ストレスで胃の粘膜か荒れると、ピロリ菌が吸着し、IL−8という物質を出す。このSOS信号に白血球が集まって炎症を起こす。繰り返すうちに、胃かいようから胃がんになるといわれている。
病院を訪れる患者で統計を取ると「五十歳以上のピロリ菌感染者がその余生で胃がんになる確率は10%、しかし、ピロリ菌非感染者が胃がんになる確率は0.1%」という結果になる。
もし、ピロリ菌が胃がんの主原因なら、除菌が最良の予防法になるだろう。
ピロリ菌は一般的に抗生物質を使った「三剤併用療法」で除菌する。二種類の抗生物質と胃酸分泌を抑える薬を一日二回、一週間服用する。その後、四週間以上をあけてから、ピロり菌がいなくなったかどうかを判定する。
冑かいようや十二指腸かいようのあるピロリ菌感染者、あるいは過去にこうしたかいようにかかった人が除菌する場合には健康保険が使えるが、予防のために除菌するとなると健康保険は利かない。
胃にストレスもなく正常な人からピロリ菌を完全に除菌するとどのような結果になるのであろうか。
広島の県立病院で1998年から6年間、広島県北部の住民を対象に追跡調査をした。追跡できたピロリ菌陽性151人の約10%が胃かいようや胃がんを発症していた。それに対して、陰性90人の実に32%が逆流性食道炎を発症していた。
東京医科大学病院内視鏡センターの教授も、今まで高齢者にしかみられなかった食道裂孔ヘルニアに二十歳代や三十歳代の人たちが、かなりの割合で罹患(りかん)していることを認めている。
ピロリ菌を完全に除菌すると、胃壁がかたくなり、収縮しなくなる。胃酸をどんどん出すようになって、胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜が胃の粘膜に変わる「パレット食道」ができてしまうからだ。
ピロリ菌を除去するかどうかは、こうした医療情報を参考に、個人個人が判断するしかないのが現状だ。
ピロリ菌のニュース(3)ピロリ菌除去の判断は負の側面も考えて
Tel:06-6762-4451 Fax:06-6762-2807
以下に全特集を一覧にしております。よろしければ他の特集もご覧ください