トランジスタと半導体素子

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  未熟な左手が作った第2種MEの電子回路に関するノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。



トランジスタ

≪種類≫

  トランジスタには、電子・正孔がともに動作に関与するバイポーラトランジスタとどちらか一方しか動作に関与しない電界効果トランジスタ(FET、ユニポーラトランジスタ)の2種類に大別されます。

≪作用≫

  @増幅作用
  Aインピーダンス変換作用
  Bスイッチング作用
  増幅作用とは、入力信号を一定の割合で振幅やエネルギーを増大させて出力させることを言います。
しかし、トランジスタが自ら電圧や電力を生み出し、出力信号を増幅するわけではなくトランジスタに供給された電源から電圧や電力を得てそれを入力信号に一定の割合で上乗せして出力させます。言い換えれば、トランジスタの増幅作用は供給電源を制御して入力信号を増幅させる素子といえます。そのため、増幅作用はトランジスタに供給された電源の能力以上の電圧や電力を出力することはできません。
  インピーダンス変換とは、トランジスタの入力端子側から見た入力インピーダンスとトランジスタの出力端子側から見た出力インピーダンスとのインピーダンス変換をいいます。
生体信号を増幅する場合、効率よく信号を増幅させるため入力インピーダンスを大きくし、出力インピーダンスを小さく変換することで用いられます。
  スイッチング作用は、電流を流したり止めたりするスイッチとして使われます。



バイポーラトランジスタ

≪構造≫

  バイポーラトランジスタは、ダイオードと同じくp形半導体とn形半導体を組み合わせたものです。
その構造は2つの同じ半導体が、違う半導体を挟んだサンドイッチ構造をしており、その組み合わせによってpnp形トランジスタ(p形半導体がn形半導体を挟んだ形)とnpn形トランジスタ(pn形半導体が形半導体を挟んだ形)の2種類が実現します。
  トランジスタは、それぞれの半導体からリード線(端子)を接続するため、3つ端子をもつこととなります。各端子はトランジスタの基本動作からエミッタ(emitter)端子、ベース(base)端子、コレクタ(collector)端子と名づけられます。

バイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタ



バイポーラトランジスタと電界効果トランジスタ(FET)の違い

バイポーラトランジスタ
(トランジスタ)
ユニポーラトランジスタ
(電界効果トランジスタ;FET)
キャリア
(動作に関与する電荷)
電子・正孔がともに動作に関与電子・正孔どちらか一方しか
動作に関与しない
動作制御電流制御電圧制御
端子(3つ)エミッタ(E)、ベース(B)、コレクタ(C)ソース(S)、ゲート(G)、ドレイン(D)
入力インピーダンストランジスタ<<FET

電界効果トランジスタ(FET)



半導体素子

光デバイス

≪CCD(Charge-coupled device;電荷結合素子)≫

  CCDに光が当たると、各部分で光の強度に比例して電子−正孔対が発生し、電荷として蓄積されます。これを利用して、撮像デバイスとして応用されています。
例)ビデオカメラ、ディジタルカメラ、内視鏡など


≪発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)≫

  pn接合に順方向の電圧(順バイアス)をかけ、そこに電流が流れるとp形半導体の正孔とn形半導体の電子の結合が起こります。その結合の際に放出されるエネルギーが光として放射されます。これを利用して、発光素子として応用されています。


フォトダイオード

  pn接合に逆方向の電圧(逆バイアス)をかけておき、pn接合部に光が当たると電流が流れます。
これを利用して、光センサとして応用されています。


太陽電池

  pn接合にバイアス電圧をかけずに、光を当て起電力として取り出します。
これを利用して、光センサとして応用されています。


フォトトランジスタ

  npnトランジスタのベース部分に光を当て、その光照射量でコレクタ電流を制御します。
これを利用して、光センサとして応用されています。


光導電セル

  半導体に光を照射させるとキャリアを発生し、導電率を高くなります。
これを利用して、光センサとして応用されています。
素材として可視光用としてはCdS(硫化カドミウム)、赤外線サーモグラフィ用としてはHgCdTが用いられます。


光電子倍増管

  真空管の一種で、光照射により真空中に飛び出した電子(光電子)が電極に衝突するたびに新たな電子(二次電子)をたたき出し、最終的に106倍程度の電子が出力されます。
非常に感度の高い光センサとして利用されています。


≪液晶≫

  固体と液体の中間の性質を持ち、加える電圧を変える事で、光の透過率を変えることができる素子です。
これを利用して表示装置に応用されています
液晶自体は、発光しませんので注意してください。後ろから光を当てて電圧をかけることで液晶の方向を変え光を遮ったり、通したりする素子です。


その他の半導体素子

ホール素子

  電流が流れている半導体に、電流と直角に磁界が加えられると起電力が発生します。
これを利用して、磁気センサとして応用されています。


サーミスタ

  半導体に温度変化が生じると抵抗値が大きく変わります。
これを利用して、温度センサとして応用されています。
半導体を利用したサーミスタは、温度が上昇するにつれ抵抗値は低下します(導電率が高くなります)。


その他の回路素子

ストレインゲージ

  物体に外力が加わり物体が変形するとその大きさに比例して抵抗値の変化します。
これを利用して、変位センサや力センサとして用いられます。
物体の抵抗値は、長さに比例し断面積に反比例するため物体が変形することによって抵抗値は高くなります。


熱電対

  2種類の金属をくっつけることにより、温度差に応じた起電力を発生します。
これを利用して、温度センサとして応用されています。


圧電素子

  ある素材に外力が加わり素材が変形するとその大きさに比例した電荷が素材表面に発生します(ピエゾ効果)。
これを利用して、変位センサや力センサとして用いられます。
圧電素子は、超音波振動子に用いられ素材としては、水晶やBaTiO3(チタン酸バリウム)、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)等が用いられます。








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