８代　孝元天皇（こうげんてんのう）

年齢；116歳
在位；57年（前214年～）
第7代孝霊天皇の皇子。
『日本書紀』『古事記』に事績の記載が極めて少ないため「欠史八代」と称され、極めて創作性が強いとされる。孝元天皇の異母姉妹に箸墓古墳の被葬者に比定されているヤマトトモモソヒメがいる。

宮都　軽境原宮（かるのさかいはらのみや）

宮の伝説は現在の奈良県橿原市大軽町・見瀬町周辺と伝承され、近鉄岡寺駅の西に高取川をはさんで、小さな丘の上に式内大社牟佐坐神社がありこの付近が軽境原宮伝承地とさえている。「軽境原宮阯」以前は神社野の南麗に建っていた石碑は現在岡寺駅の東に移っている。

御陵名　剣池島上陵（つるぎのいけのしまのえのみささぎ）

所在地；奈良県橿原市石川町
陵　形；前方後円　遺跡名は「中山塚1-3号墳」
陵について日本書紀では「劔池嶋上陵」、古事記では「剣池之中岡上」、『延喜式』では「劔池嶋上陵」としている。しかし後世に所伝は失われ、元禄の探陵で現陵に治定された。

９代　開化天皇（かいかてんのう）

年齢；115歳
在位；60年(前157年～)　
第8代孝元天皇の皇子。
紀・記に事績の記載が極めて少ないため「欠史八代」と称される。
同天皇はかぐや姫伝説との関係があり、『古事記』に垂仁天皇の妃「迦具夜比売命」（かぐやひめのみこと）として記載されているが、この「迦具夜比売命」は開化天皇が丹波の大県主・由碁理（ゆごり）の娘「竹野比売」（たかのひめ）を召して生まれた比古由牟須美王（ひこゆむすみのみこ）を父としている。
※かぐや姫伝説は奈良県広陵町にあり、詳しくは垂仁天皇で記述

宮都　春日率川宮（かすがのいざかわのみや）

伝説地　奈良県奈良市本子守町周辺
開化天皇の宮は葛城から遠く離れて盆地東北部の春日にうつる。奈良市本子守町周辺のあたりが卒川宮伝承地（率川神社）である。
一方で奈良市春日野町の東の四恩院廃寺付近とする説もある。

御陵名　春日率川坂上陵（かすがのいざかわのさかのえのみささぎ）

所在地；奈良県奈良市油阪町
陵形；公式形式は前方後円「念仏寺山古墳」
『日本書紀』では「春日率川坂本陵（坂上陵）」、『古事記』では「伊邪河之坂上」の所在とあるほか、『延喜式』諸陵寮では「春日率川坂上陵」としている。近世には近隣の念仏寺の墓地になったため墳丘は削られたが、幕末に墓地の移転と陵の修補がなされて現在に至っている。

１０代　崇神天皇（すじんてんのう）

年齢　120歳
在位　68年間(前97年～)　
開化天皇の第二子
★初代神武天皇とそれに次ぐ欠史八代の天皇達の実在性が希薄であることから、この崇神天皇をヤマト王権の初の天皇と考える説が存在。
★記紀に記された事績の類似と諡号の共通性（後述）から、崇神を神武天皇と同一人物とする説もある。
★崇神の代になって初めて他地方にまで渡る記述が出てくること（四道将軍の派遣など）から、崇神の代になって初めて全国規模の政権になったと考える説もある。

宮都　磯城瑞籬宮（しきのみずかきのみや）

磯城瑞籬宮は奈良県桜井市金屋にあったとものと推定されており、神山三輪山を背後に負い歌垣の伝えで名高い海柘榴市を脚下に控えて大和平野を見渡す高燥の地です。東へは泊瀬道、伊勢経て東国へ。南へは磐余道飛鳥を通じて紀伊方面へ。北へは山の辺の道、奈良、京を経て北陸日本海方面へ。西へは大和川の水運を利用して難波、瀬戸内海に繋がる交通の要衝です。古代大和王権、発展の拠点であったとも云える場所です。

檜原神社と大物主神(三輪神社大神神社)

