「楽しく仕事が出来ているかい?」 | |
2.上司と上手に「たたかう」方法 上司の資質や癖を見抜き論理的な考え方をする 一般的に議論が始まると、「言われたら言い返す」とか、あるいは「屁理屈を並べて自分自身の発言や行動を正当化する」とか、さらに「黙り込んでしまう」などの反応が生じる。上司も部下もそして同僚や友人も人間である以上、精神的に負担になればどうしても正常な判断ができなくなる。そうなるといわゆる「公」としての業務の中でも正しいアプローチで仕事を推進することが困難となる。そのために、そのような切迫した状況に陥らないように日頃から論理的な考え方を身に着けておいて欲しいと考える。 例えば、著者の例で既に記載したように、上司からの積み重なる仕事の指示に対して(いわゆる鬼畜的な状態)、ある意味で「イラっ」となって年休届を叩きつけて(いや丁寧に提出して)帰宅してしまったが、こうした行動はたまたま上司が世間でいうところの「気にするタイプ」だったので、それ以降の「お咎め」が無かったのは幸いであったが何時もこうした幸運は無いであろう。そのために、きちんとした論理(ロジック)を組み立てながら対応を考えたいものである。 日々、身近で接している(あるいは接しせざるを得ない)上司に対して、彼らの性格や資質やあるいは癖などの人間性をある程度(必ずしも定量的でなくても良い)把握することは日々の安定した仕事や人間的な関係(付き合い)を上手に行うためには非常に大切である。 著者も上司からのある意味でこのような「鬼畜」のような扱いに対して、上記のように「年休届」を切り札として出して一時的に休んだこともあったが、その後ある程度は上司の性格や考え方を事前に考えながら行動することを心掛けた。その上司に対しては、「きちんとしたデータが揃っていること」、「データから直接わかることだけではなく導き出される考察をできだけ行う」などを行うことが有効であることがわかってきた。こうした仕事の中での人間関係を円滑にするようにデータを整理していく中で、上司からの要求もある程度は理解できるようになったし、また自分自身で考えるようになってからやっとのことで「~したい」という考え方に変わってきた。つまり、今まででは自分のやるべきことを十二分に理解していなかったということであり、上司とのある意味での小刻みな衝突がこうした意識を持たせてきたのであろう。上司に対しては、こうした人材育成の流れの中で、もっと分かり易く説明してくれれば良かったのではないかと考えるが、上司自身の性格や踏襲したやり方が本来の理想的な人材育成を邪魔するために、上司も部下に対して上手に対応できなかったのであろう。 科学的、論理的、あるいは応用的な考え方の好きな上司に対しては、部下自身でもそのような考え方も少しずつ取り入れるようにしたいものである。また、上司からの表現や指示がわかりにくいとか不明瞭な場合でも、それらが理解できるようにこちらから「そっと」促していきたい。 例えば、「このデータが無いとこの部分の解析ができないので、もう少し測定を増やして解析の精度を上げれば○○の事業に大きく貢献できる」などとした部下から上司への提案も解決策の1つであろう。また、利益を追求して自分たちの部署の評判を気にする上司であるならば、「こうしたアクションをこの位の予算で行えば、この程度の効果があるので、ぜひ実施してみたい。」などと提案することも一案である。 著者は、現役時代に数人の上司と仕事をしてきたが、上司の皆はその性格や考え方が大きく異なっていた。ある上司には、「年休届」の事件から数年後に部下となり、それから10年以上は上下の関係にあったが、とにかく自部門の利益確保を優先するタイプであった。したがって、「海外出張や国際学会への参加はとんでもない」といったタイプであった。そのために、こちらも2回転半以上ひねって対応した。「今この技術を世界に示していかないと製造技術を中心とするこの会社は世界に取り残される」という危機感を強く説明し、またスポンサーとなる事業部のキーマンと技術や必要性を共有化することで、事業部から海外出張の旅費や学会参加費などの予算を含む形で予算確保を行った(勿論、自分たちの部署への利益還元も含めて)。このようなある意味での「根回し作業」は、その後数年間も継続して行い、事業部の発展と自部門の売り上げと貢献度の向上、世界に対する企業の存在価値、さらには技術者としての自分自身の力量の向上と、さらには国際的にライバルとのお互いのスキルアップに大きく貢献した。こうした前向きな対応ができたために、事業部の責任者とは今でもお互いに理解し合える関係となり退職後でも情報交換できる関係になった。現在は「ガラス分析技術ラボラトリー」の個人事業を起業して、ガラスやセラミックスの分析技術のコンサルティングを行っているがこうしたアクションが非常に役に立っている。
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