更新日:2023年5月9日
簿記検定は、毎年多くの社会人や学生が受験する国内最大級の資格試験です。
この簿記検定に興味をお持ちの方も多いと思いますが、実際のところどれぐらい難しいの?簡単に合格できるの?など気になっているのではないでしょうか。
そこで、このページでは、簿記検定3級・2級の難易度について、合格率や偏差値、勉強時間などの指標を使って解説していきたいと思いますので、ぜひ参考にしてください。
【執筆者】 |
![]() 執筆者紹介 |
【アドバイザー】公認会計士 濱谷慶史 2014年に公認会計士として開業し、監査法人に勤務。3年後、税理士・公認会計士として独立開業を果たす。⇒アドバイザー紹介 |
簿記3級・2級の難易度は?
簿記検定試験の難易度を測る指標としては、合格率・偏差値・勉強時間の3つが考えられます。
あとで詳しく見ていきますが、簿記3級の合格率は約40%、そして、偏差値は45とされていますので、比較的易しい資格といえますね。
また、簿記2級に関しては、合格率は約20%、そして、偏差値は58とされていますので、難易度は普通レベルの資格といえます。
次に、簿記3級に合格するために必要な勉強時間は50〜100時間といわれていますので、その気になれば、かなりの短期間で合格が可能です。
また、簿記2級については、合格するためには200〜300時間の勉強時間が必要と言われていますので、2級に関しては、そこそこしっかりとした勉強が必要になってきます。
- 合格率:(3級)約40% (2級)約20%
- 偏差値:(3級)45 (2級)58
- 勉強時間:(3級)50〜100時間 (2級)200〜300時間
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簿記の合格率で難易度を検証
それではまず、簿記検定の難易度を測るうえで、一番わかりやすい合格率から見ていきたいと思います。
簿記3級の合格率は約40%
簿記3級・2級は、統一試験とネット試験の2種類があり、合格率に差がありますので、それぞれで分けて見ていきます。
※ 統一試験とネット試験の違いについてはこちら⇒簿記のネット試験とは?違いと対策を解説
3級の統一試験は30%〜60%前後で変動
簿記3級の合格率は、統一試験では、30%前後から60%前後まで、実施の度に大きく変動しています。
実施回 (実施日) |
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第149回 (2018.6.10) |
79,421 | 35,189 | 44.3% |
第150回 (2018.11.18) |
88,774 | 38,884 | 43.8% |
第151回 (2019.2.24) |
80,360 | 44,302 | 55.1% |
第152回 (2019.6.9) |
72,435 | 40,624 | 56.1% |
第153回 (2019.11.17) |
80,130 | 34,519 | 43.1% |
第154回 (2020.2.23) |
76,896 | 37,744 | 49.1% |
第155回 (2020.6.14) |
※中止 | ||
第156回 (2020.11.15)回 |
64,655 | 30,654 | 47.4% |
第157回 (2021.2.28) |
59,747 | 40,129 | 67.2% |
第158回 (2021.6.13) |
49,313 | 14,252 | 28.9% |
第159回 (2021.11.21) |
49,095 | 13,296 | 27.1% |
第160回 (2022.2.27) |
44,218 | 22,512 | 50.9% |
第161回 (2022.6.12) |
36,654 | 16,770 | 45.8% |
第162回 (2022.11.20) |
32,422 | 9,786 | 30.2% |

このように、低いときでは30%を切る場合もありますし、高いときでは60%を超える場合もありますね。
3級のネット試験は41%で一定
一方、ネット試験は、例年41%でほぼ固定して推移しています。
実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2020年12月〜2021年3月 | 58,700 | 24,043 | 41.0% |
2021年4月〜2022年3月 | 206,149 | 84,504 | 41.0% |
2022年4月〜2022年9月 | 95,651 | 39,118 | 40.9% |
このように、統一試験とネット試験とで合格率に違いがありますが、おおむね40%程度の合格率と認識しておけばよいかと思います。
合格率40%というと、資格試験の難易度としては、比較的易しいといえそうですね。
次は、簿記2級の難易度について見ていきます。
簿記2級の合格率は約20%
2級の統一試験は10%〜30%前後で変動
簿記2級の合格率は、統一試験では、10%前後から30%前後まで、実施の度に大きく変動しています。
実施回 (実施日) |
