自然呼吸と人工呼吸の胸腔内圧と気道内圧
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| 吸気時 気道内圧、胸腔内圧ともに陰圧 呼気時 気道内圧陽圧。胸腔内圧陰圧 | | 吸気時 気道内圧、胸腔内圧は陽圧 呼気時 気道内圧陽圧。胸腔内圧陰圧 |
人工呼吸器の各時相

@ 吸気相
人工呼吸器から肺へガスを送り出す時期。
2つの規定因子が存在する。
@) 圧規定 | : | 設定された気道内圧までガスを送り出す。 Ex) 従来の圧規定換気、圧規定換気(PCV) |
A) 量規定 | : | 設定された換気量までガスを送り出す。 Ex) 量規定換気(VCV) |
A 吸気から呼気への転換相
ガスの送り込みをやめる又は維持した後、吸気から呼気に切り換える時期。
3つの規定因子が存在する。
@) | 圧サイクル方式(従圧式) 気道内圧があらかじめ設定された圧に達すると、吸気から呼気へと切り換わる。 気道内圧が一定に保たれるが、1回換気量が気道抵抗によって変化する。 Ex) 従来の圧規定換気
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A) | 容量サイクル方式(従量式) あらかじめ設定された換気量のガスが肺に送り込まれると、吸気から呼気へと切り換わる。 1回換気量は一定に保たれるが、気道抵抗が高くなる場合がある。 Ex) 量規定換気(VCV)
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B) | 時間サイクル方式 あらかじめ設定された吸気時間を過ぎると、吸気から呼気へと切り換わる。 Ex) 圧規定換気(PCV)
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※ | EIP(吸気終末休止) 吸気相の終りにすぐに呼気相に移らず、しばらく肺の中にガスを貯めることで不均等換気を是正 通常、呼吸サイクルの10%をEIPとする。
EIP(吸気終末休止)と肺胞換気 |
B 呼気相
患者自らの肺と胸郭の弾性収縮力によって、肺をしぼませガスを呼出させる時期
圧をかけず大気圧に開放する方法(Ex 間欠的陽圧換気(IPPV))と、呼気相の終りに一定の陽圧をかける呼気終末陽圧(PEEP)という方法(Ex 持続的陽圧換気(CPPV)がある。
≪PEEP (呼気終末陽圧)≫
呼気時に気道を大気に開放せず、一定の圧を保つことで肺胞の虚脱を防ぎ酸素化を改善する。
調節換気ではCPPV、自発呼吸ではCPAPと呼ぶ。
長所 | | | | | | 短所 |
| @ 酸素化の改善(PaO2の上昇) A 機能的残気量の増加 B 気道閉塞、肺胞虚脱の防止 →肺内シャント減少、換気・血流比改善
| | @ 圧損傷発生率増加 A 静脈血灌流量減少 B 心拍出量減少 →血圧低下 C 尿量減少 |
≪I:E比(吸気呼気時間比)≫
吸気相(I)と呼気相(E)の時間的割合。 通常は、I:E比=1:2
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C 呼気から吸気への転換相
呼気から吸気への切換える時期。
3つの規定因子が存在する。
@) | 時間 あらかじめ設定された呼気時間を過ぎると、ガスの送気を開始する。 Ex) 間欠的強制換気(IMV) |
A) | トリガー方式 吸気相の開始が、患者によって決めれる。 患者の努力呼吸によって生じた気道内圧(又は流量)の変化によってガスの送気が開始される。 |
B) | @) とA) をあわせた方式 あらかじめ設定された呼気時間より前に努力呼吸を感知するとトリガー方式、設定された呼気時間を過ぎるとガスの送気を開始する。 Ex) 同期式間欠的強制換気(SIMV) |
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