興味を持つことが自分を助ける | |
3.組織で充実した時間を過ごすために 「全てのことは巡りまわる」 多くの場合に、いやほとんどの場合に、教育を受ける側の部下は、少なくとも最初は育成期間の毎日において学生時代とは全く異なる環境下で上司や先輩たちに対峙するために、なんとか研修を乗り切りたいと思って頑張るのであろう。しかしながら、時間の経過は非常に速い。実習や研修の期間を過ぎてある程度単独で仕事が出来るようになってさらに2~3年もすれば次の新人の教育や実習の一部を依頼される。この場合に、仮に教育の責任者ではなくても、現場の指導や顧客対応などのノウハウや知識の伝授も行わなくてはならない。そしてさらに数年も経過すれば主任や主務といった管理職の仕事にも加わるであろう。そうなるとほぼ完全な教育指導者となるので人材育成や教育のスケジュールから内容までも企画することになる。企業や組織の期待や要求の程度によっても多少は異なるが、数年後には責任を求められるほぼ完全な教育の責任者となる。すなわち、こうした人材育成や教育の流れは常に「循環している」のである。 多くの場合には、こうした踏襲されたやり方で人材育成が進められていく。大きな流れは企業や組織の中での方針で決められており、複数の新人の導入教育から個別の専門的な教育まで広い範囲で実施される。しかしながら、我々を取り巻く周囲の環境は時間の経過に伴って大きく変化していく。そして顧客の考え方ややり方も大きく変わり進化していく。 著者の経験では、昭和の末期の新入社員の頃は手書きの報告書のみであり、その後数年したらチーム内に数台のコンピュータ(いわゆるパブリック・コンピュータ?と呼ばれるもの)、そして主任になったら頃から個人のコンピュータ(これぞパーソナル・コンピュータだね)、そしてチームリーダーから退職までの期間はインターネットやWEB会議などと、データの解析や報告書の作成などの手段は次々と向上していった。顧客への対応でも、サンプル到着後に翌日以降での報告から、サンプルが午前中に到着できる場合には午後には報告する、そしてさらに最近では午前中に到着後したら1~2時間程度で即報告へと事業のスピードと対応の厳しさは明らかに増している。このような状況は時代の進展につれて当然のことではあるが、業務や活動のツールやアイテムの質の向上に伴って求められる対応は大きく変化している。 そのような訳で、教育者にはその時代に対応した臨機応変のアクションが求められる。近年では、社内外でのプレゼンテーションのスタイルも、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)を用いた方法から、PPT(パワーポイント)や動画やアニメーションを使用したツールを効果的に活用する能力も強く求められている。教育者に求められる能力はさらに幅広くそして深くさらに高度になっている。 いわゆる技術継承とは、自分自身が教わった技術をそのまま複写して若手に継続していくことだけではない。最も重要なことは、新しい技術や情報そして改良や改善された技術や技能も伝えていかねばならない。また、仕事のやり方に対しては基本的なスタイルを維持しながら変化する時代に合わせた考え方や配慮の方法も伝授していくことが必要になる。丁度、階段を一段ずつ上るように技術や技能や考え方や取り組む姿勢に対しても成長させることが求められる。 「親の教えは子に伝わり、またその子はそのまた子(孫)に伝えていく」 世界に負けないための技術の向上に対しては、こうした何世代にも渡る進化していく「巡りまわり」が最も重要になるのであろう。
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