野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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6  酢・レモン(疲労回復と健康増進に)
 疲れると、よくすっぱいものが食べたくなります。疲労回復にすっぱいものがよいというのは、何千年も昔から人間の体が知っていた智恵。酢が作られる以前、酸味はおそらく柑橘類からとられていたに違いありません。古くから医療用に用いられていたレモンはその代表格といえるでしょう。レモンなどの柑橘類のすっぱさの主な成分は、クエン酸といわれるもので、これが疲労回復に役立つのです。ですから、酢の場合も、ただすっぱければよいといって、合成酢を用いても効果はありません。クエン酸が生かされた果実酢や醸造酢でなければいけないのです。
〔効用〕
 クエン酸は乳酸などの老廃物を作らずに体内でエネルギー源となるばかりか、血液を酸性にして体を不健康にする乳酸、焦性ブドウ糖を解消し、筋肉や関節にたまった老廃物を洗い出してしまう働きをします。さらに、レモンの場合は大量のビタミンCがカゼを予防し、血管を丈夫にするビタミンPや、塩分を排出するカリウムを含んでいます。クエン酸の多い酢を常用すれば、疲労回復はもちろん、肩凝り、神経痛、通風、心臓病、高血圧、動脈硬化、肝臓病によいとされ、温めた酢に10-15分つけると水虫にも良いと言われています。これは酢の驚くべき殺菌効果によるもので、生魚などを酢でしめるのも、風味以上に殺菌効果を期待してのことです。
〈用い方〉
 酢の適量は1日に54ミリリットル。食間に2-3回に分けて飲むのがよいとされています。数日飲んだだけでも、尿の濁りがなくなるなどの効果は見られますが、せめて1カ月は続けたいものです。レモンはビタミン類とクエン酸の相乗効果を求めて、カゼ薬としても、古くから知られています。
 
【酢水の作り方】
カップ1杯の水に酢大さじ1強を加えて飲むようにすれば、それほど飲みにくいものではありません。
 
【レモンウイスキーの作り方】
レモン汁2分の1個分にウイスキー30ミリリットル、砂糖小さじ1を混ぜ合わせてグラスに入れ.、炭酸水で割って飲みます。
〔効用〕食前酒として食欲を増進させ、初期のカゼや不眠症にも有効です。
 
【酢卵の作り方】
〈材料〉卵1個、醸造酢カップ1
〈作り方〉卵はきれいに洗っておきます。醸造酢をジャムやマヨネーズなどのふたのできるびんに入れ、卵を割らずに入れて3日間冷蔵庫に保存しておきます。3日目には殻が溶けて、薄皮だけになりますから、薄皮を取り去ってよくかき混ぜ、冷蔵庫に保存してください。
〈用い方〉飲む時はこの原液を6分の1ほどコップにとり、水で薄めます。飲みにくいときはハチミツ大さじ1を加えてください。高血圧、動脈硬化、糖尿病、心臓病、肝臓病、肩こりなどの人におすすめします。
〔注意〕
 酢は大きく分けて、かす酢、米酢、ブドウ酢、リンゴ酢、麦芽酢などの醸造酢と氷酢酸をベースにした合成酢があります。レモンと同様の効果はリンゴ酢、ブドウ酢などに期待できますが、レモンに含まれているビタミン、カリウムなどはほとんどありません。レモンと酢では、酢のほうが刺激が強く感じられますが、実際の酸度はレモンの方が強く、酢はレモンの約2分の1なのです。レモンの酸味の柔らかさが、紅茶や、強いウィスキー、ジンなどに用いられていて、風味を増す秘密になっているといえましょう。