仲間を増やす | |
3.組織で充実した時間を過ごすために 「仲間を増やす」 どんなことでも自分1人だけでは十分な立ち回りはできない。例えば、「城」を攻めるときでも真正面から1人で戦いを挑んでいたら直ぐに鉄砲の玉や弓矢が飛んできて、いわゆる「ハチの巣」状態で討ち死にするであろう。しかしながら、志(こころざし)を一つにした(あるいは利害関係で同調できる)多くの仲間がいれば、自分自身が正面から攻めている間に側面や背面からも相手を違う方法で攻めることができるので難攻不落の城も陥落させる可能性が高まる。このように賛同できる仲間は可能な限り多いほどよく、また権力や調整力や財力のある信頼できる仲間(例えば役員や直属上司や間接上司など)がいるほど成功の確率は高まると思われる。 企業や組織においては、このようなネットワークは単なる業務や作業として指示されたことだけでなく、自分自身が率先して推進できる案件に対しても全て同じような状況にあると考えられる。このときに同期に入社した最も信頼できる仲間や経験豊富な先輩社員だけでなく、直属上司や指導教官などがいれば、多くの難しい課題に対しても何らかの解(解決策)は得られると考えられる。 ただし、このような志(こころざし)のベクトルを同じにする仲間は短時間では簡単にはできない。そのために、平時から人為的なネットワークを積極的に構築しておくことが非常に大切になる。自己の所属が研究開発の部門の場合には、これらの仲間は研究開発に関わる部署の関係者だけでない。すなわち、製造や生産に関わる分野や営業や販売などの分野においても多くの仲間を増やしておくことを勧めたい。 こうした地道な活動を進めていくことで研究開発の分野や業務においても、既存の製品に対する生産工程の改善や設備改良に対しても技術的なタイムリーな貢献ができ、また工程上の不具合(異物や欠陥など)の修正に対しても効率的で有効な支援ができるなど相互協力ができる。そのような相互協力の活動に対しては、周囲の担当者との信頼関係を構築することが非常に重要となる。また、営業部門の担当者や顧客と直接やり取りができる部署とのコンタクトも重要になる。複数の部署や関係分野での責任者や関係者と日頃から積極的な交流ができれば、実態に近い新たな企画や計画を提案することも可能となり、例えば最新の設備や装置の導入などに対しても極めて強い味方となると考えられる(おそらく稟議の文章に対してもより承認に近づくであろう)。 研究開発における技術力の強化と業務の推進のためには、タイムリーに製造分野や営業や拡販などの異分野の仲間に対しても自分から積極的に情報を発信して共有化を進めることが良い。場合によっては、彼らが研究開発のための予算の一部の確保を協力してくれる場合もあるかも知れない(例えば研究開発の支援のための費用の工面や稟議の関係者への根回しやフォローなど)。また、著者の体験の中では研究成果に対しても学会や講演会での発表の場を提供してくれる場合もあった。 ではこのような仲間はどのようにして増やしていけばよいのだろうか?多くの場合に、小学生や中学生のように中心に先生がいてグループ分けをして丁寧に指導してくれる人はいない(そのようなことは決して期待してはいけない)。企業や組織の中では仕事やプロジェクトの進行はある一定のベクトルを持って行われるが、日常の業務遂行では決して個人同士が綿密な相談してその中で進められるものではないのが一般的であろう。個々の成果に対しては直属上司や勤怠管理者からの査定を受けるし、さらにその結果は個人の給与(昇給)や昇格などの報酬に対しても強い関係を持っているので、特別なプロジェクトの場合を除い、1つの部署においても皆が協力して(一致団結して)日常の仕事を推進するようなスタイルではないと思われる。 しかしながら、そのような場合でも毎日の業務の中で上手に仲間を増やして、いざというときに力を結集できるようにしたいものである。そのためには、以下のことに対して「信念」を持って欲しいと思っている。 「周囲の仲間と情報や意見の交換や議論を積極的に行うこと。」 「常に“Give And Take”。与えられてばかりいてはいけない。」 こうした日々の配慮の中での質の良い人間関係が仲間を次第に増やしていく。 是非、仲間を増やして大きな仕事や困難な課題を乗り越えてもらいたい。
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