２２代　清寧天皇（せいねいてんのう）

年齢　41歳
在位　5年間(AD480年～)　
雄略天皇の第三皇子
★御名の「白髪皇子」の通り、生来白髪であったため、父帝の雄略天皇は霊異を感じて皇太子としたという。
★皇子がいないため、市辺押磐皇子の子である億計王（後の仁賢天皇）・弘計王（後の顕宗天皇）の兄弟を東宮と皇子とした。

宮都　磐余甕栗宮（いわれのみかくりのみや）

所在地；奈良県橿原市東池尻町の御厨子神社が伝承地
古代ヤマト王権の根拠地として栄えた磐余宮。履中天皇の磐余稚桜宮、清寧天皇の磐余甕栗宮、継体天皇の磐余玉穂宮、神功皇后の磐余若桜宮、用明天皇の磐余池辺雙槻宮などの諸宮があった。この地は磐余池の尻辺に位置し「水尻神社」と言われ、その後、御厨子観音（御厨子山妙法寺）が移建され鎮守八幡宮が合祀されてから「御厨子神社」と改称された。

御陵名　河内坂門原陵（こうちのさかどのはらのみささぎ）

所在地；大阪府羽曳野市西浦6丁目
陵は宮内庁により河内坂門原陵に治定されている。宮内庁上の形式は前方後円。前方後円墳としてはもっとも前方部が発達した形態で、墳形の最終段階を示すものと考えられています。平成15年度の調査で二重目の濠が存在することが判明、この調査で出土した埴輪などから古墳の築造は6世紀前半頃であったと考えられています。なお、墳丘主軸の東延長線上には小白髪山古墳が築かれており、陪塚（ばいづか）であるとすれば、形態が前方後円墳である点で注目されます。（羽曳野市HPより）

２３代　顕宗天皇（けんぞうてんのう）

年齢　38歳
在位　3年間(AD485年～)　
市辺押磐皇子（履中天皇の長子）の第3子
★父市辺押磐皇子が雄略天皇に殺されると、兄の億計王（後の仁賢天皇）と共に逃亡して身を隠した。
★清寧天皇に兄王を皇太子に、弘計王を皇子とし迎えられた。
★清寧天皇崩御した後、皇太子の億計は身分を明かした大功を理由として弟の弘計に皇位（王位）を譲り、弘計が顕宗天皇として即位する。

宮都　近飛鳥八釣宮（ちかつあすかのやつりのみや）

所在地；奈良県高市郡明日香村八釣
明日香村八釣に弘計皇子神社があり、ここを八釣宮跡伝承されている。景色は良い処だが宮跡としては狭く傾斜地でもある。おそらく、宮は八釣の集落の下方の平坦地に営まれ、現在でも宮ノ前、宮の上などの小字地名がある。

実在性について

億計・弘計2王の発見物語は典型的な貴種流離譚であって劇的な要素が強い。兄弟が畿内周辺を彷徨し、聖なる新室宴において唱え言をあげたことや、弘計の別名である「来目稚子」が久米舞を継承する来目部（くめべ）を連想させること、神楽歌における囃し言葉を「おけおけ」ということなどから、近年では、この伝承に史実性を認める説もでてきた。また、両皇子発見譚が史実ではなかったとしても「史実でない物語が付加された」ということにすぎず、天皇系譜そのものを否定したことにはならないとし、億計・弘計の両天皇の存在を主張する意見も少なくない

御陵名　傍丘磐坏丘南陵（かたおかのいわつきのおかのみなみのみささぎ）

所在地；奈良県香芝市北今市
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。
上記とは別に、奈良県大和高田市築山にある磐園陵墓参考地（遺跡名は「築山古墳」では、顕宗天皇が被葬候補者に想定されている。

２４代　仁賢天皇（にんけんてんのう）

年齢　50歳
在位　11年間(488年～)　
履中天皇の孫、市辺押磐皇子（いちのへのおしはのみこ）の子
★弟の弘計王（後の顕宗天皇）と共にまず丹波国与謝郡（丹後半島東半）に逃げ、後には播磨国明石や三木の志染の石室に隠れ身を隠した。
★弟王が（顕宗天皇）わずか在位3年で崩御し、億計王が仁賢天皇元年1月に即位した。
★仁賢天皇の時代は国中が良く治まり、人民から「天下は仁に帰し、民はその生業に安んじている」と評された

