酸と塩基と塩
酸と塩基の性質
(1) 酸の性質
@すっぱい味(酸味)をもつ
A青色リトマス紙を赤くする。
BpH<7の物質
※このような性質持つものを酸性といい、酸性を示す物質を酸とよぶ。
例) 塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3) etc...
(2) 塩基の性質
@赤色リトマス紙を青くする。
A酸の水溶液の酸性(酸の性質)を打ち消す(中和)
BpH>7の物質
※このような性質持つものを塩基性といい、酸性を示す物質を塩基とよぶ。
水の溶けやすい塩基をアルカリとよび、その水溶液の性質をアルカリ性とよぶ。
例) アンモニア(NH3)、水酸化Na(NaOH)、水酸化K(KOH) etc...
酸と塩基の定義
(1) 酸の定義
・水溶液中で水素イオンH+(H3O+)を生じる物質(アレーニウスの定義)
例) HCl(酸)+H2O → H3O++Cl2 又は、HCl → H++Cl−
・水素イオンH+を与える物質(ブレンステッドの定義)
例) HCl(酸)+NH3 → NH4++Cl− (酸はH+をNH3に与えている)
(2) 塩基の定義
・水溶液中で水酸化物イオンOH−を放出する物質(アレーニウスの定義)
例) NaOH → Na++OH−
・水素イオンH−を受け取る(奪う)物質(ブレンステッドの定義)
例) HCl+NH3(塩基) → NH4++Cl− (塩基はH+をHClから受け取っている)

酸・塩基の価数
(1) 酸の価数
酸1分子がもっている、H+となることのできる水素原子の数を、酸の価数という。
酸1分子がm個のH+を出すことができる場合、m価の酸という。
例) H2SO4 → 2H++SO42− (硫酸は2価の酸)
1価の酸
(一塩基酸)
| 塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、酢酸(CH3COOH)、フェノール(C6H5OH)
|
2価の酸
(二塩基酸)
| 硫酸(H2SO4)、炭酸(H2CO3)、シュウ酸(H2C2O4) |
3価の酸
(三塩基酸)
| リン酸(H3PO4) |
(2) 塩基の価数
塩基1分子が受け取ることのできるH+の数を、塩基の価数という。
塩基1分子がm個のH+を受け取った場合、m価の塩基という。
例) NH3+H+ → NH4+ (アンモニアは1価の塩基)
1価の塩基
(一酸塩基)
| アンモニア(NH3)、水酸化Na(NaOH)、水酸化K(KOH) |
2価の酸
(二酸塩基)
| 水酸化Ca(Ca(OH)2)、水酸化バリウム(Ba(OH)2) |
3価の酸
(三酸塩基)
| 水酸化アルミニウム(Al(OH)3) |
電離と酸・塩基の強弱
(1) 電離
酸や塩基は、水溶液中で陽イオンと陰イオンにわかれる。この現象を電離という。
又、水溶液中で電離できるような物質を電解質という。
(2) 酸・塩基の強弱
酸や塩基の電解質には、水に溶かすとほとんどすべてが陽イオンと陰イオンにわかれ(電離す)る物質がある。このような酸や塩基を強酸・強塩基という。
逆に、ごくわずかしか陽イオンと陰イオンにわかれ(電離し)ない物質がある。このような酸や塩基を弱酸・弱塩基という。
強酸(電離大) | 塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4) |
弱酸(電離小) | 炭酸(H2CO3)、酢酸(CH3COOH) |
強塩基(電離大) | 水酸化Na(NaOH)、水酸化K(KOH)
水酸化Ca(Ca(OH)2)、水酸化バリウム(Ba(OH)2)
|
弱塩基(電離小) | アンモニア(NH3) |
中和反応と塩
(1) 中和反応(中和)
酸と塩基から塩ができる反応。又は、酸のH+と塩基のOH−から水(H2O)ができる反応
例) HCl(酸)+NaOH(塩基) → NaCl(塩)+H2O
(2) 塩
塩基の陽イオンと酸の陰イオンが結合した化合物
(3) 加水分解
水の作用によって起こる分解反応
(4) 塩の加水分解
塩に水が加わることによって、塩基と酸が生じ、その強弱によって、酸性又はアルカリ性を示す現象を塩の加水分解という。
@強酸と強塩基からなる塩 →加水分解せず中性
A強酸と弱塩基からなる塩 →加水分解して酸性
B弱酸と強塩基からなる塩 →加水分解してアルカリ性

