２９代　欽明天皇（きんめいてんのう）

年齢　63歳
在位　32年間(539年～)　
継体天皇の嫡男
★継体天皇は先々代仁賢天皇の手白香皇女を皇后に迎え入れ、嫡子の広庭皇子（欽明天皇）が応神の男系血統と、仁徳天皇以来の王朝の血統を継承したとされ、現皇統へと続く祖となった。
★大伴金村と物部尾輿を大連とし、蘇我稲目宿禰を大臣としたが、大伴金村は失脚により物部氏と蘇我氏の二極体制ができあがる
★欽明天皇は562年（欽明天皇23年）に新羅に対して討伐軍を送る（敵の罠にかかって退却）

仏教公伝

552年(欽明天皇13年)に百済から仏像と経文が伝来する（仏教伝来そのものに関しては、『上宮聖徳法王帝説』『元興寺伽藍縁起』を根拠として戊午年・538年とする説が有力である）
これによって、廃仏派の物部氏と崇仏派の蘇我氏の間で対立がおこり、物部氏は寺を焼き、仏像を投げ捨てる事までした。これにより物部氏と蘇我氏の間の確執が始まる。
★難波池
物部尾輿が「向原の寺（家）」を焼き払った際、仏像を「難波（なにわ）の堀江」に投げ込んだ。しかし、その後も疫病は続き、仏像は再度「難波の堀江」に投げ込まれる。現在の向原寺の寺域内に「難波池」がある。向原寺にある絵巻には、難波の堀江に仏像が投げ込まれた様子などが描かれている

宮都　磯城島金刺宮（しきしまのかなさしのみや）

所在地；奈良県桜井市金屋・外山
磯城嶋金刺宮は、第29代欽明天皇が営んだ宮です。日本書紀には欽明天皇の時百済の聖明王から仏像や経文などが献じられ我が国に仏教がはじめて公的に伝えられたことが記されています。この頃、仏教の受け入れについては賛否があったので、天皇は試しに大臣の蘇我稲目に仏像を授けて礼拝させました。また、記紀によると、このころ大和朝廷の勢力は、任那を拠点に朝鮮半島へも広がっていたとされています。しかし、友好関係にあった百済の聖明王が新羅との戦で亡くなると、新羅により任那も滅ぼされてしまいました。欽明天皇は、任那の復興を期して新羅と戦いましたが、果たせなかったとされています。仏教公伝の年については、日本書紀の記述によると西暦５５２年になりますが、『上宮聖徳法王帝説記』などによると西暦５３８年になり、後者が有力な説とされています。
（桜井市ＨＰ）

即位年をめぐる議論

『日本書紀』によれば、欽明天皇は庶兄・宣化天皇が崩御した後即位したとされているが、同書の紀年には幾つかの矛盾が見られ、それを解決するための議論がいくつか提示されてきた。
①平子鐸嶺
継体天皇の没年を『古事記』の527年とし、その後2年ずつ安閑・宣化が在位して、『日本書紀』での継体の没年にあたる531年に欽明天皇が即位したと主張した。
②喜田貞吉
欽明の即位年は531年という点では同意するが、彼の即位を認めなかった勢力が3年後の534年に安閑を擁立、彼は1年で崩御したが、続いて宣化を擁立する等欽明朝と安閑・宣化朝は一時並立し、宣化の崩御により解消されたと主張した。
③水野祐・白崎昭一郎
継体の没年については平子説に同意するが、水野はその後は安閑が8年間在位し、535年に欽明が即位、宣化は架空の人物と見なし、白崎は安閑の在位は4年でその後はさらに4年宣化・欽明両朝が並立したとみなした。

御陵名　桧隈坂合陵（ひのくまのさかあいのみささぎ）

所在地；奈良県高市郡明日香村大字平田
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。
遺跡名は「梅山古墳（平田梅山古墳）」で、墳丘長140メートルの前方後円墳である。
『日本書紀』『延喜式』にある「檜隈坂合陵」は橿原市の見瀬丸山古墳（五条野丸山古墳）に比定する説もある。

