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第3日目6/11(日) リマ ➝ ピスコ(ナスカの地上絵遊覧飛行) ➝ リマ |
早朝の午前4時半、朝食もとらずにボックス弁当をもらってホテルをバスで出発、ペルーを代表する世界遺産のひとつナスカの地上絵遊覧飛行の拠点ピスコ空港を目指す。移動時間は途中のトイレ休憩を含めて約4時間。参加人員が少ないので二座席を一人で占拠とゆったりしている。 ナスカの地上絵遊覧飛行はピスコ空港、イカ空港、ナスカ空港の3か所からセスナ機で見学することができるが、リマからイカは約5時間、ナスカは約7時間かかりピスコが約4時間で一番近い。 早朝の出発は朝一番の遊覧飛行を予約しているからで、飛行予定の前日にならなければハッキリした出発時間が決まらなくて当日の天候にも左右される予測の難しい遊覧飛行だ。 バスはパンアメリカン・ハイウエーを太平洋に沿って南に走り、リマの市街地を抜けると砂漠地帯、 その中の電気も水道も通っていないと思われる場所にも、日干しレンガで出来た粗末な人家が点在し、この国の厳しい現状を映し出している。途中でバスは、トイレ休憩を兼ねて日系人経営の民芸品店にも立ち寄ったが、そのまわりは高い塀で囲まれた、まるで要塞のようでペルーの治安の悪さを物語っているようだった。 さらにバスは砂漠地帯を南に走行、ところが途中で雲行きが少しおかしくなってきたなと思ったらパラパラと小雨が降り出しついには大雨になった。 15分ほどで雨はやんだが上空はどんよりとした曇り空、これから向うピスコやイカ方面はさらに黒い雲に覆われている。ナスカの地上絵が描かれたのは今から2,000年以上も前だが、この地域は殆ど雨が降らない砂漠乾燥地帯のため、現在まで絵が残ったとされているのに大雨に見舞われるとは嫌~な予感がした。 午前8時半ピスコの空港に到着、が、空はどんよりとした曇り空で空港のビルに入ることなく、そのまま駐車場にバスを止めその中で待機。朝一番の遊覧飛行を予約しているということだが、飛ぶかどうかも全然分からず、ただただ天候の回復を祈って待つのみ。そして1時間、2時間と過ぎても何の連絡もなく、退屈しのぎに近くを散歩したり空港ビルをのぞきに行ったりしたが、この空港は国内線の発着もなく遊覧飛行のみの空港だから、小さな売店とお土産品店があるだけで閑散としている。 |
近代的なピスコ空港ビル
そして4時間が過ぎ、何回もナスカに来ている添乗員が“今までで最長の待ち時間です”という声を聞いて全員があきらめかけた時、携帯に連絡があったのか“これからナスカへ飛びます‼”との声、勿論全員拍手で大歓迎だ。後で聞いた話では、朝一番の遊覧飛行を予約し空港に来たのは我々のバスともう一台のバスのみで、それ以後の時間帯のバスは天候不良で中止の連絡が既に行ってたらしい、道理で駐車場も空港も閑散としていたわけだ。 早速全員空港ビルに入り搭乗手続きに、空港税5ドル払い手荷物検査、機体のバランスを取るための体重測定を済ませ搭乗券を受け取り待合室で待機。この空港ビルは2.3年前に建てられたもので新しく遊覧飛行だけの使用では勿体無いような作りで、将来的には国内線の発着も視野に入れているようだ。 30分位待って搭乗のアナウンス、待合室を出て滑走路を少し歩き12人乗りの大きめのセスナ機に乗り込む、全員同じツアーのグループ、座席は左右6人ずつの計12人、全員窓際席なので見晴らしは抜群。あらかじめ測定した各人の体重に従って座席が割り振られると言ってたが、よく見れば夫婦、カップルは同じ座席の左右に別れて座っているだけ、まぁそんなに体重差がなければ神経質になることはないようだ。乗員は機長と副操縦士の2人。 |
![]() ピスコ空港と12人乗りのセスナ機 |
