甲状腺の病気について

甲状腺とは
甲状腺は、のどぼとけの下にあります。正面から見ると蝶の形に似ています。正常の甲状腺は柔らかいので外からは触ってもわかりません。健康診断などで甲状腺が腫れていると指摘された場合は、自己免疫甲状腺疾患(バセドウ病や橋本病など)、甲状腺腫瘤、甲状腺がんなどの可能性があります。 当院では採血、エコー検査などにて精査を行っています。

甲状腺の働き 
甲状腺は、生きていくのに必要な甲状腺ホルモンを作り、分泌する臓器です。甲状腺ホルモンは、心体のいろいろな臓器に運ばれて、身体の新陳代謝を盛んにする、交感神経を刺激する、成長や発達を促すなどの大切な働きをしています

バセドウ病
甲状腺ホルモンの分泌が過剰になります。
症状: 脈が早くなる、体重が減少する、手の指が振える、汗をよくかく、甲状腺が大きくなる、眼球が突出する、 などの症状があります。
治療法:まずは、お薬を内服することにより甲状腺機能の安定化を目指します。内服薬には、チアマゾール(MMI:メルカゾール)とプロピルチオウラシル(PTU:チウラジ-ル/プロパジール)の2種類があります。その他に、無機ヨード治療(ヨウ化カリウム丸)があります。MMI、PTUは、無顆粒球症を起こすことがあるので、定期的な血液検査を行うことが必要です。
但し、妊娠初期の患者さんは、メルカゾールの内服が、胎児に影響する可能性がわずかにあるため、PTUを使うことが多いです。
ヨウ化カリウム丸は、甲状腺機能を速やかに正常化させたい場合、MMI、PTUに副作用がある場合に使用します。内服治療が、副作用などにより継続困難な場合、手術もしくは、アイソトープ治療を行います。アイソトープ治療は、伊藤裕進医師が、近畿大学医学部付属病院にて行っています。

橋本病
 30~60歳の女性に多く、軽症を含めると成人女性の30人に一人いるとされています。
 甲状腺に慢性の炎症が起こり、炎症が進行すると甲状腺の働きが悪くなり、甲状腺機能低下症となります。
症状:何もやる気がしない、疲れやすい、眼瞼の浮腫、寒がりになる、体重が増加する、動作がゆっくりになる、眠気が強い、記憶力が低下する、便秘、声がしゃがれる等の症状がでます。
治療法:お薬を内服し、甲状腺ホルモンの補充を行います。副腎機能低下症を合併している場合には、副腎ホルモンの補充を行ってから甲状腺機能の補充を行います。