since 04'03/10   平成の隠居

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750円ラジオがベースの

短波ストレートラジオ(その1)


フィルムケースで作った
短波用コイル

「材料費750円の実用AMラジオ」と題しその可能性を立証した。トランジスタ検波回路が思いのほか感度が良かったので、短波帯の受信も可能ではないかと思いトライしてみた。左の写真のように、写真のフィルムケースをボビンにしてコイルを造り、殆ど費用をかけずに実験を進めた。その結果、固定のアンテナが必要となるものの十分に短波放送の受信ができた。その様子を記載する事で一人でも多くの少年がラジオに関心を深め、科学技術の担い手に成長してくれる事を願っている。なお今回も検証実験のみで製作記事では無い事を最初に断っておく。

1.基礎データ

検波回路の周波数特性  前回は周波数一定で入力レベルを変えて検波出力を測定したが、今回は入力を一定にし、周波数を変えて測定した。(試験回路は前回に同じ)
 結果は下表の通りであり、10Mhz近辺までそのままで問題なく使えそうである。

周波数(Mhz) 1 2 3 4 5 6 7 8 10 12 条件
入力80db,30%mod(400hz)
検波出力(0db=3mv) 0 -0.6 -1.2 -2.0 -3.0 -4.0 -5.0 -6.0 -8.0 -10

受信周波数範囲  国内の短波放送「ラジオNIKKEI」の一番低い周波数は3.925Mhzで送信されている。これを受信できるように低い方の値を決めることにする。今回は、通常のエアバリコン(Max=430P、Min=12P)を使って実験する事にした。
 受信周波数の変化幅は容量の変化比の平方根だから、ストレー容量を20Pと仮定するとその比は3.75となる。最低受信周波数を3.5Mhzとなるよう同調コイルのLを設定すると、高い周波数は3.5×3.75=13.1Mhzとなる。このときのL値は計算上4.6μHである。「ラジオNIKKEI」の一番高い周波数9.760Mhzをカバーしているので目的にかなっている。

電波の強さ これはばかりはやってみないとわからない。どんなアンテナを使うかにより、場所により千差万別であろう。ただ、夜間になると強力な海外からの電波が到来しているからまず受信できるであろうが、国内の「ラジオNIKKEI」6波のうちいずれかが日中に聞けるかどうかが問題である。

2.アンテナコイルの製作

 素性の分かっていないトロイダル・コアーがあったのでトライしてみたが、μ値が非常に高く、短波帯には適していなかった。そこで、空芯コイルの作成とあいなったのだがボビンの手持ちが無い。何か適した材料はないかと探し、結局写真のフィルムケースを使う事にした。廃物利用なので、発生するコストはポリウレタン線(10円?)のみである。巻き線仕様は、コイル設計図表からおおよその値を求め、最後はカット&トライで決めた。出来上がりの写真は上に示したので、ここでは製作過程を紹介する。なお、同一巻き線仕様であっても電線の太さ、ピッチでインダクタンスは変ってくると承知おき願う。

巻き線仕様 ボビンに穴を開けておく 電線の巻きつけ タップ処理

3.受信結果

 製作したコイルとバリコンを接続し、同調コイルのタップを受信ブロックに接続して受信実験を行った。(右図参照)
 アンテナは手持ちの一番長い電線を窓から出し庭木の枝に結びつけた仮設アンテナで、地上高さ2m、長さ17m(引き込み部を含む)である。結論から言うと検波段で歪が生ずる程の入力があり、ガンガン鳴る。アンテナコイルにタップを設け、つなぎかえる事でAGCの代わりとした。目標としていた「ラジオNIKKEI]は、6.055Mhzが午前中綺麗に受信でき、午後になると9.595Mhzも聞こえ出した。目標達成なり。

 受信周波数範囲は3.5−16.4Mhzが得られ計算値より広くなっている。誤差が生じたのは見込んだストレー容量が小さかったためであろう。
 電波の強い局だけを受信するには問題ないが、そこそこのアンテナレベルがある局を受信しようとすると強い局の混信の影響を受ける。実用レベルを更に上げるには混信対策を講じる必要がある。ちなみに6Mhzにおける帯域幅(-3db)を測定すると150Khzを示し、これから計算される負荷Qは40となる。単同調としてはそこそこの値と思われ、限界に近いような気がする。

4.まとめ

 750円ラジオでも短波帯を受信することが可能であると立証出来た。コスト試算はポリウレタン線(10円?)のみの追加発生のため省略した。しかし、選択度特性を1ランク上げ実用レベルをもう一段あげたいところである。何か工夫を凝らし性能改善を試みたいと考えている。そして、「短波ストレートラジオ(その2)」を書きたいと考えているのだが???。(05/3/4完)

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