檜原神社大物主神(三輪神社大神神社)
天照大神を豊鍬入姫命に託し、笠縫邑（現在の崇神天皇7年大物主神、倭迹迹日百襲姫命
檜原神社）に祀らせる。元伊勢の伝承地である。に乗り移り託宣する。

山の辺の道のひもろぎ遺跡

「日本書紀」の崇神天皇6年条に、豊鍬入姫命（とよすきいりひめのみこと）をして天照大神を「倭の笠縫邑（現在の檜原神社）に祭る。よりて磯堅城の神籬(ヒモロギ）を立つ。」とあり、神籬が神祭りの古い形式であったことが分かる。この場所に神籬を設け神霊をお迎えして、神祭りが執り行われたのであろう。

神武天皇と崇神天皇

『日本書紀』における神武天皇の称号『始馭天下之天皇』と、崇神天皇の称号である『御肇國天皇』はどちらも「ハツクニシラススメラミコト」と読める。これを「初めて国を治めた天皇」と解釈するならば、初めて国を治めた天皇が二人存在することになる。これについては、神武の称号にみえる「天下」という抽象的な語は崇神の称号の「国」という具体的な語より形而上的な概念であるため、本来は崇神が初代天皇であったが後代になって神武とそれに続く八代の系譜が付け加えられたという考える説がある

邪馬台国とヤマト王権

『古事記』は崇神の没年を戊寅年（258年）と記載説を採った場合、崇神の治世が中国の文献に記載の邪馬台国の時代の後半と重なることになり、邪馬台国と崇神のかかわりをどう考えるかが問題となってくる。
※邪馬台国畿内説（邪馬台国とヤマト王権は同一であるとする）
①崇神を「卑弥呼の後継の女王であった台与の摂政だった」・・・水野正好
②「『魏志倭人伝』に記されている卑弥呼の男弟だった」・・・西川寿勝
という説などを提唱している。
※邪馬台国九州説からは、
①「北九州にあった邪馬台国はヤマト王権とは別個の国であって、この邪馬台国を滅ぼしたのが大和地方を統一した崇神天皇である」・・・田中卓や武光誠
②「崇神天皇の同時代に大和に卑弥呼のような女王はいないことからも邪馬台国畿内説は誤りである」・・・古田武彦などの説も存在する。

御陵名　山邊道勾岡上陵（やまのべのみちのまがりのおかのえのみささぎ）

所在地；奈良県天理市柳本町
陵　形；前方後円考古学名は「行燈山古墳」
この古墳は大王墓にふさわしく３基の陪塚を伴っている。南アンド古墳（全長65ｍ）、アンド山古墳（全長120ｍ）、天神山古墳（103ｍ）墳丘の東側は道路建設により消失しています。全て前方後円墳で、地方では豪族クラスの規模を誇ります。なお、西殿塚古墳（前方後円墳、全長220m）を、その真陵とする考え方、また江戸時代には渋谷向山古墳が陵墓とされていた。行燈山古墳は江戸時代の改修工事によるものとも言われている。

行燈山古墳の実際の被葬者

崇神天皇の陵について、
★『古事記』では「山辺道勾之岡上」の所在とあり、
★『日本書紀』では「山辺道上陵」とある（景行天皇陵と同名）。
★『延喜式』では「山辺道上陵」（景行天皇陵と同名）として記載。
その後、陵の所在に関する所伝は喪失。江戸時代後期に蒲生君平は『山陵志』で本古墳を景行天皇陵に比定したが、江戸時代末期に谷森善臣は『山陵考』で崇神天皇陵に比定し、その説が現在まで踏襲されている。
この説の根拠の1つとしては、上述の衾田墓（衾田陵。現陵は西殿塚古墳、真陵は西山塚古墳か）には行燈山古墳の方が近いことがあった

崇神天皇陵を立ち入り調査。研究者ら墳丘を観察

宮内庁が崇神天皇陵として管理する奈良県天理市の行燈山古墳（4世紀初頭）を24日、日本考古学協会など考古学や歴史学の団体の研究者が立ち入り調査をし、墳丘の形や保存状態を観察した。古墳は東西方向に築かれた3段築成の前方後円墳で、全長約240メートル。宮内庁が1974年、75年に一部で発掘を実施、埴輪や土器が出土している。 16人の研究者は約1時間半かけて古墳を1周し、カメラで撮影するなどして墳丘を観察した。日本考古学協会の杉井健理事は、「墳丘の北側は段がよく見え、非常によく残っていた」と指摘した。（2017年02月24日）