![]() セスナ機の中、片側6人ずつで計12人全員窓際、我々は最後部の席 |
![]() 離陸するとすぐに海が見える |
![]() 雲の上は快晴 |
飛行コースはピスコから30分でナスカ上空に着き、30分で13種類の地上絵を見て回り、また30分かけてピスコに帰着、計1時間30分程度が標準的なコース。 13種類のナスカの地上絵を見て回る順番は クジラ ➝ コンパス ➝ 台形 ➝ 宇宙飛行士 ➝ サル ➝ 犬 ➝ コンドル ➝ クモ ➝ ハチドリ ➝ アルカトラス(ペリカン、サギ) ➝ オウム ➝ 手 ➝ 木 と回る。 この順番はイカ、ナスカからの遊覧飛行もほぼ同じでまずクジラからスタートする。有視界飛行が原則なので3空港の飛行機がバラバラの順番で飛んでは衝突の危険性もあり、そこはお互い協定を結んで安全飛行に徹しているのだろう。また天候が悪い時には3空港がお互いに連絡を取り合って地上絵の上空に入れる飛行機の数も制限している。このように天候に左右される遊覧飛行なので、リマを早朝に出発しても帰りはいつになるかはなかなか読めない。 ピスコ空港離陸後、ナスカまでの30分間は機内もそれほど騒がしくはなく、揺れもない快適なフライト。しかし地上絵が描かれている場所まで来るとパイロットは機体をグッと傾けて旋回し、窓のすぐ下に地上絵がよく見える姿勢をとり、今度は反対側の人が見れるようにと右へ、左へと急角度で旋回を始める。サービス満点だが乗り物酔いに弱い人にはチョット厳しいかも知れない。副操縦士は英語と片言の日本語で説明してくれたが、最後部ではほとんど聞き取れなかった。 |
ペルー南部に広がる大平原に、1~6世紀ごろ、高度な数学知識を持つ文明が描いたとされる700以上にも及ぶ地上絵。絵というと何か塗料を使って絵を描いたようにイメージするが、そうではなく黒い地表の小石や砂利を取り除き、そこに浅い溝を掘って白い地肌を露出させることで描いている。遊覧飛行で紹介されている地上絵は代表的なごく一部で、それ以外にも意味不明の無数の直線や幾何学図形などいろいろな線が描かれている。 今は人や車の立ち入り禁止区域とされたが、昔は普通に人や車が通っていたので、車の轍の跡などいろいろな線が入り乱れ上空からの識別も難しくなって、地上絵を発見するのは至難の業になっている。 |
ナスカの地上絵の中を突っ切るように、パンアメリカン・ハイウエイが走っている。 この南北アメリカ大陸幹線道路計画は20世紀初頭に構想された。当時、地上絵の存在は一部の地元民には分かっていたが、 1939年に上空飛行中のアメリカ人考古学者ポール・コソック博士に発見され、マリア・ライヒェ女史の調査により世界に紹介されるまでは、その学術的価値も考古学に対する関心も薄かった時代であったこともあり無視して建設された。今では考えられないことだが、これにより全長190メートルもある トカゲ の絵 は真っ二つに分断され殆ど消えてしまった。 地上絵は誰が何の目的で描かれたのか諸説があるが今も謎のまま、実際に飛行機で飛んで見て、その不思議さと壮大さ古代人の奇想天外な発想には感動した。しかし世界遺産のナスカの地上絵も、地球的規模の環境変化による降雨や、人為的な影響もあったりして消滅の危機に晒されている。 遅い昼食は、ペルー名物のセビーチェ、ホタテの貝柱、エビ、白身魚の刺身に新鮮な野菜や香菜と一緒にマリネした料理。帰りもトイレ休憩で同じ民芸品店に立ち寄りお土産品を買う。 リマのホテルには午後7時半ごろ帰着、すぐに中華料理の夕食。いったんは諦めたナスカの地上絵がどんでん返しで見られた喜びで盛り上がり、皆で楽しい食事となったが、もし不運にも見れなかったらと思うと、その幸運には感謝しかない。 |
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