更新日:2023年3月5日
簿記検定3級・2級は、社会人に必須の資格といわれるほど大人気の資格であり、3級の合格率は約40%、2級は約20%と、そこまで難しい資格ではありません。
ですので、簿記2級までであれば、市販のテキスト1冊をしっかりと読み、問題集を複数回繰り返すだけで、独学でも十分に合格が可能です。
ただし、この簡単そうに思えることを一定期間毎日続けるというのが、一番大変なことなんですが。。
このページでは、簿記3級・2級に独学で合格するために必要な勉強時間やおすすめ勉強法など、どうすれば独学で合格できるのか、実際に独学で合格した私の経験に基づき、その方法をご紹介していきたいと思います。
【執筆者】 |
![]() 執筆者・アドバイザー紹介 |
【アドバイザー】公認会計士 濱谷慶史 2014年に公認会計士として開業し、監査法人に勤務。3年後、税理士・公認会計士として独立開業を果たす。 |
独学で簿記3級・2級は合格できる!
簿記3級は、合格率も40%程度あり、誰でも手軽に受験できる資格ですので、独学でも十分に合格できます。
簿記2級は、3級の半分ほどの約20%の合格率しかなく、難易度が上がりますので少々苦戦しますが、心を折らずに粘り強く勉強することで、独学合格も可能です。
私自身も、完全な初心者の状態から、簿記3級・2級に独学で合格することができました。
簿記3級は年間30万人、簿記2級は年間15万人もの受験生が挑戦する超人気資格ですから、市販のテキスト・問題集も充実しています。
書店やネットショップで探せば、独学に必要な教材はいくらでも見つけられますね。
もちろん、予備校や通信講座も充実しています。独学で挫折した方、もしくは独学に自身がない方は、講座の受講を検討してもいいかもしれません。
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簿記3級・2級の独学に必要な勉強時間は?
では、簿記3級に独学で合格するためには、どれぐらいの勉強時間が必要なのでしょうか。(簿記2級は後述します。)
簿記3級は50〜100時間/2級は200〜300時間が目安
簿記3級に、初学者が合格するためには、一般的に、50〜100時間程度の勉強時間が必要といわれており、簿記2級は、200〜300時間の勉強時間が必要といわれています。
とはいえ、これはあくまでも一般論ですので、人それぞれ、自分で帳簿を付けたことがある方や、数字が得意な方などアドバンテージがあれば、もっと短時間の合格も可能かもしれませんね。
ちなみに、私は簿記3級は約60時間の勉強時間で合格できましたので、おおむね一般的に必要とされる勉強時間どおりでした。
一方、簿記2級は、約100時間の勉強で合格することができました。
私は完全な文系人間なので数学は苦手でしたが、簿記3級を勉強した際に、簿記の効率的な勉強法のコツが掴めたため、一般的に必要とされる勉強時間よりも少ない勉強時間で合格できたのだと思います。
簿記3級は1〜2ヶ月/2級は3〜5ヶ月の勉強期間が標準的
なお、簿記3級の50〜100時間という勉強時間を達成するためには、仮に1日2時間の勉強をするとすれば、約1〜2ヶ月の勉強期間になりますね。
私の勉強時間(60時間)は、1日30分〜1時間ぐらいの勉強で、約3ヶ月間の勉強期間で達成しました。
また、簿記2級の200〜300時間の勉強時間は、1日2時間の勉強をするとすれば、約3〜5ヶ月の勉強期間になりますね。
私の勉強時間(100時間)は、1日平均1時間ぐらいで、約3ヶ月間の勉強期間で達成しました。
- 簿記3級の勉強時間は50〜100時間が目安(1日2時間なら1〜2ヶ月の勉強期間)
- 簿記2級の勉強時間は200〜300時間が目安(1日2時間なら3〜5ヶ月の勉強期間)
1日の勉強時間と必要な勉強期間の関係
では、簿記3級の勉強時間が50〜100時間とした場合に、1日の勉強時間によって、必要な勉強期間がどのように変化するのか、確認しておきたいと思います。
例えば、1日に3時間の勉強時間が確保できる方であれば、2週間〜1ヶ月の期間になりますし、1日に2時間確保できる方なら1ヶ月〜2ヶ月程度、1日に1時間しか勉強できない方であれば、2ヶ月〜3ヶ月程度の期間が必要になると考えてスケジュールを組んでいただければよいかと思います。
1日の勉強時間 | 要する勉強期間 |
3時間 | 2週間〜1ヶ月 |
2時間 | 1ヶ月〜2ヶ月 |
1時間 | 2ヶ月〜3ヶ月 |
また、簿記2級の勉強時間が200〜300時間とした場合についても、同じように確認すると、次のようになります。
例えば、1日に3時間の勉強時間が確保できる方であれば、2ヶ月〜3ヶ月の期間になりますし、1日に2時間確保できる方なら3ヶ月〜5ヶ月程度、1日に1時間しか勉強できない方であれば、7ヶ月〜10ヶ月程度の期間が必要になると考えてスケジュールを組んでいただければよいかと思います。
1日の勉強時間 | 要する勉強期間 |
3時間 | 2ヶ月〜3ヶ月 |
2時間 | 3ヶ月〜5ヶ月 |
1時間 | 7ヶ月〜10ヶ月 |
簿記の勉強時間を他資格と比較すると?