吉備姫王墓

欽明天皇陵の南側に位置し、猿石で有名な古墳です。吉備姫王(きびひめのみこ)は欽明天皇の孫で、皇極天皇・孝徳天皇の母、天智天皇・天武天皇の祖母にあたります。

３０代　敏達天皇（びたつてんのう）

年齢　48歳
在位　13年間(572年～)　
欽明天皇の第二皇子
★父方・母方の双方からそれぞれ継体天皇・仁賢天皇・雄略天皇の血を引いている
★物部守屋がそのまま大連を引き継ぎ、蘇我馬子が大臣になった。
★欽明天皇は562年（欽明天皇23年）に新羅に対して討伐軍を送る（敵の罠にかかって退却）

仏教政策

敏達天皇は崇仏派の蘇我馬子が寺を建て、仏を祭るとちょうど疫病が発生したため、585年に物部守屋が天皇に働きかけた仏教禁止令を出させ、仏像と仏殿を燃やさせた。その年の8月15日病が重くなり崩御。仏教を巡る争いは更に次の世代に持ち越された。皇太子はおらず、崩御の翌月の585年10月、異母兄弟の大兄皇子(日本書紀の表記による)が用明天皇として即位した。

宮都　訳語田幸玉宮（おさたのさきたまのみや）

所在地；奈良県桜井市戒重
訳語田は桜井市戒重の春日神社のあたりとされている。これは春日神社がかって他田宮（おさだのみや）と呼ばれていて戒重の小字に和佐田があり、この地名は明治以前は治田（おさだ）であり、平安時代の「他田庄」由来するなどがある。
※この宮はこの後、悲劇の英雄、大津皇子の邸宅となっており、皇子はここで死を賜った。（桜井市ＨＰ）
※このあたりは江戸時代に入って、織田氏の藩邸があったところである。また、西阿が1341年に開住城を築いたところで、楠木正成なきあとの南朝を守る基地であった。（桜井市ＨＰ）

御陵名　河内磯長中尾陵（こうちのしながのなかのおのみささぎ）

所在地；大阪府南河内郡太子町大字太子
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。
遺跡名は「太子西山古墳」で、墳丘長113メートルの前方後円墳である。
太子西山古墳には円筒埴輪が認められる点で時代的に疑問点が残るため、真陵を葉室塚古墳（太子町葉室）に比定する説も挙げられている。

３１代　用明天皇（ようめいてんのう）

年齢　48歳
在位　2年間(585年～)　
欽明天皇の第四皇子
★崇仏派であり仏法を重んじ、仏教を公認、それが後の推古天皇以降の仏教隆盛につながった。
★用明天皇は疱瘡のため、在位2年足らずの用明天皇2年（587年?）4月9日（古事記では4月15日）に崩御した。

宮都　磐余池辺雙槻宮（いわれのいけのへのなみつきのみや）

桜井市池之内宮跡遺跡橿原市東池尻町宮跡遺跡

所在地；橿原市東池尻町221
『日本書紀』によると磐余池辺雙槻宮は5世紀前半に履中天皇が造った磐余池のほとりに建設されたとされている。
奈良県桜井市阿部あるいは同市池之内などの説があったが、2011年に天香久山から北東に数百メートルの位置にある発掘現場（橿原市東池尻町221）で古代の堤跡とその堤上の大型建物跡が発見された。
堤跡上には東西4メートル、南北17.5メートル以上の大型建築物とその他の建物6つ、塀跡が見つかっており、磐余池辺雙槻宮である可能性が高いと報道されている

上之宮遺跡（聖徳太子の上宮）

上之宮（うえのみや）遺跡は聖徳太子の上宮（かみつみや）である可能性が高く、高貴な人の建物に用いられる二重の長方形状の、四面庇（しめんひさし）の大型建物遺構で北側に長棟の脇殿を配し、東側と南側を柵列で囲み、それぞれに門が備えられています。また西側からは園地遺構が見つかり、庭園部分から日本最古の木簡が出土しています。鼈甲や木器の他、果実の種なども出土し、桃やスモモの核が多量に出土したことから、周囲には花園があったとみられ、当時の園池としては第1級の規模・格式を持っていたと思われます。

御陵名　河内磯長原陵（こうちのしながのはらのみささぎ）

所在地；大阪府南河内郡太子町大字春日
陵形；宮内庁上の形式は方丘。
遺跡名は「春日向山古墳」『日本書紀』では天皇は崩御後の7月21日に「磐余池上陵（いわれのいけのへのみささぎ）」に葬られたうえで、推古天皇元年（593年）9月に「河内磯長陵」に改葬されたとする。
初葬地とされる「磐余池上陵」の所在もまた明らかでないが、「池上（池辺）」の地名を持つことから前述の池辺双槻宮付近と推測する説がある。なお、現陵の一帯ではほかに敏達天皇陵・推古天皇陵・聖徳太子墓・孝徳天皇陵があり、用明天皇陵を加えたこれら5陵墓は梅花になぞらえて「梅鉢御陵」とも称される。

