心臓・脈管系の生体物性

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  未熟な左手が作った臨床工学技士国家試験の生体物性工学に関するよりぬきノートです。
誤りがございましたら、ご連絡下さい。




心臓・脈管系の生体物性

心拍出量

1回の平均拍出量70ml
1分間当りの平均心拍数75回
心拍出量 (拍出量×心拍数)約5l/分
→循環血液量とほぼ同じ(1分ですべての血液が全身をめぐりかえってくる)

心臓のポンプ作用


心拍出量の調節

≪スターリングの法則≫

  静脈から心臓への血液流入量が多く、拡張期の心臓の容積が大きいほど心臓の収縮期拍出量は増加する


≪心拍数の調節≫

  心収縮は神経系に支配されないが、心拍数は自律神経系とホルモン系よって変化
1回心拍出量が低下すると、心拍出量を維持するため心拍数は増加する。


≪左心機能の障害≫

  右心が送出した血液を左心に送出すことができず肺うっ血を生じ、肺水腫となる


≪右心機能の障害≫

  血液は体循環系にうっ滞し、末梢に浮腫が生じる


血管構造

内膜弾力性のある弾性線維
中膜弾性線維と平滑筋とからなる。筋が緊張することで管径を変えられる
外膜結合組織で血管とその周囲組織を結び付けている

体循環の血管径

≪大動脈・動脈≫

  弾性線維が発達し、心臓によって間歇的には駆出された血液が動脈内に蓄えられ、末梢血管にはより低常流に近い平滑化された血流を送り出す。この部分の血管を弾性血管と呼び、その作用はポンプの空気溜め(Wind Kessel)に例えられる。


≪小動脈≫

  中膜の筋線維が発達し、血管内径を変化させることによって血流調節を行っており、抵抗血管と呼ばれている。


≪毛細血管≫

  内皮細胞のみからなり、各臓器の組織内に密に分布し物質交換を行っているので交換血管と呼ばれている。


≪静脈≫

  血管内容積が大きく、大量の血液を蓄えることができるので容量血管と呼ばれる。
静脈は動脈に比べて血管壁が薄く、弾性に乏しいので潰れやすい


ウィンドケッセル(Windkessel)モデル

  心臓を空気溜に見立て大動脈の弾性を表すコンプライアンスと毛細血管の粘性を表す末梢血管抵抗の2つの定数で心臓負荷を巨視的に表したもの。


血流の自己調整

  腎臓や脳などでは、運動時、安静時に関わらず常に一定の血流が流れているのに対して、骨格筋や冠状動脈の血流量は運動時と安静時では大きく変動し又、毛細血管では、常に血流があるのではなく、流れたり流れなかったりしている。


血圧の自己調整

  平均動脈圧は正常値で約100mmHg程度であるが、小動脈の部分の管径変化によって毛細血管圧は30mmHg程度まで大幅に低下させる。


脈波伝搬速度 (PWV)

  脈波伝搬速度とは、心臓から血液が送り出される際に生じる動脈壁の拍動(脈波)が血管壁を伝わる速度(m/s)

@血管壁が硬くなるほど、PWVは速くなる
A血管壁が厚くなるほど、PWVは速くなる
B血管密度が高くなるほど、PWVは遅くなる
C血管径が大きくなるほど、PWVは遅くなる







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