呼吸生理 その3

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の呼吸生理に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。


酸素の運搬

  肺による血液の酸素化は、PaO2によって示されるが、酸素化された血液は血流に乗って組織に運ばれなければならない。
血中の酸素は、溶存酸素と結合酸素の状態で存在するが、大部分の酸素はヘモグロビンと結合した結合酸素で組織に運ばれる。

血中の酸素と指標

≪溶存酸素≫

  血漿中に物理的に溶解している酸素。血中溶存気体量=0.003(溶解度)×PaO2

≪結合酸素≫

  ヘモグロビン(Hb)と化学的に結合している酸素。Hbは1gで酸素1.34mlと結合

≪酸素飽和度(SO2)≫

  血中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかという指標


酸素解離曲線

酸素解離曲線

  酸素分圧(PO2、動脈血ではPaO2)とSO2との関係を示した曲線。
直線的な比例関係ではなくS字カーブを描く

≪PO2とSO2の関係≫

PO2
100mmHg60mmHg30mmHg
SO2100%90%60%

  肺や動脈のようなPO2が、高い(100〜60mmHg程度)と多少のPO2の低下でも酸素飽和度は高値を維持する。言い換えれば、そこでは血中のヘモグロビンが酸素と結合しやすく放出し難いことを示している。
  一方、組織のようにPO2が、低い(60mmHg以下)とわずかなPO2の低下で急激に酸素飽和度が低下する。言い換えれば、そこで大量の酸素がヘモグロビンから放出されることを示している。


≪右方偏位と左方偏位≫

  酸素解離曲線は、血液のpHや体温などの影響を受け、解離曲線全体が右側・左側にシフトする。

右方偏位と左方偏位

右方偏位

要因アシドーシス、高体温、高炭酸ガス血症、2.3‐DPGの上昇
作用組織に酸素を放出し易く、動脈血酸素分圧が高くないとHbと結合し難い。

左方偏位

要因アルカローシス、低体温、低炭酸ガス血症、2.3‐DPGの低下
作用組織に酸素を放出し難いが、動脈血酸素分圧が低くてもHbの酸素化が可能

酸素含量(CaO)

  血液100mlに含まれる酸素の量を酸素含量とよぶ。
  血液中に含まれる酸素の量(酸素含量)は、赤血球中のHgと結合している酸素と血漿中に溶解している酸素を合計したもので次式で表される。
酸素含量(CaO)

Ex) 酸素飽和度=100%、PaO2=100mmHg、Hg=14g/dlの時のHb結合酸素と血中溶解酸素

酸素含量(CaO)
Hb 結合酸素

1.34×Hb[g/dl]×酸素飽和度[%]/100
1.34×14×100÷100
18.76
血中溶解酸素

0.003×PaO2[mmHg]
0.003×100
0.3

  血中の溶解酸素はわずかであり、組織に運ばれる酸素は@ 心拍出量、A 酸素飽和度、B Hb量 に規定される


低酸素血症と低酸素症

≪低酸素血症》

血中への酸素(PO2)供給が低下している状態


≪低酸素症》

組織への酸素供給が低下している状態。生命維持にとって重篤な状態

低酸素性低酸素症PaO2、SaO2の低下
貧血性低酸素症酸素運搬(Hb)の低下。見かけ上PaO2は低下しない。

チアノーゼ

  還元ヘモグロビンが5g/dlを越えると生じる皮膚や粘膜が青紫色となる状態
Hbの多い(多血症)人はチアノーゼに陥りやすく、逆に貧血の人はチアノーゼに陥り難い。
低酸素血症の指標とはならない。



炭酸ガスの運搬

血液中のCO2

@静脈中に溶解。約5%
A血漿中の蛋白質や赤血球中のHbとカルバミノ結合。約10%
B炭酸水素イオンHCO3-として存在する。約85%(血漿中;60%、赤血球中;20%)

CO2ナルコーシス

  著明な呼吸性アシドーシス時に急激な高濃度酸素投与又は高流量酸素により、換気刺激が減少し換気努力が減退し、CO2が蓄積される。
防止策 :著明な呼吸性アシドーシス時での酸素投与にあたっては、酸素濃度、流量に留意する。






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