁忌(してはいけない、の意味)かの判断をして医師は行います。浣腸が禁忌というのは、虫垂炎(盲腸炎)が進行して腸が破れんばかりの時や腸がねじれてしまっている時などです。この時には、浣腸が病状を悪化させてしまうしまうからです。
 実際に浣腸で改善されるのは、一番は当然便秘の時の腹痛嘔吐(こどもの便秘には嘔吐や食思不振を認めることがあります)です。他に嘔吐を繰り返している時に嘔吐が浣腸をきっかけに治まったり。また、浣腸で下痢が出ればおおむね胃腸炎と判断できますし、ウンチの性状、においからウイルス性か細菌性の腸炎かの推測ができたりで、不要な検査をせずに治療方針が立つこともあります。血便が出れば腸重積を疑うヒントにもなりますし、浣腸は一般に思う以上に大切な処置なのです。恩師の先生には、下痢をしているこどもにでも浣腸してよい、ウンチが出れば鼻先がつくくらいに鼻を近づけてにおいをかぎなさい、と何度も教わりましたが、今はその教えの大切さを実感しますし、実際浣腸はよく勧め実践しています。
 
そのうち浣腸先生と噂されるのではないかと心配していますが、浣腸はたかが浣腸ではありません。浣腸先生と呼ばれたくはないけれど、そう呼ばれても今後も必要な時は勧めます。
更新日時:
2008/06/29
   25, 日本からはしか、風疹をなくそうキャンペーン
H20年4月から5年間、中1と高3のこどもを対象にはしか風疹の混合ワクチン接種が始まります。
 
 日本はワクチン後進国(今では死語ですが、あえて発展途上国などと丁寧には言いません。それほどひどいと思うからです。)です。はしかは先進国ではほとんど患者の発生がなく、その発生も日本人が海外旅行時に持ち込んだものだろうと言われるくらいです。(日本ははしか輸出国と揶揄されています。)それほど日本のワクチン接種は立遅れています。
 日本でも、とうとう昨年来から高校生、大学生、成人にまではしかの流行がみられ、「カナダに修学旅行に行った高校生が現地ではしかを発症し、感染可能性のある生徒全員出国できずカナダに足止め」という事態まで起こりました。いよいよお尻に火のついた政府は海外からの突き上げに応えるべく、はしかワクチンの2回接種を実行に移す事にしました。
 これまで、はしか、風疹、みずぼうそう、おたふくかぜワクチンは1回ワクチンをうてば、まず一生かからないと言われていましたが、特にはしかに関しては、1歳時1回のみのワクチン接種では免疫が時間とともに低下しすること、また空気感染であり感染力が強いことから、高校生大学生での発症例がかなり見られることが判明しました。また、1回の接種ではまれに予防に十分な免疫が獲得できないこどももあることが問題視されるようになって来ました。
 そこで今年の4月からはしか風疹を撲滅するべく、5年間の時限措置で、はしか風疹混合ワクチンを中学1年生と高校3年生に接種するということになりました。これは、1回接種だけだとちょうどこの世代ではしかの抗体保有率が低下してしまうからです。
 
ワクチンは自分の身病気からを守るという目的と、受けたくても免疫不全などの病気で受けられない人のためにも、受けて病気を流行らせない、という社会貢献の目的があります。特に今回は時限措置の機会を逃すと公費負担(自己負担なし)で受けられなくなります。また今まではしか風疹ワクチンを1度も受けたことがなかった人も受けられます。この機会をお見逃しなく。
更新日時:
2008/03/30

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Last updated: 2012/7/5

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