野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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5  山芋(精力を強め、胃腸に良い)
 山芋といえば、すぐ思い浮かぶのはとろろ飯。つるつると入って、お腹がいっぱいになっても、いつの間にか消化され、胃腸の弱い人でも食べ過ぎてお腹をこわす事はありません。これは山芋に含まれているジアスターゼなどの酵素の働きによるものです。
〔効用〕
 山芋には消化を助ける酵素の他に、コンフリーなどに含まれているアラントインがあり、喘息、胃潰瘍、十二指腸潰瘍にも良い食品です。又、細胞の新陳代謝の増殖などの生活機能や神経細胞に欠かせないアルギニンを植物中の中でも最も多く含んでいるところから、精力増進にも有効とされています。
〈用い方〉
 デンプンは加熱しないと消化が悪いというのが通説ですが、山芋だけは、むしろ生の方が消化が良いという変わった性質を持っています。漢方では、山芋を乾燥したものを山薬(さんやく)といって、八味地黄丸(はちみじおうがん)や蒲公英湯(ほこうえいとう)の処方に加えています。漢方の処方ではありませんが、山薬を粉末にして、生卵と練り合わせたものを、毎日2-3回服用すると寝汗、虚弱体質、精力増進に良いといわれます。
 
【山芋の胃薬の作り方】
〈材料〉山芋(長芋でもよい)
〈作り方〉山芋をよく洗い、すりおろしたまま、陰干しで乾燥させ、粉末にします。湿気ないようにびんに入れて保存します。
〈用い方〉最初の3日間は1日5回、1回に2グラム用い、4日目以降は1日3回2グラムずつ用います。これを1ヶ月続けると良いのですが、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の自覚症状は、7日以内に消えるでしょう。胃酸過多症、低酸症にも効果があります。これは、山芋の胃薬が酸とアルカリに結合度が強く、胃液の中に含まれているペプシンという消化酵素を吸着する力をもっているからでしょう。