退院時の主治医の話(要約)
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骨髄移植日記
 今回の移植は、血のつながった兄弟からの移植ではなく、まあくんもひでくんも生着率が低い、難易度の高い移植(まあくんは臍帯血、ひでくんは骨髄バンクから提供を受けた)だった。けれども二人ともクラッベ病患者では日本で初めて100%生着し、美しく成功した(先生が「美しい」を連発され、あらためて大変なことだったのを実感した)。
 これまでは、先天性代謝異常症の方への移植は兄弟からの移植が中心で、バンクでは2例あったがいずれも移植後は自分の細胞が立ち上がってきてうまくいかなかった。プロトコル(治療プログラム)の検討を重ねる中で今回、ほぼ完成バージョンのプロトコルで移植を実施し、成功した。これは、クラッベ病の他の患者の方々にも非常に良い結果で、今後の経過・回復を楽しみにしている。
 もし失敗していた場合、代謝異常の方は2回まで移植は可能であるが、二人とも1回で成功して本当によかった。
 ただ、特に臍帯血の場合、何年もたってから元もとの自分の骨髄が立ち上がってきて気がついたら元に戻っていたというケースがあった(骨髄バンクからの場合もゼロではない)ので今後も気をつけるように。
 入院・移植中に病気の進行があったかどうかについては、入院中は普段に比べたらストレスも多く薬による一時的な影響も考えられるので、入院時と退院直前の検査結果を比較して判断。まあくんは移植前と退院時はほぼ同じくらいの状態だった。ひでくんの場合は目がかなり悪くなったように思う。
 MRIの画像で昨年9月と今年4月の脳内の様子をみると脳の後半分あたりで視神経の通っているところに沿って脱髄がみられ、ほんの少しその部分が増えている。また、まあくんのときはなかったのだが、脳全体に若干の萎縮がみられた。これは処置の影響だと考えられる。いろんな薬を使っているので、脳のどんなものが減ったのかは判らない、一時的なものなのかどうかもわからない。元に戻る場合もある。
 画像や数値の変化を見るかぎり、昨年夏と現時点の間の大きな変化は見られない。ただ、実際の視野は8月の検査入院時に比べるとずいぶん狭くなっている(中心から下にかけて欠損)。目から入った情報が、脳の、画像を感知・把握する部分へ充分届いていない。耳は正常。移植の効果については3か月、6か月という間隔でみていく。移植後、骨髄から出てくるドナー由来の細胞が身体中のあちこちに染み込んで行き、徐々に効果が出てくる。神経の覆いを造る細胞を、ドナー由来の細胞がサポートし、断線していない神経細胞は何年もかかって良くなっていくが、全く正常というまでにはいかないだろう。退院直前に血液を酵素活性の検査に出した。ひでくんの分はまだ結果が届いていないが、まあくんの結果は、退院時で既に10倍に増えていた(1.0以上あり、正常値を超えていた)。 [つづく]


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