１１代　垂仁天皇（すいにんてんのう）

年齢　140歳
在位　99年間(前29年～)　
崇神天皇の第3皇子
★野見宿禰が当麻蹴速と相撲をとり蹴殺す（相撲節会の起源説話）
★野見宿禰の進言に従い、殉死の風に替えて埴輪を埋納する（埴輪の起源説話）
★五十瓊敷命が剣千振を作り、石上神宮に納める。この後、五十瓊敷命に命じて、同神宮の神宝を掌らせる

宮都　纒向珠城宮（まきむくのたまきのみや）

伝承地　奈良県桜井市穴師周辺。
珠城山古墳群を新池に沿って西へ行くと、「纒向珠城宮跡」伝承地の石碑が畑の中に見えてくる。『日本書紀』には「纒向に都し、珠城の宮という」との記載がある。これより東方には、景行天皇が置いたとされる「纒向日代宮跡」伝承地もあり、南方には、箸墓古墳をはじめとする纒向遺跡が広がる。この「巻向」一帯は、初期ヤマト政権が誕生した、まさしく「クニの始まり」の地なのである。（奈良県HP）

ヤマト政権発祥の地　纒向(まきむく)遺跡

初期ヤマト政権発祥の地として、あるいは西の九州の諸遺跡群に対する邪馬台国東の候補地として全国的にも著名な遺跡です。
①この遺跡は広大な面積を有する事や
②他地域からの搬入土器の出土が多く、その範囲が九州から関東にいたる広範囲な地域からである事
③箸墓古墳を代表として、纒向石塚古墳・矢塚古墳・勝山古墳・東田大塚古墳・ホケノ山古墳・南飛塚古墳、メクリ１号墳などの発生期古墳が日本で最初に築かれている事
④農耕具が殆ど出土せず、土木工事用の工具が圧倒的に多い事
等、他の一般的な集落とは異なる点が多く、日本最初の「都市」、あるいは初期ヤマト政権最初の「都宮」とも目されています。（桜井市纒向学研究センター）

かぐや姫伝説

「日本書紀」の崇神天皇6年条の『源氏物語』の中に『竹取物語のかぐや姫』があります。この竹取物語には年代がはっきり書かれ、文中に出てくる有名な事件（壬申の乱）から場所も飛鳥京か藤原京のある大和国と推定できます。また、竹取翁の名前が「讃岐造（さぬきのみやつこ）」と書かれていることから、「讃岐造」とは讃岐村の長で、讃岐村を治めていたのは讃岐氏であったことも想像できます。我が国の最も古い歴史書『古事記上巻』第九代開化天皇の項に、天皇の孫に「讃岐垂根王」の名前を見つけることが出来、更にこの讃岐垂根王の姪迦具夜比売(かぐやひめ)は十一代垂仁天皇の妃と歴史の中に記載されています。さらに『竹取物語』には、かぐや姫に求婚する五人の貴公子の官職と名前がはっきり書かれています。

昭和29年、大阪市立大学の塚原鉄雄氏は、「竹取の翁」が讃岐造と呼ばれていること、その名を持つ讃岐神社が広陵町に存在することにもとづき、翁が広陵町に住んでいたという学説を発表しました。この塚原氏の学説にもとづき、広陵町では『竹取物語』に登場する貴族が7世紀後半に実在した人物をモデルにしていること、当時の都が飛鳥地方にあり、讃岐造の暮らした地が飛鳥地方からそれほど離れてはいなかったと考えられること、古来、この地が竹の産地であったことなどから、讃岐神社(奈良県北葛城郡広陵町三吉328)の付近一帯が『竹取物語』の舞台であったと推定しています。（広陵町ＨＰより）

