１５代　応神天皇（おうじんてんのう）

年齢　111歳
在位　41年間(AD270年～)　
景行天皇の皇子
★弓月君（秦氏の先祖）が百済から来朝して窮状を天皇に上奏し援軍を求めた。
★「剣池・軽池・鹿垣池・厩坂池を作る」とある。剣池は奈良県橿原市石川町の石川池という。
★中国の史書『宋書』や『梁書』に見える倭の五王の「讃」に比定する説もある

宮都　軽島豊明宮（かるしまのとよあきらのみや）

伝承地　奈良県橿原市大軽町に比定。
難波にも大隅宮（おおすみのみや。現在の大阪市東淀川区大隅、一説に同市中央区）が置かれた。

応神天皇の新王朝説

この応神から始まる王朝は河内国に宮や陵を多く築いていることから「河内王朝」、また「ワケ」の名がついた天皇が多いことから「ワケ王朝」などと歴史学上呼称され、河内の豪族だった応神が新たな王朝を創始したと推測している。唱えられる理由として、応神の父母の14代仲哀天皇とその皇后である神功皇后の両者はどちらも実在が疑われることが多く、『記紀』における三韓征伐の記述は神話的であり、応神の出生時の状況の不自然がある。井上光貞は、応神は本来ヤマト王権に仕えていた九州の豪族であり、中央政権をしのぐ力をつけて皇位を簒奪したと推測している。また、仲哀天皇と成務天皇はその実在性を疑問視されることが多く、この二帝は応神の皇統と10代崇神天皇から景行天皇までの皇統を接続するために後世になって創作された存在と考察している。

御陵名　恵我藻伏岡陵（えがのもふしのおかのみささぎ）

所在地；大阪府羽曳野市誉田6丁目
陵形；公式形式は前方後円。遺跡名は「誉田御廟山古墳」。
誉田御廟山古墳は大仙陵古墳（仁徳天皇陵）に次ぐ（第2位の規模）5世紀初ともいわれる大前方後円墳である。 2011年宮内庁により考古学者らの立ち入り調査が認められた。
上記とは別に、大阪府堺市北区百舌鳥本町にある宮内庁の百舌鳥陵墓参考地（もずりょうぼさんこうち）では、応神天皇が被葬候補者に想定されている。遺跡名は「御廟山古墳」。

御廟山古墳（ごびょうやまこふん）

御廟山古墳（ごびょうやまこふん）は、大阪府堺市北区百舌鳥本町にあり、百舌鳥古墳群のほぼ中央、大仙陵古墳の南東に位置する古墳で、形状は前方後円墳。百舌鳥古墳群を構成する古墳の1つである。実際の被葬者は明らかでないが、宮内庁により「百舌鳥陵墓参考地」（被葬候補者：第15代応神天皇）として陵墓参考地に治定されている。

１６代　仁徳天皇（にんとくてんのう）

年齢　143歳
在位　87年間(AD313年～)　
応神天皇の第4皇子
★河内平野における日本最初の大規模土木事業、難波の堀江の開削と茨田堤（大阪府寝屋川市付近）の築造を行った。
★難波に都を定め、人家の竈（かまど）から炊煙が立ち上っていないことに気づいて3年間租税を免除し、その間は倹約のために宮殿の屋根の茅さえ葺き替えなかった（記紀の逸話）。

宮都　難波高津宮（なにわのたかつのみや）

伝承地　大阪市天王寺区餌差町
都をそれまでの大和、または大隅宮から、大伴氏などが本拠地を置いていた難波に遷都し、宮居を難波高津宮（なにわのたかつのみや）とした。宮址については、江戸時代の頃より諸説ある。現在の高津宮址の碑は、明治33年（1899年）に難波神社と高津神社において執り行われた仁徳天皇千五百年大祭を祝して設置され、その後、現在碑は高津高校の構内に移設されている。

仁徳天皇の治世

父は応神天皇（おうじんてんのう）、都を難波高津宮（なにわのたかつのみや）に定め、のちの履中・反正・允恭天皇をもうけます。民家から炊事の煙がたちのぼらないのを見て、人々が困っているのを察し課役を三年間免除したり、難波の堀江・感玖（こむく）大溝・茨田（まんだ）堤・横見堤などの築造や茨田屯倉（まんだのみやけ）の設置などを行ったと記されています。このような善政を行ったので、古来より聖帝（ひじりのみかど）とたたえられ、理想的な天皇とされてきています。また、倭の五王（讃、珍、済、興、武）の「讃」を仁徳天皇がではないかという考えがあります。邪馬台国の時代（3世紀の後半）から約150年間途絶えていた日中間の国交を回復し、それを柱として東アジア外交を展開した国際感覚豊かな大王ということになります。（堺市ＨＰ）