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第149回 (2018.6.10) |
38,352 | 5,964 | 15.6% |
第150回 (2018.11.18) |
49,516 | 7,276 | 14.7% |
第151回 (2019.2.24) |
49,766 | 6,297 | 12.7% |
第152回 (2019.6.9) |
41,995 | 10,666 | 25.4% |
第153回 (2019.11.17) |
48,744 | 13,195 | 27.1% |
第154回 (2020.2.23) |
46,939 | 13,409 | 28.6% |
第155回 (2020.6.14) |
※中止 | ||
第156回 (2020.11.15)回 |
39,830 | 7,255 | 18.2% |
第157回 (2021.2.28) |
35,898 | 3,091 | 8.6% |
第158回 (2021.6.13) |
22,711 | 5,440 | 24.0% |
第159回 (2021.11.21) |
22,626 | 6,932 | 30.6% |
第160回 (2022.2.27) |
17,448 | 3,057 | 17.5% |
第161回 (2022.6.12) |
13,118 | 3,524 | 26.9% |
第162回 (2022.11.20) |
15,570 | 3,257 | 20.9% |

このように変動はありますが、簿記2級の統一試験の合格率は、おおむね20%程度と考えておけばよいかと思います。
簿記3級は40%ですので、その倍の難しさということになりますね。
ただし、資格試験としては、合格率20%というのは、普通レベルの難易度といえます。
2級のネット試験は40%前後で一定
一方、ネット試験は、例年40%前後で推移しています。
実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2020年12月〜2021年3月 | 29,043 | 13,525 | 46.6% |
2021年4月〜2022年3月 | 106,833 | 40,713 | 38.1% |
2022年4月〜2022年9月 | 45,861 | 17,091 | 37.3% |
これはちょっと驚きの結果ですよね。
統一試験では、20%前後の合格率しかないのに対し、ネット試験では、なんと40%近くもあるんです。
これは、ネット試験の仕組み上、複雑な問題が作れないため問題が易しくなっているというような話や、統一試験で既に2級を取得している人がネット試験を受け直すため合格率が上がっているというような話もあるようですが、実際のところは、どうなんでしょうかね。。
簿記の偏差値で難易度を比較
次は、簿記検定の偏差値について見ていきたいと思います。
簿記3級は偏差値45の易しい資格
偏差値というのは、平均点を50とし、受験者全体の得点分布に基づき算出される数値ですので、受験者の属性がまったく異なる資格試験を跨いで、各資格試験の偏差値を算出するというのは、本来は不可能です。
ところが、資格難易度ランキング | 資格の取り方というサイトにおいて、公表されている合格率や合格点などの情報や傾向に基づき、推定の偏差値を独自に算出するという試みがなされています。
この数値によると、簿記3級の偏差値は45とされており、やはり易しい資格だというのがわかりますね。
簿記2級は偏差値58の普通レベルの難易度
次に、簿記2級を見てみると、偏差値は58とされています。
偏差値50台は、普通レベルの難易度ですので、やはり合格率で見たのと同様、簿記2級は、資格試験としては普通レベルの資格といえます。
簿記の偏差値を他資格と比較
偏差値だけを単独で見ても、なかなかイメージしにくいかと思いますので、他の有名な資格と比較してみたいと思います。
会計資格としては、最難関の公認会計士(偏差値77)、次いで税理士(偏差値75)があり、そこから大きく開いて簿記1級(偏差値67)が続きます。
簿記1級と簿記2級(偏差値58)の間にも大きな差がありますが、その中間には、社労士(偏差値65)や行政書士(偏差値62)がありますね。
そこから簿記3級(偏差値45)までにも大きな開きがありますが、簿記2級にかなり近い難易度の資格として宅建(偏差値57)が位置しています。
宅建は、合格率も15%程度ですので、簿記2級の20%と近い難易度といえそうですね。
また、簿記3級に近い難易度として、ITパスポート(偏差値45)があります。
資格名 | 偏差値 |
---|---|
公認会計士 | 77 |
税理士 | 75 |
簿記1級 | 67 |
社会保険労務士 | 65 |
行政書士 | 62 |
簿記2級 | 58 |
宅建(宅地建物取引士) | 57 |
ITパスポート | 45 |
簿記3級 | 45 |
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簿記の難易度と勉強時間の関係は?