相撲発祥の地（相撲神社）

日本の国技・相撲。日本書紀の中にはじめて相撲がとられたときの話があります。垂仁天皇の時代、「当麻に当麻蹴速（たいまのけはや）という、ものすごく強いもの」と「出雲の国に野見宿禰（のみのすくね）というすごい力持ち」が天皇の前で力比べをさせようということになり、野見宿禰が勝ちました。これが相撲のはじまりと言われています。相撲神社境内には勝った宿禰を祀る祠や、土俵などがひっそりとたたずんでいます。（桜井市HPより）

御陵名　菅原伏見東陵（すがわらのふしみのひがしのみささぎ）

所在地；奈良県奈良市尼辻西町
陵　形；前方後円。考古学名は「宝来山古墳」
第11代垂仁天皇の陵に治定されている菅原伏見東陵（蓬莱山古墳）は実際の被葬者は明らかでない。全国では第20位の規模の古墳で、4世紀後半頃（古墳時代前期）の築造と推定される。江戸時代の元禄探陵では分明陵として本古墳を垂仁天皇陵と報告され、これが現在に踏襲されている。
ただし、崇神天皇陵や景行天皇陵がヤマト王権の発祥地ともされる奈良盆地南東部に位置するのに対して、垂仁天皇陵が奈良盆地北部に位置するのは不自然であり、考古学的な築造順序も食い違うため、『古事記』『日本書紀』『延喜式』の時代にはすでに垂仁天皇陵自体の所伝に錯誤が生じていたとする説がある。

１２代　景行天皇（けいこうてんのう）

年齢　147歳
在位　60年間(AD71年～)　
垂仁天皇の第三皇子
★自ら九州に遠征して熊襲・土蜘蛛を征伐し、東国には日本武尊を遣わして蝦夷を征討
★野見宿禰が当麻蹴速と相撲をとり蹴殺す（相撲節会の起源説話）
★野見宿禰の進言に従い、殉死の風に替えて埴輪を埋納する（埴輪の起源説話）。
★五十瓊敷命が剣千振を作り、石上神宮に納める。この後、五十瓊敷命に命じて、同神宮の神宝を掌らせる。

宮都　纒向日代宮（まきむくのひしろのみや）

伝承地　奈良県桜井市穴師周辺
珠城山古墳群を新池に沿って西へ行くと、「纒向珠城宮跡」伝承地があり、これより東方に行くと小高い丘の道沿いに宮跡の石碑「纒向日代宮跡」が立っている。この「巻向」一帯は、初期ヤマト政権が誕生した、まさしく「クニの始まり」の地なのである。（奈良県HP）

宮都　志賀高穴穂宮（しがのたかあなほのみや）

晩年（景行天皇58年）近江国に行幸して、志賀高穴穂宮（しがのたかあなほのみや、現在の滋賀県大津市穴太か）に滞在した。　志賀高穴穂宮は、大津で最初の都と伝えられており、『古事記』には、「若帯日子天皇、近つ淡海の志賀の高穴穂宮に坐しまして、天の下治らしめしき」と残されている。大津市の穴太（あのう）に、「高穴穂神社」（たかあなほじんじゃ）という神社があり、この神社の言い伝えによると、この地には今から約2000年前、第12代景行天皇、第13代成務天皇、第14代仲哀天皇の3帝の都「志賀高穴穂宮」（しがのたかあなほのみや）がこの地にあったと言われている。

御陵名　山邊道上陵（やまのべのみちのえのみささぎ）

所在地；奈良県天理市渋谷町
陵形；前方後円。考古学名は「渋谷向山古墳」
古墳は等高線の乱れが少なく、周濠も幅が狭く築造時の姿を良くとどめているとされ、周濠と周濠を仕切る土手の調査では、築造時の葺石が確認されています。全長約300m、後円部径約168ｍ、後円部の高さ約25ｍ、前方部幅約17ｍ、前方部の高さ約23ｍを測り、前方部はほぼ西を向き、周りには濠が巡っています。年代は4世紀後半（古墳時代前期後半）とされて、前方後円墳、円墳、方墳、各１基の陪塚（ばいちょう）を持ちわが国で最大規模の古墳です。