宮都　石上広高宮（いそのかみのひろたかのみや）

所在地；奈良県天理市石上町
伝承地は式内社の石上市神社の旧社地で、現在は末社の姫丸稲荷神社がこの宮跡に残っています。

平尾山案内記

平尾山稲荷神社の境内を中心として平尾山の大部分は旧地名を「宮の屋敷」といった。日本書記によると第二十四代仁賢天皇の石上広高宮や、その御父市辺押磐皇子の石上市辺宮は、この「宮の屋敷」の地にあったと考証されている。又明治16・7年には神社の東方百米の地より二個の銅鐸が出土して、仁賢帝の時代は大和朝廷の所在地として、わが國政治・文化の中心だったのである。「宮の屋敷」というのは石上広高宮の屋敷という意味であったかもしれないが、後には宮址に祀られた平尾のお宮の屋敷と考えられて来た。第六十一代醍醐天皇の時に編述された延喜式に記されている石上市神社は、このお宮のことである。

御陵名　埴生坂本陵（はにゅうのさかもとのみささぎ）

所在地；大阪府藤井寺市青山3丁目
陵形；宮内庁上の形式は前方後円
遺跡名はボケ山古墳（野中ボケ山古墳）。元禄探陵において所在不明とされたが、河内の学僧覚峰は現陵に擬定し、ボケ山の「ボケ」を「オケ（億計）」の誤りと考証した。この成果に基づき、幕末に現陵に治定して修補を加えた。

２５代　武烈天皇（ぶれつてんのう）

年齢　18歳
在位　8年間(499年～)　
父は仁賢天皇
★『日本書紀』には非常に悪劣なる天皇として描かれているが、『古事記』には悪逆非道の記述は一切見られない。
★血縁関係が薄い次代の継体天皇の即位を正当化する意図が『書紀』側にあり、武烈天皇を暴君に仕立てたとする説がある
★聖帝仁徳によって開かれた王朝が、雄略の時代を経て悪逆非道の武烈で断絶し、次の継体によって新王朝が開かれるとする王朝交替の歴史観が現れているとの説もある。

宮都　泊瀬列城宮（はつせのなみきのみや）

所在地；奈良県桜井市出雲十二柱神社に「武烈天皇泊瀬列城宮跡」の石碑がある。
宮のあったとされる初瀬谷は大和の国から伊勢・東海方面へ通じる古代の主要道となっていました。谷の入口には、雄略天皇の泊瀬朝倉宮もあったとされ、ヤマト王権の重要な拠点の一つであったと考えられています。日本書紀には、武烈天皇と当時権勢をほしいままにしていた大臣の平群眞鳥（ヘグリノマトリ）との争いや、その息子の平群鮪（ヘグリノシビ）と影姫をめぐる悲話が記されています。また、武烈天皇には子がなく、次代には、応神天皇の５世の孫となる継体天皇を越の国（北陸）から迎えたと記されています。（桜井市役所ＨＰ）

野見宿禰信仰

この神社にある五重塔は、元は出雲の太田と云う場所にあり、江戸時代は巡業で通る力
士一行が必ずこの野見宿禰の墓に参拝しました。
明治16年頃に五輪塔は十二柱神社に移され、その時に五重塔が建っていた塚を発掘した
時、土器・埴輪・直刀・子持勾玉などが出土しました。明治16年頃まで野見宿禰信仰が
近卿の人々の信仰のシンボル的存在として、宿禰塚があったようです。
（桜井観光協会）

武烈天皇の異常な行為（日本書紀）

★二年の秋九月に、孕婦の腹を割きて其の胎を観す。
★三年の冬十月に、人の爪を解きて、芋を掘らしめたまう。
★四年の夏四月に、人の頭髪を抜きて、梢に登らしめ、樹の本を切り倒し、昇れる者を落死すことを快としたまふ。
★五年の夏六月に、人を塘の樋に伏せ入らしめ、外に流出づるを、三刃の矛を持ちて、刺殺すことを快としたまふ。
★七年の春二月に、人を樹に昇らしめ、弓を以ちて射墜として咲いたまふ。
★八年の春三月に、女をひたはだかにして、平板の上に坐ゑ、馬を牽きて前に就して遊牝せしむ。女の不浄を観るときに、湿へる者は殺し、湿はざる者は没めて官やつことし、此を以ちて楽としたまふ。
なお、これら天皇による悪逆非道の記述は、『古事記』には一切見られない。

