無事釣り終えて茶屋川沿いの林道にある駐車地に戻り着替えをしていると、濃紺の制服に赤帽姿で隊列を組んだ10人程の集団が緊張気味で足早に茨川方向に通り過ぎて行った。 その時はどこかの登山者の集団かな? と思った程度で特に異常事態とは思わなかった。 しばらくして同じ服装の3人が周囲をきょろきょろ見回しながら来られ私と目が合った人が『今日は』と言われたので私もオーム返しに『今日は』と挨拶をした。 手には長い柄の付いた尖った草刈鎌のような物を各人持っている。 続いて5-6人がさらに2人がそして最後に年配の上司らしい人が一人でゆっくりと歩いて来られた。 いくら鈍い私でもこれはただ事ではないな! と思い思わず声を掛けてみた。 『何事ですか?・・・』 その人は一瞬躊躇いがあったようだが立ち止まり『昨日より地元のお婆さんが行方不明となっておりその捜索をしている』との事であった。 やっと気が付いたのはこれらの人達は地元の消防団の方々だということを そういえば今朝6時過ぎに杠葉尾を通過したとき、須谷川の土手やR-421沿いに同じ服装した人達が並んで何か作業をされているの見た事をやっと思い出した。 これはたいへんと思い、今回の遡行でお婆さんに会ったかを思い出してみたが記憶に無く、取りあえず杠葉尾迄降りてみることにする。 杠葉尾には人影が無く話の聞き様が無い、仕方なくひろせ屋さんに立ちより表の自販機で缶コーヒを購入する。 店内で話し声がするので今日はと言いながら中に入るとおかみさんと年配の男の人が座っておられたのでこの件を聞いてみる。 おかみさんの話ではこの地に住んでおられる85歳のお婆さんが昨日の午後2時より姿が見えなくなり全員で探しているとの事であった。 お婆さんは痴呆症ではなく徘徊癖も無いので余計に心配している。 三重県より嫁いで来られたので山越えで三重方面に向われたのではないかとR-421や茨川林道を皆で手分けして捜索しているところであり、集落一世帯に一人以上は捜索に参加しているとのこと。 やっと概略が分ったが如何せん私は何も手伝うことが出来ないので、早く無事にお婆さんが見つかることを念じながら帰路についた。