３２代　崇峻天皇（すしゅんてんのう）

年齢　40歳
在位　5年間(587年～)　
欽明天皇の第12皇子
★大臣の蘇我馬子によって推薦され即位した。
★大連の物部守屋は同母兄の穴穂部皇子を即位させようとはかるが、穴穂部皇子は蘇我馬子によって殺害されてしまう。

宮都　倉梯柴垣宮（くらはしのしばがきのみや）

金福寺(倉梯柴垣宮跡) 倉梯柴垣宮伝承地(高齢者総合福祉センター)

所在地；奈良県桜井市倉橋
倉梯柴垣宮は、第３２代崇峻天皇が営んだ宮です。「大和志」によると、一見民家のような佇まいの金福寺が倉梯柴垣宮跡と記されています。記紀には、崇峻天皇の時、かねてより仏教の礼拝などをめぐる蘇我氏と物部氏との対立がついに戦となり、物部守屋が戦死して廃仏派の物部氏が敗れ、没落した丁未の乱（物部守屋の変）といわれる事件が記されています。

天皇暗殺

即位したが政治の実権は馬子が握っており、不満を感じた天皇は「いつかこの猪の首を斬るように、自分が憎いと思っている者を斬りたいものだ」と献上された猪を笄刀（こうがい）で猪の目を刺した。そのことを聞きつけた馬子は部下に天皇暗殺命令を下し、儀式に臨席させた天皇を東漢駒に暗殺をさせた。天皇の殺害は確定している例では唯一であり、死亡当日に葬ったこと、陵地・陵戸がないことは他に例が無い。近年、歴史学者の佐藤長門は「王殺し」という異常事態下であるにも関わらず、天皇暗殺後に内外に格段の動揺が発生していないことを重視して、馬子個人の策動ではなく多数の皇族・群臣の同意を得た上での「宮廷クーデター」であった可能性を指摘している。

御陵名　倉梯岡陵（くらはしのおかのみささぎ）

所在地；奈良県桜井市大字倉橋
陵形；宮内庁上の形式は円丘
『日本書紀』に「馬子宿禰が群臣に『今日、東漢直駒（やまとのあやのあたいこま）をして、天皇を弑せまつらしむ。是の日に、天皇を倉梯岡（くらはし）陵に葬りまつる』とある。崇峻天皇陵は、崇峻天皇の位牌を祀る金福寺があったことから倉梯柴垣宮の旧地と伝えられてきた小字「天皇屋敷」（桜井市倉橋）に現在の陵に改定された。 1876年（明治9年）、奈良県十市郡倉橋村にあった雀塚と呼ばれる古墳が一旦崇峻天皇陵として治定された。ただし、根拠には乏しく近年では、桜井市倉橋にある巨大方墳、赤坂天王山古墳を崇峻陵とする森浩一の見解が有力視されるようになっている。

３３代　推古天皇（すいこてんのう）

年齢　75歳
在位　36年間(592年～)　
欽明天皇の皇女で、母は蘇我稲目の女・堅塩媛。
★敏達天皇は異母兄で夫。用明天皇は同母兄、崇峻天皇は異母弟。蘇我馬子は母方の叔父。
★甥の厩戸皇子を皇太子として万機を摂行させたとされる。

宮都　豊浦宮（とゆらのみや）

所在地；奈良県明日香村豊浦
603年推古天皇が豊浦宮から小墾田宮に移った後に、豊浦寺を建立したとされている。 552年百済の聖明王が近年の発掘調査で寺院の遺構に先行する建物跡がみつかり、これを裏付けている。伽藍配置の一部が明らかとなっている。また、出土した瓦からは飛鳥寺との関係が深いことや、遠隔地からも供給されていたことなどが判明した。（古都飛鳥保存財団）

宮都　小墾田宮（おはりだのみや）

所在地；奈良県明日香村豊浦
推古天皇は即位した豊浦宮から(603年)に小墾田宮へ遷都を行いました。さらに765年まで断続的に史料に登場しており、長く維持された宮殿であったことがわかります。雷丘周辺の発掘調査で、小墾田宮については飛鳥時代の掘立柱建物や塀、さらに奈良時代から平安時代にかけての掘立柱建物や礎石建物などが確認されています。特に「小治田宮」「小治宮」と書かれた墨書土器が奈良時代の井戸内から出土したことから、雷丘周辺から石神遺跡の東方にかけて飛鳥時代の小墾田宮跡が存在していた可能性が高まっています。