御陵名　百舌鳥耳原中陵（もずのみみはらのなかのみささぎ）

所在地；大阪府堺市堺区大仙町
陵形；公式形式は前方後円。考古学名は大仙陵古墳
『古事記』には「御陵は毛受（もず）の耳原にあり」、『日本書紀』には寿陵であったと記されている。陵名の由来は、陵墓造営中に野から鹿が走り込んできて絶命。その鹿の耳の中からモズが現れたことから地名を「百舌鳥耳原」と名づけられる。全国で第1位の規模の巨大古墳であり、クフ王ピラミッド及び秦の始皇帝墓陵に並ぶ「世界三大墳墓」と称している。

１７代　履中天皇（りちゅうてんのう）

年齢　70歳
在位　6年間(AD400年～)　
仁徳天皇の第一皇子
★本居および陵墓は河内・丹比にあったが、即位してから磐余稚桜宮で過ごしたので、大和・河内双方に基盤をおいた天皇である。
★諸国に国史（ふみひと）と呼ばれる書記官を設置し、国内の情勢を報告させた
★「倭の五王」中の倭王讃に比定する説がある

宮都　磐余稚桜宮（いわれのわかざくらのみや）

伝承地　桜井市池之内
桜井市池之内の小高い丘の上に稚桜神社があり、このあたりが稚桜宮と伝承されている。その西方に広大な池跡が確認されており、磐余池ではないかと思われており、堤跡には大津皇子の辞世歌を刻んだ万葉歌碑が建っています。また、磐余池（磐余市磯池）で船遊びをしていると、杯に季節はずれの桜の花びらが舞い落ちたことから宮名を磐余稚桜宮としたとされています。

御陵名　百舌鳥耳原南陵（もずのみみはらのみなみのみささぎ）

所在地；大阪府堺市西区石津ヶ丘
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。遺跡名は「上石津ミサンザイ古墳」
日本で3番目に大きい巨大前方後円墳。仁徳天皇陵古墳より古く5世紀前半頃に造られ、百舌鳥耳原南陵、ミサンザイ古墳、石津ヶ丘古墳とも呼ばれる百舌鳥耳原三陵の一つです。

１８代　反正天皇（はんぜいてんのう）

年齢　75歳
在位　5年間(AD406年～)　
仁徳天皇の第三皇子
★淡路宮（不詳、淡路島?）で生まれ、容姿美麗であった。生まれながらにして綺麗な歯並びであったので、「瑞歯別」の名があるという。
★「倭の五王」のうち珍（彌）に比定する説が有力視される[

宮都　丹比柴籬宮（たじひのしばかきのみや）

大阪府松原市上田七丁目の柴籬神社が伝承地。『日本書紀』によると、「五穀みのり人民賑わいて天下泰平なり」と、平穏な時代だったようです。しかし、その他に反正天皇についての記録は、容姿のみで「生まれた時からすでに歯があり、一枚の歯のようにキレイに並んでいた」とか、「身長が約3メートルあった」とか信憑性に乏しいものばかり。

御陵名　百舌鳥耳原北陵（もずのみみはらのきたのみささぎ）

所在地；大阪府堺市堺区北三国ヶ丘町2丁
陵形；形式は前方後円。遺跡名は「田出井山古墳」
百舌鳥古墳群北端にある全長約148mの天皇陵では小さい方の前方後円墳。 5世紀中頃の築造で陪塚とされる古墳2基、二重濠の存在が確認されています。百舌鳥3陵の一つ百舌鳥耳原北陵とも呼ばれています。別に、大阪府堺市北区百舌鳥西之町にある宮内庁の東百舌鳥陵墓参考地（ひがしもずりょうぼさんこうち）では、反正天皇の空墓に想定されている。遺跡名は「土師ニサンザイ古墳」

１９代　允恭天皇（いんぎょうてんのう）

年齢　78歳
在位　42年間(AD412年～)　
仁徳天皇の第四皇子
★諸氏族の氏姓の乱れを正すため、飛鳥甘樫丘にて盟神探湯（くがたち）を実施する。
★諸国に国史（ふみひと）と呼ばれる書記官を設置し、国内の情勢を報告させた
★倭の五王中の倭王済に比定されている。

