「何事もプラスの思考で」 | |
2.上司と上手に「たたかう」方法 何事もプラスの思考で よく「負の連鎖」とか「負のスパイラル」が事業や開発の失敗事例で言われる。英語では文字通り”Negative Chain”とか“Negative Spiral”と言われる。1つのことで上手くいかないと、次も失敗して思うようにいかないことを意味するのであろうが、上司と部下の間でもこのような「負の連鎖」のような状況が起こる。上司も部下も人間である以上、議論や話し合いで感情が入って、話の先手を頻繁に想定した読みを行うために、深読みしていわゆる「壺に入り込んでしまう」ような状況になるであろう。こうした状況になると、提案しようと考えていた内容もうまく伝わらない。さらには次々と否定されたりあるいは意図が伝わらなかったりして提案する意欲も無くなってしまうのであろう。 「闘いでなく提案する」とか、「上司の資質や癖を見抜く」などの行動をしたのならば、是非、そのようなことを継続できるように考えていきたいものである。つまり、そのためには、上司と部下がお互いに不幸にならないための前向きの考えが必要になる。 では、具体的にはどのようなことを行えばよいのだろうか?あるいは、どのようなことに注意すべきなのであろうか?例えば、ある組織に大型の装置の導入を提案するときには、その企業の経営状態が思わしくなければ導入の提案を即拒否されるかも知れない。そのような場合には、著者の数少ない経験から、以下のことを試してみると良いのかも知れない。 何千万円もする高額の装置の導入ができないとか、あるいは新しい製品開発が予算の関係で困難な場合には、無理に自分たちの提案や考えを押し込まないで次の策を考えよう。例えば、関連する計画の中で受け入れられそうな提案に切り替えるのも一案であろう。すなわち、何千万円もする高額の装置の導入はこの先の計画として残しておき、そこに至る周辺の提案をして行こう。理想的にはよく言われる「外堀を埋めてから本丸を周囲から攻め落とす」になるであろう。また、このような状況は、来る決戦の日に向けて希望する装置の導入に対して大きなメリットがもたらされるであろう。関連部署の賛同と言うか援護をしてもらう。そのためには、ちょっと長い期間で理解してもらい事業に強い支援をお願いしよう。特に、日頃から直属の上司やグループあるいは管轄する部署の上司に対しても装置の導入の必要性を説得して(吸い込んで)おくことも重要である。後者の場合には月報会や報告会なども継続的に必要性を説明することも必要である。 もしろん、経済的な効果や影響などに対しても時間が十分にあるために詰めることができるのであろう。特に、同業他社の情報を比較しながら自分の組織がどのように劣っているのか、あるいはどのように改善したら勝負できるようになるのか、などの情報をまとめることは非常に大切なアクションであり、結果として大きな成果をもたらすであろう。しかしながら、このような複合的な対策や行動をおこなっても、どうしても本来の目的に達しないこともある。そのときには、先に述べたように、目前の計画を変えて新しい目標を設けよう。 著者は現役時代に、ある高額な分析装置を導入するために、考えられる多くの対応をしながら活動したことがある。しかしながら、迫る退職の時期と世間に広まった感染症の拡大による企業の経営状況の悪化なども複雑に入り乱れて、希望した装置の導入に至らなかったことがあった。学会や講演会などで継続的にその装置とそこから得られた科学情報の重要性を説明してきたが、高額の装置の導入は達成できなかった。現役の時代がもう少し継続していたらと思うが、こればかりは仕方ない。その後、装置の必要性や重要性を説明する上司や関係者もいなくなり、退職後に状況の変化によって他分野の低額の装置の導入となったみたいであるが、それはそれなりにその時の事業に対しては役立つものであったのであろう。 しかしながら、退職後に昔の仲間や他社にいる知人からの情報では、競合他社で自社と技術的に対立する企業でなく、それほど気にしていなかった同業他社においても、かなりの能力を持つ試験・分析の装置が導入されており、明らかに著者が属していた企業の分析技術や解析能力が劣っていることがわかった。技術系の企業の力は技術者や研究者の能力や育成の力が最も大きく影響するが、彼らが縦横無尽に利用できるアイテム(分析装置や製造装置、あるいはそれらを駆使する技術力)が無ければ、最終的には競争に負けることになる。 上記に著者の色々な愚痴も書いてきたが、とにかく提案を目に見える形にするためには、仲間と共に諦めずに努力をして行こう。
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