では、簿記の合格に必要な勉強時間を他資格と比較してみると、どのような位置づけになるでしょうか。
合格に必要な勉強時間一覧表
下の表は、会計資格を中心に、その他有名な資格の合格に必要な勉強時間と難易度(偏差値)を記載した一覧表です。
※ 偏差値は、資格難易度ランキング | 資格の取り方に掲載されている数値です。
資格名 | 必要な勉強時間 | 偏差値 |
---|---|---|
公認会計士 | 3,000時間 | 77 |
税理士 | 3,000時間 | 75 |
簿記1級 | 1,000時間 | 67 |
社労士 | 1,000時間 | 65 |
行政書士 | 500時間 | 62 |
簿記2級 | 300時間 | 58 |
宅建士 | 300時間 | 57 |
ITパスポート | 100時間 | 45 |
簿記3級 | 100時間 | 45 |
まず、会計資格最難関の公認会計士と税理士が3,000時間の勉強を必要としています。
そして、簿記最上位の1級は1,000時間の勉強が必要とされ、社労士と並びますね。
次に、行政書士の500時間があり、簿記2級の300時間と続きます。
この簿記2級の300時間というのは、宅建と同じ勉強時間ということになります。
実際、宅建の合格率は15%程度ですので、簿記2級の20%と近い難易度といえそうですね。
また、簿記3級の100時間と同じなのが、ITパスポートということになります。
勉強時間と難易度には相関関係がある
上記の一覧表をグラフ化すると、資格試験の難易度は、合格するために必要な勉強時間と、相関関係があることがわかりますね。
このように、難易度の高い(偏差値の高い)資格試験ほど、合格に必要な勉強時間も多くなっています。
独学におすすめの効率的な勉強法
それでは次は、簿記3級・2級に独学で合格するための効率的な勉強法について、ご紹介したいと思います。
私がおすすめする勉強法は、以下の3つのステップです。これは、ネット試験を受験することを前提とした勉強法になります。
- テキストを読む(2周)
- 問題集を解く(1周)
- ネット模試を解く(5〜10回分)
勉強法@:テキストを読む(2周)
まずは、テキストを2周読みます。
※ おすすめのテキストは、簿記3級・2級の独学におすすめのテキストのページをご参照ください。
テキスト1周目は細かいところは気にせずドンドン読み進める
1周目に読む際は、わからないことがあっても気にせずに、とにかくドンドン読み進めることがポイントです。
細かいところは気にせず、大雑把にイメージを把握するつもりで読み進めるのがいいと思います。
細かいところを気にしすぎると前に進めなくなり、挫折してしまうおそれがありますので。。
テキストを2周読むことで全体を頭に入れてから問題集に入る
このようにしてテキストを1周読んだあと、2周目に入ります。
私は、当初の予定では、テキストを1周読んだあと、再度テキストを章ごとに読みながら、対応する箇所の問題集を解こうと思っていました。
しかし、簿記の問題は総合問題になっていますので、テキストの特定の章だけがわかっていても、問題を解くことができません。
つまり、テキスト全体が理解できていないと問題が解けないということです。
ですので、テキストを1周読んだだけでは、とても問題集に太刀打ちできませんので、最低2周は読んで、全体の内容を頭に入れてから問題集を解き始めることをおススメします。
簿記3級と2級のテキスト2周目の読み方の違い
私は、テキスト2周目の読み方(復習)を、簿記3級と2級で変えました。
簿記3級の場合は、簿記の基礎をしっかりと頭に叩き込む必要がありますので、2周目を読む際も、最初から最後まできちんと読むべきだと思います。
しかし、簿記2級に関しては、2周目は全部は読まなくても、テキストの章ごとに掲載されている練習問題(又は、要点のまとめ部分)だけを復習するような形で構わないと思います。
そして、その問題の解き方がわからないところだけ、テキストの本文を読んで確認する、といった復習の仕方でいいと思います。
とにかく、簿記の勉強はテキストに書いてあることを暗記する必要はありませんので、問題が解けるようになれば、テキストからはもう卒業です。
また、簿記2級は試験範囲が広く、テキストも2分冊になっていますので、テキスト2冊を全部読んでから復習するのではなく、途中で区切って復習した方がいいと思います。
私の場合は、商業簿記の半分まで読んだところで前半の復習、そして、最後まで読んだところで、前半・後半を合わせて復習、次に工業簿記を全部読んでから工業簿記の復習、という形に3つに分けました。
- テキスト1周目は細かいところは気にせずドンドン読み進める
