野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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3  大根(消化酵素の働きとカゼの予防に)
 大根は、アブラナ科植物に属し、原産は地中海沿岸とも、コーカサス南部ともいわれていますが、わが国では仁徳天皇のころには既に栽培されていたということです。大根の消化酵素の働きは強く、刺し身などと一緒に食べても中毒を起こさない、つまり何と一緒でも当たらないというところから、下手で、何をやってもが当たらない俳優を大根役者と呼ぶようになったとか。いわば、この呼び名は大根の薬効のシンボルのようなものといえるでしょう。
〔効用〕
 大根はビタミンが多いというのも一つの特徴ですが、Cは葉の部分に特に多いことで知られています。また腸の中で、ビタミンB群やKを作る有益細菌を培養したり、異常発酵を防ぐ作用をします。下痢や便秘の人によく、老化現象を予防するといわれるのは、こうした働きによるのでしょう。大根が消化によいといわれるのは多種類の有益な酵素のためなのですが、中でもデンプン分解酵素のジアスターゼとタンパク分解酵素のアミラーゼ、エステラーゼが知られています。肉や魚、もちなどの薬味に大根おろしが用いられるのも、こうした酵素の働きを期待してのことなのでしょう。
〈用い方〉
 夏ミカンと同じぐらいの量が含まれているビタミンCを効果的に食べるには、生食できる大根おろしが有効です。ビタミンCは、細胞と細胞を強く結び付ける働きがあり、カゼなどのウイルスの力を弱めるのにも有効だといわれています。この効果を生かす民間薬として、昔から利用されてきたのが、大根あめで、カゼにも、セキもよく効きます。
 
【大根あめの作り方】
〈材料〉大根半本、ハチミツ60グラム
〈作り方〉大根をさいの目切りにして広口びんに入れ、ハチミツをかけておきます。2-3日放置すると、大根の成分がハチミツにしみ出していきます。大根あめはこのハチミツのことなのです。
〈用い方〉1回に茶さじ8分目ほどをなめます。セキ止めによく効きます。
〔選び方のコツ〕
 大根は手に持って、ずっしりと重く、たたいて、ポンポン音のしないものが良質でスの入っていない証拠です。