ホットワックス

ホットワックスという言葉を始めて聞くという方は、まずはお手軽に液体WAXや固形の生塗りWAXを試してみると良いと思います。
スプレータイプや押し付けて塗るタイプなどがありますが、最初はどんなものでもいいです。
これをこまめに塗りましょう。
これなら簡単で面倒くさくありません。ゲレンデに出て行く直前でもできます。
これだけでも十分スキーの滑り方の違いが実感できるはずです。

ワックスについて多少の知識がある方、液体ワックスでの滑りに不満を感じている方はホットワックスを試してみましょう。
ワックスは、滑走面に微粒子レベルで染み込ませてこそ実力を発揮します。
液体や、固形の生塗りでは、板への染み込みが十分でないのですぐにワックスの効き目が落ちてしまいます。
一方、ホットワックスとは、アイロンを使って、熱を利用して染み込ませる方法です
手間はかかりますが、効き目は絶大です。
特にブラックソールと言われる滑走面が黒いものは、滑走性に優れるかわりに、材質が柔らかく痛み易いという特徴があります。私のショートスキーもこのタイプの滑走面です。ブラックソールは滑走面の保護のためにも絶対にホットワックスをした方が良いようです。

ワクシングは特にスキー板のチューンナップ作業のなかでも重要な部分です。エッジを削ったりすることに比べて重大な失敗も起こしにくい簡単な作業なので是非チャレンジしてみてください。
エッジを自分で触るのはちょっと怖いという人でもワックスだけでも自分でかけましょう。それだけで十分チューンナップ気分を味わえます。まずは格好から入って気分だけでもその気になる。これこそ上達の第一歩だと私は思います。


作業に必要な主な用具

・チューンナップテーブル
・バイス
・ストッパー
・アイロン
・延長コード
・ワックス
・スクレイパー
・ブラシ
・リムーバー
・キッチンペーパー
・ちり取り、ゴミ箱
用具の説明についてはこちらから→ショートスキーのお手入れに必要な道具たち


ホットワックスの作業手順

1.バイス台にバイスを固定します。
ワックスを塗るだけであればバイスを使わず簡易な作業台の上に直接ショートスキーを置いてやることも可能です。


私の使っている台はただの作業台で、バイス台と呼べるような代物ではありませんが、セット完了はこんな感じです。


2.スキー板をバイスに取り付けます。
流れ止め付きのビンディングを装備している場合はストッパーなどを使って止めてから取り付けます。




3.アイロンとワックスを用意します。
家庭用の電気アイロンでも平気ですがスチーム用の穴の空いたタイプはやめましょう。普通のアイロンとしての使用との併用は難しいと思われますので新しく購入されるのであればスキー用のものにしたほうが良いでしょう。
ちなみに私も一時期家庭用アイロンを使用していましたが、エッジのバリで傷が付いたりして二度と家庭用として復帰することはありませんでした。
固形ワックスは各社からいろいろなタイプが販売されていますが、入門者やスピードをそれほど要求しない方はお手軽な価格のもので十分だと思います。




4.固形ワックスをアイロンで溶かして滑走面全体に塗り広げ染み込ませます。
この時に注意したいのはアイロンの温度です。アイロンの温度が低すぎるとワックスがなかなか熔けず滑走面にもなかなか染み込みません。逆に高すぎると滑走面が焼け付き再起不能になります。
作業をするところの外気温にもよりますが、120〜130度ぐらいの設定で良いと思います。滑走面の焼き付き防止などを目的としてワクシングペーパーといわれる薄い紙のようなものも売っています。このワクシングペーパーがなかなかの優れもので、溶けたワックスがペーパーに染み込みムラ無く塗ることができ無駄も少ないので私は必ず使うようにしています。


アイロンにワックスの表面を押し付けて、

滑走面に塗りつけると必要以上にワックスが要らないので経済的です。

塗り終えた状態はこんな感じ!

ワクシングペーパーを板の上に乗せて、

その片端にアイロンをセットしたら、

こんな感じでゆっくりとワックスを溶かしながらアイロンを動かします。一箇所で止めたままにしてしまうと滑走面が焦げ付いてしまう危険性があるので注意してください。


5.ワックスを塗ったら、しばらく寝かせます。
最低1時間常温で放置します。スキー場でのワクシングでなく家でのメンテナンスであればこのままスキー板を梱包して終了です。
スキーから帰ってきた時、長期間スキー板を置いておく時は必ずこの行程までやっておいてください。ワックスでパッキングすることで滑走面とエッジを外部の酸素から遮断しておくことでエッジの錆び付きや滑走面の酸化を防ぐことができます。


6.ワックスを剥がします。
スクレーパーというプラスチックの定規の様なものを使って丹念に剥がしてください。300円ぐらいからあります。どんなものでも良いですがある程度大きくて厚いもののほうが剥がしやすいと思います。
せっかく塗ったワックスだから剥がすの勿体ないという人がいますが、余分なワックスが滑走面に付着したままだと逆に滑走性が悪くなりワックスを塗る意味がありません。
まぁ滑走性が悪くなると言ってもワックスを剥がさずに滑るから危険といったものではありませんので、それほどナーバスにならなくても大丈夫です。
気が向いたときにワックスをして、スキー前日や当日はバタバタと忙しいので結局はそのままゲレンデに出てしまい、滑っているうちにだんだんワックスが剥がれてきて午後ぐらいから良く滑るようになって・・・・・などといったケースになることも私の場合は多いのです。
私のように面倒くさがらずにしっかりとワックスを剥がしましょう。
より滑走性を求める人は染み込んだワックス以外を完全に取り除くために、ナイロンブラシや馬毛ブラシを使ってブラッシングした後ファイバーテックスと呼ばれるもので仕上げたりします。


ワックスを剥がす前にはスクレイパーを紙やすりなどに垂直に押し当てて前後に擦って角をピンピンにして、

その角を利用して少し前方に倒してスクレイパーをかけると、ワックスを剥がしやすいと思います。


7.掃除をします。
ワックスを剥がすと細かいカスがたくさん出るのできれいに掃除しましょう。きちんと掃除しておかないと嫁に怒られます。チューンナップテーブルに垂れたワックスはスクレイパーで削り取ります。スクレイパーやアイロンはキッチンペーパーにリムーバーを染みこませて拭き取っておくと長くきれいに使えます。


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