興味を持つことが自分を助ける


3.組織で充実した時間を過ごすために

 「いつも近未来のことを考えておく」

 私たちは日常ではどのステージを意識していくべきなのでしょうか?例えば、それは「過去」なのでしょうか、それとも「現在」なのでしょうか、あるいは将来に経験するであろう「未来」なのでしょうか。ここではこのような時間軸に対して少し考えてみたいと思います。

 私たちには、企業や組織の中での研究や開発などの創造的な業務において、長期的あるいは中期の計画をたてながら描かれている経営的な目標に向かって毎日を効率的にまた効果的に業務を進めていくことが要求されています。すなわち、サラリーマンとして企業や組織に属しているならば、その所属する組織の中での地位や階級の上下には拘らず、皆が雇用されている企業や組織に対して利益の出る仕事の進め方を毎日実施していかなくてはならないでしょう。

 長期の計画では、競合する他社や組織や外部の状況をよく把握して、自分の会社や組織が業界でトップになれる数年先の状態を描いて、そこに昇って行くよう求められており、そのためにいわゆる
「人・物・金」を有効に配分していかねばなりません。そして、中期の計画では長期の計画に至るためにより具体性を持った計画を立案することが必要になります。さらに、短期の計画ならば企業や組織のステージ毎の計画と実績をタイムリーに評価して、必要に応じて具体的な修正を加えながら、中期計画の達成に向けて進んで行かなくてはならないでしょう。そして、部下たちは、最も短期的には上司と部下の間で決められた具体的な目標に対して達成度を確認しながら(これが目標チャレンジとか査定とかになるのでしょう)、双方で確認できた人材育成のシステムの中でレベルアップを図っていくべきでなのでしょう。このようにして、一般的にはステージ毎に目標が異なり、それに対する実施の具体的な項目や内容が必然的に異なると思われます。

 確かに、理想的なプロジェクトの遂行や仕事の流れは上記の通りなのですが、実際には決してそのようにはなりません。
大部分が理想的な仕事の流れにはならないと言っても良いでしょう。例えば、人材育成が疎かな企業や組織では入社してから若手や中堅の技術者すらも使い切っり状態で、ひどい場合には何ら教えてくれない場合もあるようです。組織やシステムの中での人材教育や育成よりも現場の人から直接教わることで技術や技能を身に着けて行く場合も多いように感じています(実際、著者の状況にもこのような状態がかなりの割合を占めていました)。そのために仕事の進め方や並行処理のノウハウなどは現場の方々から教わったことが多かったように記憶しています。

 また、形式を重視するあまり人材教育を実施たかのように人事政策をしている場合もあるようです。著者が現役だった頃も確かにこのような研修が何回かあったような気がしますが、この成果ややったことなどはあまり身についていないように感じます。一般的には、企業研修は受講の直後には直接の課題に対しては模範的なアクションにつながりますが、その後の実務に応用的に活用できるかはまさに本人の意思次第になっている部分も多いようです。

 こうした人材育成の課題を少しでも解決するためには、
従来型の受け身の研修や教育では効果が無いように感じます。若手の社員自身が次にどのような状態(技術レベル)になりたいのかあるいは育成すべきなのか、また将来の理想的な状態に対してどのような行動していくのかを考えることが大切になります。しかしながら、実際にこうした人材育成のやり方をしている組織や企業は時間がかかるとか費用の面などもあって多分少ないのであろうと思います。しかしながら、最も大切なことは、自分自身が今の携わっている技術体系の中で具体的に何を目指すのかを考えねばならないということです。

 数年先の自分自身の姿を思い描いて、そこに向かって今の自分自身を技術的にもまた人間的にも高めるためにするために、今年度はこのように進めようとか、あるいは3年たったらこのレベルに達するように努力しようと考える方式は確かに自分自身の大きな計画性を感じます。しかし、このような理想的な行動ができる技術者は進めたら良いが、決してこれが最良の方法では無いような気がします。すなわち、今まさに迫っている
目前の近未来の具体的な目標達成ができなくては全く意味が無くなってしまうのです。

 だから、
先ずはできる可能性の高い近未来のすべきことを着実にできるように考えてみましょう。これは既に与えられた具体的な目標があるので(すなわち着陸点が見えているので)、それを計画通り進めていける段取りを考えてみましょう。そして、近未来にそれらが計画通り達成できたら(予定ではできる計画であるので)、次のステージへの進める方向性も考えてみよう。その際に、具体的な進め方も考慮して見よう。多分、それらの延長線上には若手技術者が目指す道があるはずであると思います。

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