野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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2  アロエ(胃腸のトラブルにも、細菌の毒素にも強い)
 肉の厚いトゲのある葉が特徴のアロエは、ユリ科の多年性植物。地中海沿岸からアフリカ一帯が原産地で、紀元前2000年の昔から薬効が知られていたという薬草です。わが国では、江戸時代から広く薬用に使われ、「医者いらず」とも呼ばれて、観賞を兼ねて親しまれてきました。
〔効用〕
 アロエの効力の第一に挙げられるのは胃腸のトラブルに対してです。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食欲不振、胃弱などに卓効を示しています。さらに、喘息の咳込み、ウィルス性のカゼ、おたふくカゼ、高血圧、低血圧、糖尿病、神経痛にもよいとされています。また、飲んだり、食べたりするばかりでなく、外用薬つまり、つけ薬としても知られていて、水ぼうそう、中耳炎、口内炎、水虫、歯痛、やけどなどにも用いられます。アロエの効用がこれほどに高いのは、アロインとアロエエモジンという有効成分が細菌の発育を阻止したり、殺す働きをするからだといわれていますが、そればかりでなく、細菌が出す毒素を中和する働きもあるのです。また、アロエの有効性分は皮膚や粘膜にしみとおりやすいので、傷を治すのによいところから、外傷薬としても用いられてきたのでしょう。
〈用い方〉
 アロエには独特の苦みがあって、決して食べやすいものではありません。そのために、すりおろしたり、煎じたりして用いられますが、慣れてくれば、トゲの部分を切り落として、生でかじったり、サラダにすることもできるでしょう。成分の強いものですから、あまり食べ過ぎてはいけません。すりおろしたアロエで1日にさかずき1杯が適量というところです。強い効果が望まれるときは食前の空腹時に、刺激を弱めたい人は、食後に用いるとよいでしょう。子供など、苦みが強くて飲めない場合は、ハチミツなどを加えてもよいのです。外用薬として利用するときには、皮をむいてからすりおろして、痛むところへつけます。皮ごとおろしたものは、傷にしみて痛いのです。
 
【アロエ薬の作り方】
〈材料〉アロエの生葉
〈作り方〉トゲを取り去った生葉を、おろし金でおろして使います。量は1日さかずき1杯が適量。なるべく、その都度すりおろして、新鮮なうちに飲むようにします。おろし金を使わずに、ジューサーにかけても構いません。この場合、葉の繊維分は用いずに、汁だけを飲む方法もあります。もちろんカスのようになった青い部分も全部食べてしまっても構いません。
 
【アロエの粉末の作り方】
〈材料〉アロエの生葉
〈作り方〉よく洗った生葉を、トゲ、皮などをとらずに、2-3ミリの厚さに刻みます。これをすだれや金網などに重ならないように広げて日に干しにします。カラカラに乾いたら、葉を乳鉢に入れて乳棒で細かくすりつぶしてできあがりです。
〈用い方〉1回分は小さじ約3分の1、1日2-3回。湿気ない所で保存します。
 
【アロエの煎じ薬】
〈材料〉アロエの生葉30グラム、水
〈作り方〉アロエの生葉をよく刻んで、30ミリリットルの水で約30分間煎じてから布でこして液をとります。
〈用い方〉上の液が1日分で1日3-4回に分けて用います。常習の便秘などにはよく効きます。
 
【アロエの外用薬の作り方】
 アロエ薬をそのまま用いてもよいのですが、皮を取り除いてないものは傷にしみて痛いので、皮をむいてからすりおろします。おろしたものを布などに包み、絞りとった水分だけを塗るようにすれば、子供でも痛がるようなことはありません。傷口につけるような場合は、ガーゼにつけて1日に2-3回取り換えるようにします。水虫、軽いやけどに効果的です。口内炎、中耳炎には、綿棒の先にアロエの汁をつけて、1日4-5回塗ります。
 
【アロエのはり薬の作り方】
〈材料〉肉厚のアロエの生葉
〈作り方〉アロエの生葉のまわりを削りとって内部の白いゼリー状の部分を残します。
〈用い方〉傷口や患部にゼリー状の部分を貼り付けラップで覆います。さらに包帯で押さえますが、ゼリー状のアロエの水分がなくなったら取り替えます。やけど、打ち身、切り傷、歯痛の痛み止め、熱取りに有効。歯痛はほおにはります。
 
【アロエ酒の作り方】
〈材料〉35度のホワイトリカーと同量のアロエの煎じ汁、適量の砂糖
〈作り方〉アロエの煎じ汁とホワイトリカーを容器に入れ、砂糖を加えてよく混ぜ、密閉します。冷蔵庫に入れて15日おけば飲みごろになります。
〈用い方〉アロエの効果を即効的に利用するよい方法です。打ち身、切り傷、はれものには湿布にして用います。
 
【浴剤として用いる場合】
 アロエを細かく切って木綿袋に入れ、浴槽に浸してアロエ風呂にすると、肌をなめらかにする効果があります。
〔注意〕
 アロエは通経剤としても用いられるものなどで、妊娠中の女性の服用はお勧めできません。またアロエの絞り汁を薄めたものを目薬として用いる人がありますが、この場合は蒸留水など、純水に近い清潔な水を用いることが大切です。
〔選び方のコツ〕
 園芸店などで選ぶときは、害虫のついていない、青々とした葉のものを選ぶのがコツです。健康食品店などでアロエの粉末を入手することもできます。