宮都　遠飛鳥宮（とおつあすかのみや）

所在地；現在の奈良県高市郡明日香村飛鳥
古事記には遠飛鳥宮とあり、後に作られた顕宗天皇の近飛鳥宮に対するものである。宮は明日香村飛鳥寺の西北、甘樫丘の麗辺りだろう。飛鳥の地に宮を設けた初めての天皇であった。

允恭地震

『日本書紀』允恭天皇5年7月14日（416年)の条項に「地震（なゐふる）」の記述が登場する。反正天皇の殯の時に地震があり、その時尾張連吾襲に殯宮の様子を探らせたところ玉田宿禰はこの時酒宴を開いており、允恭天皇が玉田宿禰を呼び出したところ衣の下に鎧を付けて参上したため捕えて殺したという。このようにこの地震の記事は政治的事件の発端として記されており、地震そのものの状況や被害の様子は記されていない。また西暦506年以前は日本暦が明らかでないため厳密に西暦には換算できず、西暦換算が416年であるかも疑わしいとの見方もある。

衣通姫伝説

軽大娘皇女はその美しさが衣を通してあらわれるようだという意味を込めて「衣通姫」と呼ばれていた。木梨軽皇子は軽大娘皇女に思慕しやがてその思いを遂げてしまう。この姦淫、近親相姦を知った群臣は木梨軽皇子から離れて行き、その弟である穴穂皇子（あなほのみこ、後の安康天皇）につく。木梨軽皇子は穴穂皇子を討とうとするが、逆に追いつめられ捕えられてしまう。木梨軽皇子は「私は必ず戻ってくるから待っていなさい」と言い残し流刑地（伊予、現在の愛媛とされる）へ流罪とされた。兄・木梨軽皇子を待ち続けていた軽大娘皇女であったが「もう待ってはいられません、帰ってこられないならば私が参ります」と兄の元へたどり着き、二人は再会を喜びわずかな時間を愛し合うが、やがて二人は自害し物語は幕を閉じる。

御陵名　惠我長野北陵（えがのながののきたのみささぎ）

所在地；大阪府藤井寺市国府1丁目
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。遺跡名は「市ノ山古墳（市野山古墳）」
古墳の周りには、陪冢(ばいちょう)だと思われる小古墳がいくつもあります。現在、その内の２基が宮内庁によって「允恭天皇陵陪冢」に治定されています。内堤・外濠・外堤などの調査が数多く行われ、内堤部分では、円筒埴輪棺１基、石槨木棺墓２基、土壙墓(どこうぼ)５基などで構成される墓地が確認されています。(藤井寺小学校HP）

２０代　安康天皇（あんこうてんのう）

年齢　56歳
在位　3年間(AD454年～)　
允恭天皇の第二皇子
★安康天皇は根使主の偽計により大草香皇子を殺したためその子眉輪王の恨みを買い殺された。
★「倭の五王」中の倭王興に比定されている。

宮都　石上穴穂宮（いそのかみのあなほのみや）

所在地；奈良県天理市田町
町内にある厳島神社の北向かいに安康天皇を祭る穴穂社の小さな祠が残されている。背後は田んぼで、樫の古木が大きく枝葉を広げているが、石塀に囲まれた穴穂社の前には何の表示もない。

王統の危機が近ずいていることを予感させる天皇

石上に宮居を構えた最初の天皇とされている。履中系の市辺忍歯別王（いちのおしはわけのみこ）が同じく石上に居住したという伝承をもっており、後に仁賢天皇が広高宮を構えた地でもある。石上の北辺は和珥氏の本拠地でもあり、天皇も和珥氏と深い関係を形成していた。安康天皇の治世は日本書紀によると3年ときわめて短く、治積もほとんど記されていない。安康天皇の起こした皇位継承を巡る権力闘争は、雄略天皇が次々に王族を抹殺していくという血生臭い話に発展し王統の危機が近ずいていることを予感させる天皇である。

衣通姫伝説

允恭天皇の御世、その子に木梨軽皇子、軽大娘皇女という兄妹がいた。軽大娘皇女はその美しさが衣を通してあらわれるようだという意味を込めて「衣通姫」と呼ばれていた。木梨軽皇子は軽大娘皇女に思慕しやがてその思いを遂げてしまう。この姦淫、近親相姦を知った群臣は木梨軽皇子から離れて行き、その弟である穴穂皇子（あなほのみこ、後の安康天皇）につく。木梨軽皇子は穴穂皇子を討とうとするが、逆に追いつめられ捕えられてしまう。木梨軽皇子は「私は必ず戻ってくるから待っていなさい」と言い残し流刑地（伊予、現在の愛媛とされる）へ流罪とされた。兄・木梨軽皇子を待ち続けていた軽大娘皇女であったが「もう待ってはいられません、帰ってこられないならば私が参ります」と兄の元へたどり着き、二人は再会を喜びわずかな時間を愛し合うが、やがて二人は自害し物語は幕を閉じる。

