ガワッパとチマキダンゴ   北松浦郡世知原町(せちばるちょう)
 息子が生れた。ところが、災難にあうようになっとるというんで、水災難、山災難のどちらか聞くと、五・六齢の時の五月五日の二時ごろ、災難にあうようになっているという。

 親は、こん子もふびんやけど、命のなかごと生れてきとるとじゃけん、仕方のなかと、あきらめておったそうな。

長生橋の河童 1998/7 撮影
世知原町・長生橋の河童

 五齢の時、その日、その時刻に川にあそびにいきたいと、急にいい出したので、ああやっぱりね、と親は悲しかった。せめてダンゴなりつくってやらんばと、チマキダンゴをシュロの葉で、カラムスビにしてもたせてやった。

 時刻前、川の中から子どもが出てきて、チマキダソゴをたべ始めたが、ヒモをとくのに手間どって、いつのまにか二時が過ぎてしもうた。

長生橋の河童 1998/8 撮影
佐々川・長生橋の河童

息子は無事にもどってきたという。それ以来、チマキダソゴはカラムスビにむすばんばといわれてきた。

 ⇒世知原町 河童の話その2 ガワッパとカシワ団子

<世知原町郷土誌 世知原町 平成2年10月発行より>


⇒壱岐郷の浦町にも、同じような話が伝わっています。
  河童と飴

⇒鹿児島の大隅地方にも、ちまきを「男むすび」と「ひっかけむすび」する、同じような話が伝わっています。

⇒1998/9/15 NHK福岡放送局から、「筑前民話、語り部(べ)の四季・蒲原(かもはら)タツエの世界」が放映されました。
 蒲原さんは佐賀県塩田町にお住まいですが、その中でちまきを「男結び」と「女結び(花結び)」する、同じような河童の話が紹介されました。



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