御陵名　傍丘磐坏丘北陵（かたおかのいわつきのおかのきたのみささぎ）

所在地；奈良県香芝市今泉
陵形；宮内庁上の形式は山形。
元禄探陵の際は香芝市平野にあった平野3・4号墳（消滅）が陵に擬定され、幕末まで保護されたが、大和高田市築山の築山古墳（磐園陵墓参考地）が比定され、安政の陵改めではこれを否定。明治22年（1889年）現陵が治定された。しかし、現陵は「古墳として造営されたものではなく、単なる自然丘」という見解が学会における一般的な見方で、陵そのものの実在を疑う意見もある。

２６代　継体天皇（けいたいてんのう）

年齢　82歳
在位　24年間(AD507年～)　
15代応神天皇の5世孫『記紀』
★『記紀』は共に継体天皇を応神天皇の5世の子孫と記している。また、『日本書紀』はこれに加えて継体を11代垂仁天皇の女系の8世の子孫とも記している。
★507年、58歳にして河内国樟葉宮（くすばのみや）において即位し、武烈天皇の姉にあたる手白香皇女を皇后とした。
★即位19年後の526年にして初めて大倭（後の大和国）に入り、都を定めた。

宮都　樟葉宮（くすばのみや）

所在地；大阪府枚方市楠葉丘の交野天神社付近
樟葉宮跡の伝承地は交野天神社の境内の貴船神社周辺が樟葉宮跡の伝承地として史跡に指定されています。『日本書紀』によると、越前の三国から迎えられた男大迹王（おおどのおおきみ）は、507年に樟葉宮にて継体天皇としてで即位した。筒城宮、弟国宮、磐余玉穂宮との遷都は政治上の重大な変革があったためとする説もあるが、この記録が事実とすると、継体が大和にいたのは晩年の5年のみである。
筒城宮（つつきのみや、現在の京都府京田辺市多々羅都谷か）に遷す（511年10月?）
弟国宮（おとくにのみや、現在の京都府長岡京市今里付近か）に遷す（518年3月?）
磐余玉穂宮（いわれのたまほのみや、現在の奈良県桜井市池之内か）に遷す（526年9月?）

出自を巡る議論

①継体を大王家の「5代前に遡る遠い傍系に連なる有力王族」とする。『記紀』
②継体はそれまでの大王家とは血縁関係のない新王朝の始祖であるとする説が提唱（万世一系は否定）。26代継体天皇から新たな「越前王朝」が始まった（水野祐）
③出自を近江国坂田郡を本拠とする息長氏に求め、息長氏が応神天皇の孫の意富富杼王を祖とする皇別氏族（皇族が臣籍降下して誕生した氏族）で、後の天武朝には八色の姓の最高位を賜るなど朝廷から格別な待遇を受けた氏族であり、継体自身も妃の一人を息長氏から迎えていることなどがあげられる

即位から大和に宮を定めるまで

①即位に反抗する勢力を武力制圧して王位を簒奪したとする説
②(ｲ)継体が育ったとされる越前、
　(ﾛ)生まれた土地とされる近江、
　(ﾊ)宮があったとされる山城・河内、
　(ﾆ)陵墓が設けられた摂津
は日本海-琵琶湖-宇治川-淀川-瀬戸内海の水上交通を中心とした交通路によって結び付いており、継体が地方豪族ながら大王位を継げた背景にはこうした交通路を掌握して強大な政治力・経済力を維持していたことにあるとし、本拠地を離れて大和入りする動機が弱いために敢えて大和に入らなかったとする見方もある

御陵名　三嶋藍野陵（みしまのあいののみささぎ）

所在地；大阪府茨木市太田3丁目
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。遺跡名は「太田茶臼山古墳」

※今城塚古墳
大阪府高槻市郡家新町（前方後円墳、墳丘長190m）
歴史学界では同古墳を真の継体天皇陵とするのが定説となっている。この古墳は宮内庁による治定の変更が行われていないために立ち入りが認められ、1997年からは発掘調査も行われている。

２７代　安閑天皇（あんかんてんのう）

年齢　70歳
在位　4年間(531年～)　
父は継体天皇
★継体天皇の後を受けて、66歳にして即位したが、わずか4年で崩御した。
★関東から九州までの屯倉の大量設置と、41箇所の屯倉の名が列挙され、これに伴う犬養部の設置が記されている