御陵名　菅原伏見西陵（すがわらのふしみのにしのみささぎ）

所在地；奈良県奈良市宝来4丁目
陵形；宮内庁上の形式は方丘。遺跡名は「古城1号墳」。
本陵は、近年の調査結果から古墳ではなく中世の山城跡とする見方が強い。

２１代　雄略天皇（ゆうりゃくてんのう）

年齢　62歳
在位　23年間(AD457年～)　
允恭天皇の第5皇子
★反抗的な地方豪族を武力でねじ伏せてヤマト王権の力を飛躍的に拡大させ、強力な専制君主として君臨したとされる。
★稲荷山古墳（埼玉県）の金錯銘鉄剣銘や江田船山古墳（熊本県）出土の銀象嵌鉄刀銘から勢力を拡張した大王の証とする説が有力
★「倭の五王」中の倭王武に比定される。

宮都　泊瀬朝倉宮（はつせのあさくらのみや）

所在地；奈良県桜井市黒崎（一説に岩坂）
桜井市岩坂の十二柱神社付近は峡隘な谷の奥で北向きの急傾斜地であり、桜井市黒埼の白山比咩神社および天の森は山の南麗に小さな平坦地ばかりで、宮跡には無理がある。昭和59年に桜井市脇本にある春日神社付近に宮殿跡らしき遺構が発見され朝倉宮跡として有力視されている。稲荷山古墳出土金象嵌鉄剣銘に見える「斯鬼宮（しきのみや・磯城宮）」も朝倉宮を指すと言われる。『日本霊異記』によれば、磐余宮（いわれのみや）にもいたという。なお、白山比咩神社の境内には雄略天皇御製歌を刻んだ碑がある。。

大悪天皇の記述

政軍共に優れた能力を発揮してヤマト王権の力を拡大させた反面、気性の激しい暴君的な所業も多く見られた。大王位に即くために肉親すら容赦なく殺害し、反抗的な豪族を徹底的に誅伐するなど、自らの権勢のためには苛烈な行いも躊躇せず、独善的で誤って人を処刑することも多かったため、大悪天皇（はなはだあしきすめらみこと）とも誹謗された。一方で、有徳天皇（おむおむしくましますすめらみこと）という異名もある。『書紀』では葛城山で一言主神と邂逅した雄略が神と共に猟を楽しみ、帰りは来米水（高取川）まで送られた。その豪胆さに感嘆した百姓達は口々に「有徳天皇」と讃えたという。

獲加多支鹵大王

1978年、埼玉県の稲荷山古墳より出土した鉄剣に「獲加多支鹵大王」（ワク（カク）カタキ（シ）ル（ロ））と記されており、『記紀』に記された「ワカタケル」（古事記「大長谷若建」、日本書紀「大泊瀬幼武」）と酷似し、『書紀』の雄略紀に書かれた朝鮮関係の記述が朝鮮の5世紀末の史料の内容とよく符合する。また、1873年にも熊本県の江田船山古墳から大王の名が刻まれた鉄刀が出土していたが、上記の稲荷山古墳の鉄剣が発見されて以降は「治天下獲□□□鹵大王」と読み、これを「獲加多支鹵大王」に当てる説が定説となっている。以上のように、雄略と思しき大王の名が刻まれた鉄剣が熊本と埼玉で見つかったことから、 5世紀後半にはすでにヤマト王権の支配圏が九州から関東までの広範囲に及んでいたことが推測できる。

御陵名　丹比高鷲原陵（たじひのたかわしのはらのみささぎ）

所在地；大阪府羽曳野市島泉8丁目
陵形；宮内庁上の形式は円丘。遺跡名は「島泉丸山古墳（高鷲丸山古墳）」・「島泉平塚古墳（高鷲平塚古墳）」
『古事記』には、顕宗天皇の父（市辺押磐皇子）の仇討ちをすべく、意祁命（後の仁賢天皇）が自ら雄略陵の墳丘の一部を破壊したとある。また『日本書紀』にも、顕宗が陵を破壊しようとしたが皇太子億計（仁賢）がこれを諌めて思い止まらせたとする。