半導体とダイオード(pn接合)

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  未熟な左手が作った第2種MEの電子回路に関するノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。



半導体

半導体とは

 電気をよく流す導体と電気をあまり通さない絶縁体との中間にある性質又はその性質を持つ物質を半導体といいます。
半導体と呼ばれる物質には、周期表14(4B)族に存在するケイ素(Si;シリコン)やゲルマニウム(Ge)などがあります。

≪自由電子と正孔≫

  物質に電気が流れるとは、自由電子が動くで起こります。半導体の場合、自由電子は原子に外部から力(熱、光など)が加えられることで原子を構成する電子が軌道から外れ発生します。軌道から外れた電子は、物質内を自由に動き回ることができることので自由電子と呼ばれます。
原子の一番外側の軌道を回る電子を最外殻電子又は価電子(シリコンは4個)と呼びますが、その最外殻電子は原子核と距離が離れているため結びつきが弱く、内側の軌道を回る電子に比べ電子が飛出しやすく自由電子になりやすい電子です。
  原子に外部からエネルギーが加えられ、最外殻電子の電子が外へ飛出し電子の抜けた場所を正孔又は、ホールと呼びます。正孔は、負の電荷をもつ電子を失うため正の電荷を帯びることになります。

自由電子と正孔

≪キャリア≫

  半導体中では、キャリアと呼ばれる荷電粒子が動くことによって電流が流れます。そのキャリアには、負の電荷をもつ電子と正の電荷をもつ正孔の2種類が担います。
正孔は、ホール(孔)ですが荷電粒子として扱います。
これは、下記図を見てもらえば分かりますが、価電子が自由電子となり隣の正孔に移動した場合、最初に価電子がいた場所が新たな正孔となり、正孔だった場所に電子が納まります。
自由電子を主体に考えると左から右に移動したように見えます。逆に正孔を主体に考えると右から左に正孔が移ったように見えます。実際動いているのは自由電子で、正孔は電子の空席が移動しているだけなのですが正孔を正電荷をもつ粒子が動いたと考えた方が便利なため、正孔を正の電荷の粒子と考えます。

キャリア

  数の多いキャリア(自由電子、正孔)を方を多数キャリア、少ない方を少数キャリアと呼びます。


≪性質≫

  金属では、温度が高くなることで導電率は低下(電気を通しにくくなる)しますが、半導体では、導電率が上昇(電気を通しやすくなる)します。


≪種類≫

半導体には構成よって2種類に分けられます。
  真性半導体 : 不純物が入っていない半導体
  外因性半導体 : わずかな不純物を混ぜた半導体
不純物とは、半導体(Si、Geなど)中のキャリアのバランスを崩すためにに混ぜる物質(P、Bなど)で半導体中のキャリアを動きやすくさせます。



外因性半導体

  外因性半導体は、添加する不純物によって電流を流すキャリアが異なり、そのキャリアによってn形半導体とp形半導体に分けられます。

≪n形半導体≫

  不純物に価電子を5個持つ、周期表15(5B)族元素に存在するリン(P)などをわずかに混ぜた半導体をn形半導体と呼びます。n形半導体の多数キャリアは、電子で電子によって電流が流れます。
  15(5B)族元素は、Si(シリコン)やGe(ゲルマニウム)の半導体に比べて価電子が1個多いため、余分な価電子が自由電子となり半導体に負の電荷を供給する役割を果たすため ”ドナー” と呼ばれます。
ちなみに、n形半導体のnは電流を流すキャリアが負(negative)電荷であるためその頭文字のnをとったものです。


≪p形半導体≫

  不純物に価電子を3個持つ、周期表13(3B)族元素に存在するホウ素(B)などをわずかに混ぜた半導体をp形半導体と呼びます。p形半導体の多数キャリアは、正孔で正孔によって電流が流れます。
  13(3B)族元素は、Si(シリコン)やGe(ゲルマニウム)の半導体に比べて価電子が1個少ないため、不足な価電子が正孔となり半導体の負の電荷を受け取る役割を果たすため ”アクセプタ” と呼ばれます。
ちなみに、p形半導体のpは電流を流すキャリアが正(positive)電荷であるためその頭文字のpをとったものです。



ダイオード(pn接合)

ダイオードとは

  p形半導体とn形半導体をつないだものをpn接合と呼び、これにリード線(端子)を接続し回路素子としたものをダイオードと呼びます。
ダイオードの回路図記号は、ダイオード で表記されます。

≪整流作用≫

  ダイオードには、電流を一方向にしか流さない整流特性をもちます。
ダイオードのp形半導体に正の電圧、n形半導体に負の電圧を加える順方向バイアス(順バイアス)では、電流がよく流れます。
逆にダイオードのp形半導体に負の電圧、n形半導体に正の電圧を加える逆方向バイアス(逆バイアス)では、電流を流さなくなります。

ダイオード

  ダイオードに交流電圧をつないだ場合、順方向の電圧はそのまま出力され、逆方向は電流が流れないので出力電圧は0となります(下記図参照)。

ダイオード

≪降伏現象≫

  逆バイアス電圧を大きくしていくと、ある値を境に電流が流れる現象をいいます。








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