厩戸皇子を皇太子とし、万機を摂行させた

厩戸皇子は蘇我氏と強い血縁関係にあり、父母はいずれも欽明天皇を父に持つ異母兄妹であり、異母のキョウダイ婚によって生まれた子供とされている。幼少時から聡明で仏法を尊んだと言われ、様々な逸話、伝説が残されている。仏教の受容を巡って崇仏派の蘇我馬子と排仏派の物部守屋との激しく対立では、厩戸皇子は、白膠の木を切って四天王の像をつくり、戦勝を祈願して、勝利すれば仏塔をつくり仏法の弘通に努めると誓い、物部軍を攻め立て、守屋は迹見赤檮に射殺され物部氏は没落した。

遣隋使

公正な女帝の治世のもと聖徳太子はその才能を十分に発揮し、冠位十二階（603年）・十七条憲法（604年）を次々に制定して、法令・組織の整備を進めた。 607年、小野妹子を隋に派遣した。中国皇帝から政権の正統性を付与してもらう目的で過去にもたびたび使節が派遣されていたが、初めて日本の独立を強調する目的で使節が派遣された。翌年からは入隋の使節に学問生・学問僧を同行させた。また、594年に出された、三宝（仏・法・僧）を敬うべしという詔が示しているように、女帝は太子や馬子と共に仏法興隆にも努め、斑鳩に法隆寺を建立させたりした。

御陵名　磯長山田陵（しながのやまだのみささぎ）

所在地；大阪府南河内郡太子町大字山田
陵形；宮内庁上の形式は方墳または長方墳。遺跡名は山田高塚古墳
日本書紀では628年3月の崩御ののち、同年9月に遺詔により「竹田皇子之陵」に葬ったとするが、所在地・陵名に関する記載は無い。一方で古事記では、「大野岡上」から「科長大陵」への改葬の旨が見えるが、こちらには竹田皇子との合葬に関する記載は無い。延喜式では、推古天皇陵は遠陵の「磯長山田陵」として記載され、扶桑略記では1060年に「推古天皇山陵」で盗掘があったという。なお、現陵近くの二子塚古墳を真陵に比定する説もあるほか、改葬前の陵（大野岡上）については植山古墳（奈良県橿原市）に比定する説がある。

３４代　舒明天皇（じょめいてんのう）

年齢　49歳
在位　12年間(629年～)　
敏達天皇の第一皇子押坂彦人大兄皇子の子
★ 蘇我蝦夷は群臣に諮ってその意見が田村皇子と山背大兄王に分かれていることを知り、田村皇子を立てて天皇にした。
★舒明天皇の時代、政治の実権は蘇我蝦夷にあった。

宮都　岡本宮（おかもとのみや）

所在地；奈良県高市郡明日香村岡
即位翌年（630年）10月、飛鳥岡のふもとの岡本宮（おかのふもとのおか）に遷宮した。その6年後の636年6月、岡本宮は火災で焼失し、舒明天皇は田中宮（たなかのみや、現在の橿原市田中町）へ遷ることとなった。飛鳥岡は南の細川山から明日香村の方へ延びてきている尾根の総称で、石舞台古墳付近から飛鳥坐神社の辺りまでを指す。現況の雷丘を指すものではないと考えられている。
在位中、最初の遣唐使を送り、唐からの高表仁の返訪を受けた。唐には使者の他にも学問僧や学生が渡り、隋の頃に渡った者も含め、高向玄理と僧侶の霊雲、旻、南淵請安が帰国した。百済と新羅からの使節も訪れた。

宮都　田中宮（たなかのみや）

所在地；奈良県橿原市田中町
舒明天皇が636年（舒明8年）に飛鳥岡本宮の焼失後、百済宮に遷るまでの仮宮としてこの地に構えたといわれ、その後寺院（田中廃寺）が建立されたとの考えられています。これまで法満寺周辺で行われた発掘調査では、総柱の建物や四面に廂を持つ大型の建物、回廊状の施設が想定できる柱穴が確認されています。

