コラム

社員の化学日記 −第182話 「染めたい」−

共有結合 互いに電子を出し合い、電子対を共有することによって得られる非常に安定な結合である。

結合には、ファンデルワールス結合、水素結合、イオン結合、配位結合など様々な種類があるが、共有結合>配位結合>イオン結合>水素結合>ファンデルワールス結合との順で共有結合が一番結合力が強い。

最近、日差しの強い日が続く、こうなってくると洗濯した服が天日干しだと色あせてしまう。気づけば、黒色の服がだんだんと色あせてきていた。そこで、一度染めてみようと思った。

そして普段行かない手芸屋へ、思っていたより種類があり何が適切なのかわからないため、有名なEU産をチョイス。反応染料というやつだった。

反応染料は繊維と染料との共有結合により染色するため結合が強く色落ちしにくいらしい。 また、化学反応促進のためアルカリ剤が必要みたいで最適なpHの範囲がありポリエステルは染まらないようだ。 通常ソーダ灰(炭酸ナトリウム)などを使用するらしいが、説明書には塩を使用するように記載されていた。塩は中性ではと思ったが、食塩にはにがり(塩化マグネシウム)や炭酸マグネシウムなど純粋な塩化ナトリウムではない。カリウム、カルシウム、よう素、マグネシウム、りん、鉄、硫黄などミネラルと呼ばれるものが含まれているため濃度が濃い食塩水はアルカリ性を示すようだ。

とりあえず実践だ。染料をお湯で溶かし、食塩水と混ぜ衣類をつける。時々混ぜながら1時間ほど漬け続ける。 手袋をしていなかったので、手が真っ青。(手袋付けろよ!!)。 いい感じに染まっているよう見える。きちんと共有結合してくれたかな?それは、濯いで乾燥後のお楽しみだ。

そして染料の説明書を確認すると液性:アルカリ性との記載あり、染料そのものにアルカリ剤が含まれていたようだ。 塩はなぜ必要だったのだろうか?EU製の為、日本の水道水をEU諸国の硬水(アルカリ性、Ca,Mg等を多く含む)に近づけるためなのかな?と思ったが、どうやら染料の水への溶解度を下げるために必要なようだ。

そして肝心の仕上がりは、思っていた様に染まってくれていない。衣服の素材を確認すると、生地ポリエステルじゃないか。共有結合で、強力に染めれると思ったが、事前の確認は大事だと思い知った。

【白色林檎(ペンネーム)】

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