(5) 中和の計算

《例題》
1)ある濃度の酢酸溶液10mlを中和するのに0.5規定の水酸化Na溶液を
中和するのに4mlを要した。この酢酸は何規定?
(答え) 0.2[N]
2)1mol/l水酸化Na溶液50mlを中和するのに0.5mol/l硫酸は、何ml必要か?
(答え) 50[ml]
※この例題の解説(計算式)は こちらへ
(6) 指示薬
指示薬 | 酸性色 ⇔ アルカリ性色 |
リトマス紙 | 赤色 ⇔ 青色 |
メチルオレンジ | 赤色 ⇔ 黄色 |
フェノールフタレイン | 無色 ⇔ 赤色 |
(7) pH
水溶液の性質を表すのに使われる酸性や塩基性は、水素イオン濃度[H+]によって左右される。
しかし、水素イオン濃度[H+]は、非常に小さいかつ広い範囲(1〜10-14[mol/l])で変化するため、このままでは数値として扱い難い。
そこで水素イオン濃度[H+]を対数の逆数で表したのがpHである。
(8) pHと酸性、中性、塩基性
中性の水溶液は、[H+]=10-7[mol/l]であるから、水溶液中で水素イオンH+を生じる酸は、
[H+]=10-7[mol/l]より大きい値となるため、酸が強いほどpHは小さくなる。逆に、水溶液中で水酸化物イオンOH−を放出し、H++OH−→H2Oとする塩基は、[H+]=10-7[mol/l]より小さい値となるため、塩基が強いほどpHは大きくなる。

《例題》
1)pH2の水溶液の水素イオン濃度は、pH5の水溶液の水素イオン濃度の何倍?
(答え) 1000倍
2)pH10のの水溶液の水素イオン濃度は、pH8の水溶液の水素イオン濃度の何倍?
(答え)1/100倍
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酸化還元反応
(1) 酸化・還元の定義

《例題》 酸化された(した)もの、還元された(した)ものを答えよ。
1)CuO+H2 → Cu+H2O
(CuOは、酸素を失い還元された。H2は、酸素を受け取り酸化された)
(逆にCuOは、酸素を与えH2を酸化した。H2は、酸素を奪いCuOを還元した)
2)I2+H2S → 2HI+S
(I2は、水素を受け取り還元された。H2Sは、水素を失い酸化された)
(逆に、I2は、水素を奪いH2Sを酸化した。H2Sは、水素を与えI2を還元した)
3)Cu+Cl2 → CuCl2
Cu → Cu2++2e−
Cl−+2e− → 2Cl2
(Cuは、電子を失い酸化された。Cl2は、電子を得て還元された)
(逆にCuは、電子を与えCl2を還元した。Cl2は、電子を奪いCuを酸化した)
(2) 酸化数
化合物中の原子の酸化状態を表す数を酸化数という。

《例題》次の酸化数を求めよ
1)Cu
(答え) ルール@より、0
2)Cl−
(答え) ルールAより、−1
3)H2OのHとOとH2O
(答え) ルールBより、Hは1 、Oは−2
ルールCより、H2Oは(1×2)+(−2)=0
4)SO42-のS
(答え) ルールBとDより、S+(−2×4)=−2 ⇔ S=−2+8=6
(3) 酸化剤と還元剤

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