- テキストを2周読むことで全体を頭に入れてから問題集に入る
- 簿記3級は簿記の基礎をしっかり理解するため2周目も全部読む
- 簿記2級の2周目は章ごとの練習問題(又は要点まとめ)だけで構わない
- 簿記2級は範囲が広いため、途中で区切って復習する(2周目を読む)
勉強法A:問題集を解く(1周)
ということで、テキストを2周読んだ後に、問題集に入ります。
よくわからないところは解説を読んで理解し、それでもわからないところはテキストに戻りながら、解き進めていきます。
テキストが理解できていても総合問題は解けない
仕訳問題は別として、簿記の問題集は総合問題になっていますので、正直言って、テキストの内容が理解できていたとしても、また、テキストに載っている練習問題が解けたとしても、総合問題はすぐには解けないと思います。
なにせ総合問題ですから。。テキストでは個別の論点を扱っていましたが、総合問題では、その各論点の知識を横断的に使って解いていく必要があります。
総合問題を解くには簿記の全体像の把握が必要
つまり、各論点が理解できていることを前提に、それを組み合わせていく必要があるわけですね。簿記の全体像が把握できていないと、これはなかなか難しいことです。
テキストから問題集に入った段階で、この挫折感を味わうことになるかと思います。
全体像の把握は総合問題を解く中で身につける
ただし、ここでテキストをまたイチから読み直そうとすると、余計な時間がかかってしまいます。
簿記の全体像の把握や各論点の横断的な理解は、総合問題を解く中で身につけていった方が効率的です。
というか、総合問題を解くことによって身につけることができると思います。
ですので、挫折感を味わいながらも心を折られずに、総合問題を解いていく根気強さが必要です。
ネット試験を受験予定の方は問題集は1周だけでOK
(3級受験時の話)なお、私は最初からネット試験を受験する予定でしたので、問題を解きながら、これってネット試験だとどんなふうに出題されるんだろう??どうやって解くんだろう??というのが、もの凄く気になりました。
これって問題用紙が手元にないんだよね??そこにメモ書きができないんだよね??と。
ということで、本来なら、問題集で間違えたところは復習して、、というのを何度か繰り返すべきところですが、ネット試験を受験される方は、問題集を1周解いたところで、すぐにネット模試を解き始めることをおすすめします。
- 総合問題を解くには簿記の全体像の把握が必要なため、最初は解けなくても仕方ない
- 全体像の把握は総合問題を解く中で身につくため心を折られずに根気強く解く
- ネット試験を受験予定の方は問題集は1周だけでOK
勉強法B:ネット模試を解く(5〜10回分)
そして、ネット模試を解いてみると、ものすごく解きにくいことが判明するはずです。
ですので、ネット試験特有の解き方に慣れるため、できるだけネット模試を使って問題を解く練習をすることをおすすめします。
本来、通常の問題集を繰り返して身につける問題の解き方を、ネット模試を使ってネット試験に慣れながら並行して身につける作戦です。これにより、時間短縮に繋がるはずです。
ネット模試といっても、市販の問題集を購入すれば、それに付いていますよね。
簿記3級では、下記のネット模試(8回分)を解きました。
- みんなが欲しかった簿記の問題集 日商3級
(1回分)
- スッキリうかる 日商簿記3級 本試験予想問題集
(5回分)
- CPAラーニング
(2回分)無料
簿記2級では、ちょっと省略して、というか試験日まで時間が足りなかったので、下記のネット模試(5回分)を解くだけで済ませました。
ちなみに、この中で、「スッキリうかる」のネット模試だけが、実際の本試験のネット試験と全く同じ画面で作られていました。
ということで、ネット模試を何度も解きまくり、合格点が取れるレベルに仕上がれば完成です。
- ネット試験は慣れが必要なため、できるけ多くのネット模試を解く
- ネット模試で、本来通常の問題集を繰り返して身につける問題の解き方も平行して身につける。
具体的な勉強スケジュール
では、上記の勉強方法に沿って勉強した私の具体的な勉強スケジュールをご紹介しておきたいと思います。
簿記3級の勉強スケジュール
簿記3級は、以下のスケジュールで勉強しました。
テキスト1周目は20時間、2周目は15時間で読み、問題集1冊を15時間で解き、ネット模試8回分を10時間で、合計60時間の勉強スケジュールでした。
勉強内容 | 勉強時間 |
---|---|
テキストを読む(2周) | (1周目) 20時間 (2周目) 15時間 |
問題集を解く(1周) | 15時間 |
ネット模試を解く(8回分) | 10時間 |
