生体の音波・超音波・熱に対する性質

HOME : 試験案内 : 目次 : 掲示板 : 参考書 : Link : 参考文献 : メール



  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の生体物性工学に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。




生体の音波・超音波に対する性質

縦波

  波に伝わる方向が媒質の振動方向と同一(平行)のもの
生体内の音響振動としては、縦波が重要


横波

  波に伝わる方向が媒質の振動方向と直角のもの

波の種類


減衰定数

水など減衰定数は周波数の2乗に比例して増加
生体組織減衰定数は周波数の1乗に比例して増加

生体組織の超音波特性

  音響インピーダンス、音速、吸収係数(減衰定数)に依存する

≪音速≫

  音速
骨>軟組織(筋肉>脂肪)>肺  (硬さに比例)


≪音響インピーダンス≫

  音速
骨>軟組織(筋肉>脂肪)>肺  (硬さに比例)


≪減衰定数≫

  肺>頭蓋骨>軟組織>血液


超音波の生体作用と安全性

100mW/cu以下生体組織は非可逆的変化を受けない
10W/cu以上キャビテーション現象が起こる


生体の熱に対する性質

熱産生

≪熱産生≫

成人男性 : 60〜150W

25〜35%・・・仕事エネルギー(物質合成、筋収縮、能動輸送など)
65〜75%・・・熱エネルギー(体温維持と残りを体外へ放出)

≪熱産生部位≫

安静時運動時
筋肉20%80%
肝・内臓50%12%

※ 多くが骨格筋で熱産生が行われている。


熱放散

≪生体内部からの熱の移動(体内→体表面)≫

血液循環約99%
熱伝導約1%

※ 血液循環が殆どを占める


≪体表からの熱の放散(体表面→空気中)≫

放射(輻射)2/3 (10μmの遠赤外線が生体から放出)
蒸散(発汗、不感蒸泄)1/4
伝導・対流1/10

※ 放射と蒸散が多くを占め、運動時には蒸散が増える。


≪熱伝導率≫

水 (1.0) >筋肉 (0.68) >脂肪 (0.33)
※ 水が一番熱を伝えやすい

熱の移動


温熱治療器 (ハイパーサーミア)

ハイパーサーミアとは、温熱療法の一つで腫瘍の治療に用いられる。

≪原理≫

  正常組織に対して、腫瘍組織が熱に弱い性質があるため加熱して壊死させる。


≪熱処理温度と生存温度≫

  腫瘍は正常組織に比べ、同一処理時間(100分)の熱処理に対して約42.5℃を境に生存率が急激に低下する。


≪加熱方法≫

RF波(電磁波加熱)8〜40MHz →生体深部侵入。筋肉組織より脂肪組織を加温
マイクロ波500〜2450MHz →体表吸収。脂肪組織より筋肉組織を加温







      目次