野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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22  里芋(便秘予防と湿布薬)
 里芋は山の芋に対して里の芋といった意味からつけられた名称です。南洋のタロイモと同じグループで、メラネシアやミクロネシアの島々では広く自生しています。日本は気候風土が里芋とよく合っていたため、古来、畑作物の代表的なものとされ、万葉集にも登場しています。
〔効用〕
 里芋は柔らかな繊維が多いので、便秘予防に役立ちます。里芋は20%程度の糖質とビタミン類、わずかながら良質のタンパク質を持っていて、カルシウムも100グラム中14ミリグラムあり、アルカリ性食品に数えられています。しかし、里芋の薬効は食べることに限らず、皮を煎じたり、湿布にしたりと広い範囲にわたっているのが特徴です。煎じた皮を飲むと神経痛によく、芋の汁はハチや毒虫に刺されたときに効果があります。タン、セキ、ウミの出る病気にはよくありませんが、逆に腫れ物の口がなかなか開かないような時に食べると、化膿を促進してウミを出すことになります。ずいきの煎じ汁は、下痢を止めるのに有効とされています。里芋の薬効の首位にに挙げられるのは熱をとり、腫れを取るための湿布薬としての効果でしょう。ひざ、ひじ、手足の指などの関節炎、耳下腺炎、肋膜炎、カリエス、腎臓炎、扁桃炎、打ち身、捻挫、リュウマチなどに卓効があります。
 
【湿布用芋薬の作り方】
〈材料〉おろした里芋半カップ、小麦粉半カップ、おろしたひねしょうが小さじ1杯
〈作り方〉里芋の皮を厚めにむいて、おろし金でおろして小麦粉を加え、おろししょうがを合わせて、よく混ぜ、練り合わせます。ふつう水を加えずに、里芋の水分で充分に練ることができるものです。
〈用い方〉丈夫な和紙かネルの布に5ミリ程度の厚さに伸ばして患部にはります。皮膚の弱い人は皮膚がかぶれることがありますが、そんな場合は皮膚の上に薄い木綿布を1枚置いてからはるか、芋薬にゴマ油を10滴ほど混ぜて作れば、かぶれずに用いることができます。しょうが多くてヒリヒリする場合は、量を減らしてください。1日2〜3回はり替えますが、冬期は芋薬が冷たくて、ひやりとしますから、布に伸ばした芋薬を少しあぶってからはるようにするとよいでしょう。芋薬の効力ははってから5〜6時間でなくなりますから、はいで交換します。はいだあとは温湯でよくふいて、皮膚にくっついている芋薬を完全にとるようにします。次の芋薬をはるまでまで、約1時間皮膚を休めるようにします。休みなしで連続してはると皮膚がかぶれることがあるからです。はった芋薬が体温で乾いて、皮膚にくっつき、痛くてはがれないときは、濡れたタオルで湿らせると簡単に取れます。
〔メモ〕
 少し手間ですが、芋薬をはる前にしょうが湯で患部を湿布すると効果がさらに上がります。しょうが湯は洗面器を火にかけ湯を沸かしたら、おろししょうがを小さなさかずき1杯分、布袋に入れてふりだして作ります。この湯にタオルをつけてかたく絞ったもので湿布します。ぬるくなったら、熱いのと取り替えて、数回行います。冬期は患者にカゼをひかせないように、室内を暖かくして行うことが大切です。