音波と超音波

HOME : 試験案内 : 目次 : 掲示板 : 参考書 : Link : 参考文献 : メール



  未熟な左手が作った生体物理に関するノートです。誤りがございましたら、ご連絡下さい。



音波と超音波

音波・超音波とは

  一般に音波とは、音を出すものが振動することによって、その周囲に伝わる波動を言います。人間が耳に聞こえる音の周波数は20〜20KHzでこれを可聴周波数と言います。超音波は、人間の可聴周波数(20kHz)以上の音波を言います。簡単に言う超音波は人が聞くことができない高い音です。ちなみに音波と電磁波は、同じ波動ですが異なるものです。


音波・超音波の性質

≪伝搬性≫

  音波は、物体の振動の伝播であるため、電磁波のように真空中では音は伝わりません。

≪物質と伝播速度≫

  音波は、電磁波と比べ遅く、伝搬速度は媒質の硬さと密度に依存し、周波数には無関係です。つまり、空気中と水中では音の伝わる速さは違いますが音の高さは変化しません。
生体物質の伝播速度 : 骨>筋肉>血液>水>脂肪>空気 (硬そうなものほど速く伝播します。)
水中の音速約1500m/s、空気中の音速約340m/s →水中/空気≒5倍
※ 生体軟部組織と水中の音速はほぼ同じです。

≪反射と屈折≫

  反射は、媒質の密度と伝播速度の積で表される固有音響インピーダンスの差が大きく程強い反射が起こります。
生体物質の固有音響インピーダンス : 骨>筋肉>血液>水>脂肪>空気 (伝播速度と同じ)
屈折はスネルの法則に従います。

≪吸収係数≫

  どれだけ減衰するか(水の音響インピーダンスとの比)
生体物質の吸収係数(1MHz) : 骨>空気>筋肉>脂肪>血液>水

≪周波数と波長と減衰≫

  周波数が大きいほど波長は短くなり、逆に周波数が小さいほど波長は長くなります。
高周波(短波長)ほど分解能が良く、指向性が良く、減衰が大きい(透過性が悪い)
低周波(長波長)ほど分解能が悪く、指向性が悪い、減衰が小さい(透過性が良い)
減衰は拡散、吸収、散乱が関与します。


ドプラ現象

  音源と観測者の相対速度によって、観測者が受信する音の高さが変化する現象です。
音源あるいは観測者が近づけば近づくほど周波数は高く(高音)なり、遠ざかって行けば行くほど周波数は低く(低音)なります。救急車が近づくと音が高くなり、通り過ぎると低くなる現象。これは、音に限らず、電磁波といった波でも起こります。
この現象は、エコー検査で非観血的に血流方向や血流速度を測定するのに用いられています。

≪受信周波数≫ ドプラ現象

f [Hz]=受信した音の周波数     c [m/s]=音速
Vo [m/s]=観測者の速度      fo [Hz]=発信周波数
Vs [m/s]=音源の速度

 c±Vo →近づけば+、遠ざかれば−
 c±Vs →近づけば−、遠ざかれば+

≪角度修正(ドプラシフト)≫

fd [Hz]=ドプラシフト     fo [Hz]=発信周波数
V [m/s]=血流速度     C [m/s]=超音波の伝搬速度    
θ [°]=超音波ビームの軸と血流のなす角








      目次