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その6.知っ得!助成金情報(3)

こんにちは、社会保険労務士の吉田です。

さて、今回は、キャリ形の中でも、一番支給額が大きい反面、手続きの煩雑さと仕組みのややこしさから、事業主が独自で申請するのがなかなか難しい、新入社員の教育訓練を実施した場合に支給される「認定実習併用職業訓練コース」について説明します。

これは、ざっくり言うと、新入社員に社内訓練(OJT)と社外訓練(OFF-JT)を組み合わせた研修を、半年以上の時間をかけてしっかり行っている事業主に対して、訓練にかかる賃金と、経費を助成してくれる制度です。

例えば、新入社員に1年間の新人研修を行う場合を考えます。
まず、助成金の受給条件として1年間での訓練の総時間は850時間以上必要です。
また、そのうちの2割以上をOFF-JTとする必要があります。
つまり、1年間の訓練を、一番短い850時間で計画する場合、OJTは680時間、OFF-JTは170時間必要となります。
賃金助成はOJTについては1時間当たり600円、OFF-JTについては1時間当たり800円支給されます。
結果、1年間の訓練で、賃金助成だけでも新入社員1人当たり54万4千円受給出来ることになります。
さらに、外部の機関で行ったOFF-JTに、事業主がお金を支払った場合、その半額が支給されます。

どうですか? 結構大きいですよね!
どこの会社でも新入社員さんは、まず仕事を覚えてもらうまでは、ほぼ研修です。会社は新入社員に仕事を教えてあげ、なおかつ賃金も支払っているのです。
その間の賃金の一部を、国が補助してくれるんです!
これは知らないでいると本当に損しますよね。

ただ、この助成金の厄介なのは、全訓練時間のうち2割以上をOFF-JTにしなければならないということです。OJTについては、通常通り、社内で先輩社員が新入社員に仕事を教えてあげればいいのですが、OFF-JTについては必ず外部の訓練機関で行う必要があります。
年間170時間以上も、外部訓練を受けさせるなんて、その受講費だけで相当な額になりますし、そもそも、170時間分も適当なセミナーや研修を探すことが大変ですよね。
しかし、外部研修は必ずしも、事業主が受講費を支払わなければならないものしか認められないということはないんです。
つまりどういうことかと言いますと、例えば、会社でお付き合いのあるディーラーや業者に頼んで、そこに無料の講習をしてもらったりしても、OFF-JTとして認められるんです。
例えば、美容室であれば、付き合いのあるディーラーにお願いして、そこで取り扱っている薬剤の知識や塗布方法などの研修を行ってもらってもOKですし、
クリニックであれば、取引のある製薬会社などにお願いして、薬の使用方法や、成分などの講義をしてもらってもOKです。
工場であれば、使用している機械工具の商社に頼んで、その使用方法をレクチャーしてもらう、なんていうのももちろんOKです。
こうやって、うまくOFF-JTのカリキュラムを組むことが出来れば、OFF-JTに大きな負担をかけずに訓練が実施できます。

あと、この助成金のいいところは、訓練開始前に、綿密な計画を立てて、その訓練計画通りに新入社員に訓練を受けさせることで、より質の高い訓練を訓練生に受けてもらうことができることです。また、訓練生には毎日、訓練日誌を書いてもらう必要もありますので、自身も日々の訓練内容を省みながら成長していくことが出来ます。

金銭的にも大きく、新入社員にも大きく成長してもらうことができる。
個人的に、一番オススメの助成金です!