感染症予防と感染症法

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の公衆衛生学に関するよりぬきノートです。
公衆衛生学は、法律改正や人口動態などによって内容が変化しやすい分野です。
内容的に古いものや誤りがございましたら、ご連絡下さい。




感染症予防

感染症の成立

@ 感染源
A 感染経路
B 宿主(宿主の感受性)


感染源

≪保菌者≫

  生体内又は、体表に病原体を保有しておりながら、自覚症状、他覚症状がほとんどなく、一見健康であるが病原体を排出し、感染源となり得る者
  B型肝炎ウィルス持続的陽性者は例え症状がなく、肝機能が正常でも、組織学的に肝炎所見を有する例があり、無症候性キャリアと呼ばれる。


感染経路

≪直接感染≫

  飛沫感染(咳、くしゃみ) 、垂直感染(経胎盤・産道・母乳感染) 、水平感染(血液、STD等)

≪間接感染≫

  空気感染、水系感染
空気感染疾患・・・結核、水痘、麻疹、風疹


日和見感染

  宿主の感染防御能が低下し、易感染状態にあるとき、通常では感染しないような病原性の低い微生物によって引き起こされる感染


院内感染

  病院における入院患者が原疾患とは別に新たに罹患した感染症、又は医療従事者が院内において罹患した感染症


新興感染症

  過去20年間の間に、それまで明らかにされていなかった感染症
エボラ出血熱、HIV、C・D・E型肝炎ウィルス、大腸菌O157;H7など


再興感染症

  かつて存在した感染症で近年再び増加あるいは将来的に再び増加する恐れのある感染症
結核、ペスト、マラリアなど

感染症法

  感染力、罹患した場合の重篤性、感染経路などから1類から5類に分類される。

分類定義と感染症
1類感染症感染力、罹患した場合の重篤性などからみた危険性が極めて高い感染症
@ エボラ出血熱 A クリミア・コンゴ出血熱 B 痘瘡 C 南米出血熱 D ペスト E マールブルグ病 F ラッサ熱
2類感染症感染力、罹患した場合の重篤性などからみた危険性が高い感染症
@ 急性灰白髄炎(ポリオ) A 結核 B ジフテリア C 重症急性呼吸器症候群(SARS) D 鳥インフルエンザ(H5N1)
3類感染症危険性は高くないが、特定の職業への就業によって集団感染を起こしうる感染症
@ コレラ A 細菌性赤痢 B 腸管出血性大腸菌感染症 C 腸チフス D パラチフス
4類感染症動物、飲食物などに物仲を介して人に感染を生じるもの
5類感染症国民一般や医療関係者に情報提供・公開していくことによって、発生・蔓延を防止すべき感染症
指定感染症政令で1年間に限定して指定された既知の1〜3類を除く感染症。
新感染症重症で危険性の高い感染症で、今までに知られていないもの。1類と同等の扱いとする
 《届出》
   1類〜4類までは、すべて全数届出。診断後直ちに届出
   5類の42種のうち14種は全数届出。残り28種は定点のみ届出。診断後7日以内に届出。
 《定点届出》
   指定届出機関(定点)からの報告をもとに把握する。
2008年5月2日改正

外来伝染病対策

  主に検疫により、国内に常在しない伝染病の病原体が船舶又は航空機に介して国内への侵入を防止。

≪指定検疫伝染病≫

  黄熱、コレラ、ペスト、エボラ出血熱、クリミア、コンゴ出血熱、マールブルグ病、ラッサ熱

予防接種法

  集団的防御より個人的な防御となり、義務的、強制的な接種はなくなり、接種を受けるか否かは個人の自由な任意接種となった。
  勧奨・個別接種とする努力義務のある” 一類疾患 ”と流行又はそのおそれのある” 二類疾患 ”に分類される。


分類対象疾患備考(ワクチン)
定期一類疾病百日咳 3種混合ワクチンとして接種。
 百日咳は不活化(死菌)ワクチン
 破傷風・ジフテリアはトキソイド
ジフテリア
破傷風
ポリオ(急性灰白炎)生ワクチン
麻疹(はしか)
風疹
日本脳炎不活性化(死菌)ワクチン
定期2類疾病インフルエンザ

結核予防法

≪予防接種≫

  ツベルクリン陰性者にBCG接種が定められている。

≪医療費≫

  医療費自己負担分の公費負担制度がある

≪罹患率≫

  70歳以上が最も多い(80%以上)。排菌陽性者患者はほとんど減少していない

≪死亡率≫

  欧米先進国に比べて高い








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