合計 | 60時間 |
簿記2級の勉強スケジュール
次は、簿記2級の具体的な勉強スケジュールです。
まず、商業簿記テキストは、前半・後半に分けて読んで、それぞれ復習しました(36時間)。
次に、工業簿記テキストは、最後まで読んでから復習しました(27時間)。
それから、商業簿記の問題集を解き(12時間)、工業簿記の問題集を解きました(10時間)。
そして、ネット模試5回分を解きました(15時間)。
以上で、合計100時間の勉強スケジュールでした。
勉強内容 | 勉強時間 |
---|---|
テキストを読む(商業簿記) | (前半) 12時間 (前半復習) 6時間 (後半) 11時間 (前半・後半復習) 7時間 |
テキストを読む(工業簿記) | (全体) 17時間 (復習) 10時間 |
問題集を解く(商業簿記) | 12時間 |
問題集を解く(工業簿記) | 10時間 |
ネット模試を解く(5回分) | 15時間 |
合計 | 100時間 |
独学勉強法のコツ
私自身、これまでは法律系・不動産系の資格ばかり勉強してきましたので、会計系の資格の勉強をしたのは今回が初めてでした。
簿記は、法律系資格とは違って、とにかく問題に慣れることが大切だと感じましたね。
コツ@:テキストは最低限の勘定科目を覚え、解き方を理解すればOK
法律系資格は、必死に記憶・暗記をしないといけませんが、簿記の場合は、テキストで最低限の勘定科目を覚え、解き方を理解すれば、あとは実践あるのみです。
問題演習を通じて、やり方・解き方に慣れていけば、自然に問題が解けるようになります。
テキストをいくら読み込んでも、総合問題を解く練習をしない限り、本試験の問題は解けるようになりません。
法律系資格は、テキストがとても大切で、テキストに載っていることを理解するだけでなく、記憶・暗記していくことが必要で、問題を解きながら、テキストに戻ってテキストを確認して記憶して、、という繰り返しの反復作業が必要ですが、簿記は違います。
コツA:あとは、とにかく問題を解く!
簿記の勉強では、とにかく問題を解く!これに尽きますね。
簿記のテキストは取扱説明書みたいなもので、最初に読んで、とりあえずの使い方を把握して、一度使い始めてしまえば、あとは実践しながら身につけていく、というイメージです。
コツB:総合問題で心を折られずに粘り強く解く練習をする!
上記の勉強法のところでも記載しましたが、テキストを読み終わってから問題集に入った際に、仕訳問題は別として、総合問題は一気に難易度がアップしますので、最初のうちはなかなか解けないと思います。
しかし、そこで心を折らずに粘り強く解く練習ができるかどうかが勝負の明暗を分ける気がしますので、強い意志を持って、解く練習をしてください。
コツC:ネット試験を受けるなら、早いうちからネット模試を解いておく!
あと、ネット試験を受験するなら、できるだけ早い段階からネット模試で問題演習しておくのも重要なポイントですね。
- テキストでは最低限の勘定科目を覚え、解き方を理解すればOK
- あとは、とにかく問題を解く!
- 総合問題で心を折られずに粘り強く解く練習をする!
- ネット試験を受けるなら、早いうちからネット模試を解いておく!
簿記の勉強時間と独学勉強法まとめ
以上、簿記3級・2級の合格に必要な勉強時間や独学で合格するための勉強法について、ご紹介してきました。
最後に、ここまでの内容をまとめておきます。
- 簿記3級・2級は独学で合格できる。
- 簿記3級は、一般的に50〜100時間の勉強時間が必要 (1日2時間なら1〜2ヶ月の勉強期間)
- 簿記2級は、一般的に200〜300時間の勉強時間が必要(1日2時間なら3〜5ヶ月の勉強期間)
- おすすめ勉強法は、テキストを読む(2周) ⇒問題集を解く(1周)⇒ネット模試を解く(5〜10回)
- 勉強法のコツは、テキストは最低限で済ませ、あとはとにかく問題を解く!
- ネット試験を受けるなら、早い段階からネット模試を解く!
独学による簿記3級の受験結果
ということで、最後に、私が簿記3級を独学で受験した結果を掲載しておきます。
ネット試験の受験結果:100点満点中、100点で合格(合格ラインは70点)
以下の写真が、合格証書です。
独学による簿記2級の受験結果
次に、簿記2級を独学で受験した結果です。
ネット試験の受験結果:100点満点中、83点で合格(合格ラインは70点)
以下の写真が、合格証書です。
- 簿記3級・2級の独学におすすめのテキスト・問題集
- 独学が不安な方はこちら⇒簿記のおすすめ通信講座ランキング
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