宮都　勾金橋宮（まがりのかなはしのみや）

所在地；現在の奈良県橿原市曲川町
橿原曲川町の金橋神社である。JR金橋駅から少し行くと曲川の集落があり、その北はずれに金橋神社がある。権現社とも云い、安閑天皇を祭神とする。境内には石碑が建っている「金橋村（高市郡）」（現、橿原市）は、この宮号による近代の復古地名であった。金橋村がなくなった今でも駅名（JR金橋駅）や小学校名、郵便局名等々にその名を留めている。

継体・欽明朝の内乱（辛亥の変　しんがいのへん）

①継体天皇の崩御を辛亥の年（531年）とする一方で、異説として甲寅の年（534年）とする説『日本書紀』
②辛亥の年に日本の天皇及び太子・皇子倶に崩薨した『百済本記』
③欽明天皇の即位が辛亥の年とされ、継体天皇の次が欽明天皇であったように解される『上宮聖徳法王帝説・元興寺伽藍縁起』
④継体天皇が丁未の年（527年）に崩御したことになっている
こうした記述の矛盾について
『百済本記』が示した辛亥の年（531年）に重大な政治危機が発生し、その結果として継体天皇の没後に地方豪族出身の母に持つ安閑－宣化系と仁賢天皇の皇女である母を持つ欽明系に大和朝廷が分裂したとする「二朝並立」（林屋辰三郎）の考えを示し、継体天皇とその後継者を支持する地方豪族と前皇統の血をひく欽明天皇を担いで巻き返しを図るヤマト豪族との対立とみる説につながっている。
逆に「二朝並立」や内乱のような事態は発生せず、この時期の皇位継承については、継体の崩御後にその後継者（安閑・宣化）が短期間（数年間）で崩御して、結果的に継体→安閑→宣化→欽明という流れになったとする『日本書紀』の記述を採用すべきであるという見方を採る学説も有力である。

御陵名　古市高屋丘陵（ふるちのたかやのおかのみささぎ）

所在地；大阪府羽曳野市古市5丁目
陵形；宮内庁上の形式は前方後円
遺跡名は「高屋築山古墳」で、墳丘長122メートルの前方後円墳である。

２８代　宣化天皇（せんかてんのう）

年齢　73歳
在位　4年間(535年～)　
継体天皇の第二子
★安閑天皇が崩御したとき、その子供がなかったために同母弟の宣化天皇が満69歳にして即位した
★筑紫の官家の整備を行い、大伴金村に命じて新羅に攻められている任那に援軍を送った
★飛鳥時代の歌人・額田王は宣化天皇の4世孫（玄孫）とも言われる。

父継体天皇の大和定着に伴い、兄の安閑天皇と共に大和入りをし、安閑天皇崩御の後、同母弟の檜隈高田皇子が即位し宣化天皇となる。宣化天皇は皇子名にも見られるように檜隈に居住し、宮も引きつづき同地に置かれた。宣化天皇に見られる重要な事積としては蘇我稲目が初めて大臣に任命され、蘇我氏のめざましい台頭はここに始った。また、磐井の乱を平定した大和政権は筑前那津（現在の博多）に那津宮家（なのつのかんけ）を置いた。のちの大宰府にあたる政治・外交・軍事の統括機関であるこの那津宮家の設置により九州地方に対する支配がより直線的に強化された。

宮都　檜隈廬入野宮（ひのくまのいおりののみや）

所在地；奈良県高市郡明日香村檜前
キトラ古墳の近く、明日香村檜隈前の集落の東南端の丘陵に於美阿志神社があり、その境内に「宣化天皇檜隈廬入野宮跡」の石碑が建っている。この地が宣化天皇の宮跡とされたのは近世以来のことであり、神社から300mほど北へ下ったところで堀立柱の柱根遺構が見つかた。

継体・欽明朝の内乱（辛亥の変　しんがいのへん）

安閑・宣化朝は父継体天皇死後直ぐに即位した弟の欽明天皇と並立していたとの説（辛亥の変仮説）もある・・・安閑天皇で記述

御陵名　身狭桃花鳥坂上陵（むさのつきさかのえのみささぎ）

所在地；奈良県橿原市鳥屋町
陵形；宮内庁上の形式は前方後円。
遺跡名は「鳥屋ミサンザイ古墳」で、墳丘長138メートルの前方後円墳である。