宮内庁が景行天皇陵の調査現場を公開　奈良・天理市

宮内庁は４日、「景行（けいこう）天皇陵」として管理する奈良県天理市の前方後円墳・渋谷向山（しぶたにむかいやま）古墳（４世紀後半）の整備工事に伴う発掘調査の現場を報道陣に公開した。調査では葺石や埴輪（はにわ）列などが見つかった。景行天皇陵は全長約３００メートルの巨大古墳で奈良盆地の東南部に位置し、近くには「崇神（すじん）天皇陵」とされる行燈山（あんどんやま）古墳や黒塚古墳などが点在。前方部は西を向き、盾形の周濠（しゅうごう）を巡らせている。これまでの調査では円筒埴輪などが見つかっており、今回は墳丘や濠にのびる渡土堤（わたりどて）周辺を調査した。景行天皇は「古事記」「日本書紀」で、日本武尊（やまとたけるのみこと）の父として記されている。宮内庁は昭和40年代以降、陵墓などで整備工事を実施。工法検討のため考古学的調査を行い、現場を公開している。（2015.12.4・産経新聞）

ヤマトタケル(日本武尊)

第12代景行天皇皇子で、第14代仲哀天皇の父にあたる。『古事記』と『日本書紀』によれば日本武尊は父の景行天皇から熊襲・出雲を征討するように命ぜられ、軍勢もないまま西国を平定、やっとの思いで大和に帰ってくるが、すぐに東国の蝦夷を征討せよと命ぜられた。幾多の苦難の末、東国を平定されたが、大和へ帰る途中伊吹山の神との戦いに敗れ傷を負い熊褒野（三重県亀山市）で故郷を偲んで「大和は国のまほろばたたなずく青柿山隠れる大和美し」と歌い、崩じられた。

日本武尊白鳥３陵

日本武尊は「能褒野」で没し、それを聞いた天皇は官人に命じて伊勢国の「能褒野陵（のぼののみささぎ）」に埋葬させた。しかし日本武尊は白鳥となって飛び立ち、倭の琴弾原（ことひきはら）、次いで河内の旧市邑（ふるいちのむら、古市邑）に留まったのでそれぞれの地に陵が造られた。そしてこれら3陵をして「白鳥陵（しらとりのみささぎ）」と称し、これらには日本武尊の衣冠が埋葬されたという【日本書紀】

白鳥陵・倭の琴弾原（御所市富田）白鳥陵・河内国の旧市邑（大阪府羽曳野）

１３代　成務天皇（せいむてんのう）

年齢　107歳
在位　60年間(AD131年～)　
景行天皇の皇子
★武内宿禰を大臣とし行政区画として国郡（くにこおり）・県邑（あがたむら）を定めた
★山河を隔にして国県を分かち、阡陌（南北東西の道）に随って邑里（むら）を定め、地方行政機構の整備を図った

宮都　志賀高穴穂宮（しがのたかあなほのみや）

都は志賀高穴穂宮（現在の滋賀県大津市穴太）。成務天皇を架空と見る立場からは、天智天皇の近江宮のモデルを過去に投影した創作とする。

成務天皇の実在性

成務天皇の事績は3項目のみとなっている。
①地方行政区画の整理・・・欽明天皇から推古天皇にかけての地方行政区画と類似しており、国造と県主の2段階に整理されたのは成務天皇の治世よりも後のこととなる。
②仲哀天皇を皇太子に任命・・・仲哀天皇の立太子は、実在性の低い仲哀天皇ならびにその父の日本武尊と妻の神功皇后を史実(及び実在人物)として伝えるために記されたものとする見解がある。
③崩御
この事から成務天皇の実在性は乏しいとする説も存在する。

３次元ＣＧ（コンピューターグラフィックス）を作製

大阪市立大准教授（考古学）岸本直文が垂仁天皇の皇后の日槃酢媛命陵（奈良市）などに墳丘測量図をもとにした３次元ＣＧ（コンピューターグラフィックス）を作製した。同陵は西側に第13代成務天皇陵、南側には称徳天皇陵など３基が隣接した古墳の密集地域。日葉酢媛命陵（佐紀陵山古墳）については今年２月、考古学研究者らが初めて墳丘立ち入り調査を実施。傘国了番目の大きさの景行天皇陵の３次元ＣＧも作製。（産経新聞2009/6/29）