山背大兄王との皇位後継

推古天皇が病死後にその後継問題が発生し、蘇我氏の庶流境部摩理勢らが推す山背大兄王と皇位を争うが、蘇我入鹿は巨勢徳多、土師猪手、大伴長徳および100名の兵に、斑鳩宮の山背大兄王を襲撃させる。山背大兄王は戦闘を望まず、生駒山を下り斑鳩寺に入り、妃妾など一族はもろともに首をくくって自害し、上宮王家はここに絶えることとなる。蘇我蝦夷は、入鹿が山背大兄王を殺害したことを聞き、激怒した。蘇我氏の実権が蝦夷の息子の蘇我入鹿に移ると、入鹿はより蘇我氏の意のままになると見られた古人大兄皇子の擁立を企て、その中継ぎとして皇極天皇を擁立した。このため、王と蘇我氏の関係は決定的に悪化する。

御陵名　押坂内陵（おさかのうちのみささぎ）

所在地；奈良県桜井市大字忍阪
陵形；宮内庁上の形式は上円下方（八角形をなす上八角下方墳）
皇極天皇元年12月21日に「滑谷岡（なめはざまのおか）」に葬られたうえで、皇極天皇2年9月6日（643年10月23日）に「押坂陵」に改葬されたとする。その後、陵は所在不明となったが、元禄探陵の際に当時「段ノ塚」と呼ばれていた本古墳が舒明天皇陵に決定された。現在は陵内の糠手姫皇女押坂墓、近在の大伴皇女押坂内墓とともに宮内庁の管理下にある。また明治天皇陵（伏見桃山陵）以降の天皇陵が採用する上円下方の陵形は、本古墳がモデルになっている。

３５代　皇極天皇（こうぎょくてんのう）

３７代　斉明天皇（さいめいてんのう）

年齢　68歳
舒明天皇の皇后で、天智天皇・間人皇女（孝徳天皇の皇后）・天武天皇の母。
皇極天皇　在位　3年間(642年～)　
★皇極天皇は生きているうちに皇位を譲った初めての天皇
斉明天皇　在位　6年間(655年～)　
★孝徳天皇の崩御後、62歳のとき、飛鳥板蓋宮で再び皇位に即いた。
★政治の実権は皇太子の中大兄皇子が執った

宮都　飛鳥板蓋宮（あすかいたぶきのみや）

所在地；奈良県明日香村岡
皇極天皇は夫である舒明天皇の崩御により即位し、同年9月19日（10月17日）、大臣である蘇我蝦夷へ新宮殿を12月までに建設するよう命じた。板蓋宮は、645年7月に発生したクーデター（乙巳の変）の舞台となった。この日、蘇我入鹿が刺殺され、これにより皇極天皇は同月12日（14日）に退位し、軽皇子が即位した。

乙巳の変

摂政・聖徳太子の死により大豪族蘇我氏を抑える者がいなくなるなか、628年推古天皇が後嗣を指名することなく崩御した。入鹿は古人大兄皇子を次期天皇に擁立しようと望んみ、巨勢徳多、土師娑婆連の軍勢をさしむけ、山背大兄王の住む斑鳩宮を攻めさせた。中臣鎌足は蘇我氏の専横を憎み蘇我氏打倒の計画を密に進め中大兄皇子へ捧げた。645年三国の調の儀式の中、中大兄皇子は「入鹿は皇族を滅ぼして、皇位を奪おうとしました」と子麻呂と稚犬養網田のより入鹿を斬り殺した。翌日皇極天皇は軽皇子へ譲位し孝徳天皇が即位、中大兄皇子は皇太子に立てられた。中大兄皇子は阿倍内麻呂を左大臣、蘇我倉山田石川麻呂を右大臣、中臣鎌足を内臣に任じ、後に「大化の改新」と呼ばれる改革を断行する。

御陵名　越智崗上陵（おちのおかのえのみささぎ）

所在地；奈良県高市郡高取町大字車木
陵形；宮内庁上の形式は円丘。遺跡名は「車木ケンノウ古墳」
「華厳寺」前から美しい石垣と石段を上った先にあり、巨大な土木工事を好んだとされる斉明天皇の御陵らしいといえるかもしれません。宮内庁から皇極・斉明天皇陵に比定されていますが、実際には明日香村にある八角形の墳墓「牽牛子塚古墳が本当の陵墓だろうと推測されるようになっているため、実際にここに埋葬されているのは全くの別人である可能性も高いのです。