コラム

社員の化学日記 −第183話 「暑い!」−

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉通り彼岸が過ぎて夏が終わったと感じたのもつかの間、朝晩はよいのですが昼間はじっとりした暑さが戻ってきています。10月が見えてきたと同時に小さな秋の気配が感じられるようになってきましたが。

自分自身は、毎年ごとに暑さが堪える度合いが多くなってきているのは年齢のせいと思っていたが今年の夏は酷暑で大変だったとほとんどの人が話しているし実際の気温も過去最高の高温だったらしい

普段気象情報でよく聞く日本国内の高温地域は兵庫県豊岡市や静岡県浜松市、埼玉県の熊谷市などですが、今年全国で最も気温が高かった日が多かった都道府県は新潟県だという報道がありました。

北国というイメージがある新潟が最高気温一位とは?驚きモモノキびっくりです。北海道ほどではないにせよ寒い地方と思っていたのに。なんでなんや……

その原因としてフェーン現象が言われています、これは物理化学的に興味ある現象です。

液体の水は熱を加えると気体になり水蒸気に変化し、反対に水蒸気が元の水になるときは自分自身が持っている熱(エネルギー)を放出します。水蒸気は液体 → 気体の状態変化による熱エネルギーを持っているというわけです。

雷などもこのエネルギーが起因していますが(熱エネルギー → 光や電気その他エネルギー)割愛。

南から水蒸気を含んだ空気が流れてきて山を通るとき高所になるほど気圧が下がるので気温が下がり、気体である水蒸気が液体になり雲ができる、その時持っているエネルギーを放出するので温度が上がる、その暖かくなった空気が上記の地域に降りてきて、気温が上がるというわけです(空気と水の温度変化速度の違いもあります)。

雲ができる現象は我々普段の生活環境の中でも目にします。夏の気温、湿度が高い時期に冷たい水が入ったガラスのコップを置いておくと表面に水滴がつくのを目にしたことがあるでしょう、空気が冷たいガラス表面に触れ空気中の水蒸気が液体になるわけです。

横道にそれますが気体の性質について知りたい人は中学高校の化学を思い出してください。

(1)[温度が一定として]気体の体積は圧力に反比例というボイルの法則PV=K(P:圧力、V:体積、K:比例定数)

(2)[圧力が一定として]気体の体積は温度に比例するというシャルルの法則V=KT(T:温度)

これらを合わせてボイル・シャルルの法則といい、これにアボガドロの法則を加えて気体の状態方程式というものが出来上がっていろいろな説明ができると記憶していますがこれも割愛。

話を戻して

今回問題にしたいのは、新聞の記事内容が

「乾いた空気が山を越える時にも温度が上がることが観測されたが、この事象はまだ解明されていない」という表現、

「そうなんや、そこまで詳しく考えていなかった」というのがこの記事を読んだときに思ったことで、まだわかっていないことがあったんやということ。

この事象表現は、乾燥した空気が山を越える時だけのことなのか、山を越え元の標高に戻った時の温度も上昇しているのかがわかりませんが、ゆっくり考えようと思っていた時に新たな情報が入ってきました、これは気象研究しているチームが発表した事柄で「地球温暖化がなければ今年の異常な高温は起こらなかった」ということ。

[イベント・アトリビューション]という方法で研究したところ、今年のような高温になる確率は温暖化がなければ限りなく0%に近い結果だったと発表されました

地球の温暖化はいろいろ取り沙汰されていますが、覚悟をもって取り組まないといけない時期になっている、もう手遅れかもしれないかと感じられるこの頃、具体的には冷房をやめるなどコロナ規制どころでない強烈な対策を行うことも将来の人類のためには必要だと思っています。

参考:新聞各紙(朝日、産経、毎日)

令和5年9月 【今田 美貴男】

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