御陵名　城盾列池後陵（さきのたたなみのいけじりのみささぎ）

所在地；奈良県奈良市山陵町
陵形；公式形式は前方後円。考古学名は「佐紀石塚山古墳」
平安初期の承和のころには、すでに神功皇后陵とされていた。のちに陵の所在を失ったが、元禄以後、多くの説が成務陵に現在の地を推し、幕末の修陵のときおおいに修治が加えられ、竣工に際しては慶応元年、広橋右衛門督が遣わされ、奉幣が行なわれた。
『扶桑略記』によれば、康平6年（1063年）3月興福寺の僧静範らが山陵を発掘して宝器を領得し、5月山陵使が遣わされて宝器は返納され、事件に座した17人は伊豆国その他に配流された。

１４代　仲哀天皇（ちゅうあいてんのう）

年齢　53歳
在位　9年間(AD192年～)　
日本武尊命を父に持ち、皇后は三韓征伐を行った神功皇后であり、応神天皇の父である。
★熊襲討伐のため筑紫に赴いた天皇は、神懸りした皇后の神のお告げを信じず神を非難した。翌年2月に天皇は急死し、神の怒りに触れたと見なされた。『
★記・紀に死去を52歳とするが、これから逆算すると、天皇は父の日本武尊の死後36年目に生まれたこととなり、矛盾する。

宮都　穴門豊浦宮（あなとのとゆらのみや）

山口県下関市長府宮の内町の忌宮神社が伝承地。
仲哀天皇が九州の熊襲ご平定のために西下、穴門(長門)豊浦宮を興して7年間政務をとられた旧趾（忌宮神社）にあります。天皇はさらに筑紫(福岡県)の香椎に進出せられましたが、1年にして崩御せられたので神功皇后は喪を秘して重臣武内宿禰に御遺骸を奉じて豊浦宮に帰らしめ、現在の長府侍町土肥山に殯斂（仮埋葬）せられました。そして皇后はご懐妊中ながら、熊襲を煽動していた新羅征討をご決行、ご凱旋ののち、天皇の御神霊を豊浦宮に鎮祭せられました。

宮都　筑紫橿日宮（つくしのかしいのみや）

福岡県福岡市東区香椎の香椎宮が伝承地。
神功皇后の宮は元正天皇の養老七年(723)に皇后御自身の御神託により、朝廷が九州に詔して社殿の造営を創め聖武天皇の神亀元年(724)に竣工したもので、此の両宮を併せて香椎廟と称しました。明治以来には官幣大社香椎宮、戦後は香椎宮と称しております。

仲哀天皇架空説

仲哀天皇は実在性の低い天皇の一人に挙げられている。その最大の根拠は、彼が実在性の低い父（日本武尊）と妻（神功皇后）を持っている人物とされているためである。
この二人の存在および彼らにまつわる物語を史実として語るために創作され、記紀に挿入されたのが仲哀天皇であるというのが、仲哀天皇架空説である。

御陵名　惠我長野西陵（恵我長野西陵、えがのながののにしのみささぎ）

所在地；大阪府藤井寺市藤井寺4丁目
陵形；公式形式は前方後円。考古学名は「岡ミサンザイ古墳」
『古事記』には「御陵は河内の恵賀（えが）の長江にあり」、『日本書紀』には「河内国長野陵」とある。現古墳は幅50m以上の周濠が巡らされているが、中世に城砦として利用されていたため、部分的に改変されている。また皇居では、皇霊殿（宮中三殿の1つ）において他の歴代天皇・皇族とともに天皇の霊が祀られている。

神功皇后狹城盾列池上陵（さきのたたなみのいけのえのみささぎ）

神功皇后の陵（みささぎ）は、宮内庁により奈良県奈良市山陵町にある狹城盾列池上陵（さきのたたなみのいけのえのみささぎ、位置）に治定されている。
政府紙幣（一円券） 1878年（明治11年）、明治時代の改造紙幣にその肖像が用いられ、これが日本における最初の女性肖像紙幣となった。その原版はイタリア人技術者エドアルド・キヨッソーネが作成したため、西洋風の美人に描かれている。