次は、簿記の難易度を測る指標として、「合格するために必要な勉強時間」で比較してみたいと思います。
簿記3級の勉強時間は50〜100時間
簿記3級に、初学者が合格するためには、一般的に、50〜100時間程度の勉強時間が必要といわれています。
私も、この一般的に必要とされる勉強時間どおり、約60時間の勉強で合格できましたので、50〜100時間というのは信用できる数値だと考えられます。
簿記2級の勉強時間は200〜300時間
そして、簿記3級の合格者が簿記2級に合格するためには、一般的に、200〜300時間程度の勉強時間が必要といわれています。
私の場合は、一般的な勉強時間よりも短い100時間程度の勉強時間で合格することができましたので、この勉強時間にはかなりの個人差があるかもしれませんね。
難易度と勉強時間には相関関係がある
では、この勉強時間を、上記の偏差値のところで比較した有名な資格で、同様に比較してみたいと思います。
簿記検定を含め、資格試験の難易度は、試験に合格するために必要な勉強時間と、ある程度の相関関係があります。
資格名 | 偏差値 | 必要な勉強時間 |
---|---|---|
公認会計士 | 77 | 3,000時間 |
税理士 | 75 | 3,000時間 |
簿記1級 | 67 | 1,000時間 |
社労士 | 65 | 1,000時間 |
行政書士 | 62 | 500時間 |
簿記2級 | 58 | 300時間 |
宅建士 | 57 | 300時間 |
ITパスポート | 45 | 100時間 |
簿記3級 | 45 | 100時間 |
このように、難易度の高い(偏差値の高い)資格試験ほど、合格に必要な勉強時間も多くなっていますね。
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簿記3級・2級は独学で合格できる?
ここまでで、簿記検定の難易度がどれぐらいのものなのか、ご理解していただけたかと思います。
では、簿記3級・2級は、独学でも合格できるのでしょうか?合格するには、どんな勉強をすればいいのでしょうか。
独学でも合格は可能!
私自身は、簿記3級・2級には独学の勉強で合格しました。
簿記2級までは、独学であっても、市販のテキスト1冊をしっかりと読み、問題集を複数回繰り返すだけで、独学合格も可能な資格です。
独学の勉強法のポイントは以下のとおりです。
- テキストを読む(2周)
- 問題集を解く(1周)
- ネット模試を解く(5〜10回分)
独学におすすめのテキストについては、簿記3級・2級の独学におすすめのテキスト・問題集のページを参考にしてください。
独学のコツ
なお、私自身が独学で簿記の勉強をした際に感じた独学のコツは、以下のとおりです。
- テキストでは最低限の勘定科目を覚え、解き方を理解すればOK
- あとは、とにかく問題を解く!
- 総合問題で心を折られずに粘り強く解く練習をする!
- ネット試験を受けるなら、早いうちからネット模試を解いておく!
独学におすすめの勉強法や勉強のコツについては、簿記3級・2級は独学で合格できる!おすすめ勉強法のページで詳しくご紹介していますので、そちらをご参照ください。
簿記の難易度まとめ
以上、簿記検定3級・2級の難易度について見てきました。
最後に、ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。
- 簿記3級の合格率は約40%、偏差値は45、勉強時間は50〜100時間で易しい難易度
- 簿記2級の合格率は約20%、偏差値は58、勉強時間は200〜300時間で普通レベルの難易度
- 独学でも合格が可能!
簿記3級は、易しい資格で、簿記2級は普通レベルの資格ではありますが、どちらも半分以上の受験生が落ちる試験ですので、油断は禁物です。
しかし、独学で挑戦するにしても、講座を受講するにしても、しっかりと計画を立てて、とにかく最後までやり切ることができれば、誰でも合格できる資格だと思っています。
是非、簿記の合格を目指して頑張ってください!
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