野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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16  いちじく(タンパク質分解酵素の不思議な働き)
 イチジクは、クワ科で地中海沿岸地方が原産、わが国には江戸時代に渡ってきたといわれています。甘みがあって、おいしい果物ですが、貯蔵性がなく、長距離輸送にも耐えられないところから、市場性は広くありません。しかし、北海道を除く全国で栽培され、親しまれている果物です。
〔効用〕
 いちじくの栄養成分はブドウ糖、果糖が主で、クエン酸、リンゴ酸、ビタミン、ミネラルも少しずつ含まれていますが、特徴としてあげるとすれば、フイシンというタンパク質分解酵素で、アカ、老廃物、病的細胞を除去、分解する作用があります。このため、うおのめ、いぼ、痔、便秘などに効果があります。また、脂肪分解酵素も含まれているため、食後のデザートに用いると消化をよくする働きもあります。
〈用い方〉
 痔や便秘にはいちじくの実を毎日2〜3個食べるとよく効きますが、食べ過ぎると下痢をすることがあります。タンパク質分解酵素のフイシンは葉と若い果実に多く含まれているので、民間薬として利用するにはこの部分が最適です。
 
【つけ薬として利用する場合】
 いちじくの葉や若い果実をもいだときに出る白い乳のような汁を患部にすり込みます。つけたときにヒリヒリしみるのは、フイシンの作用で、皮膚の表面の細胞が溶けているのです。
 
【浴剤として利用する場合】
 いちじくの葉を数枚浴槽に浮かべて入浴すると、皮膚を美しくするばかりか、血行を良くし、体を温める効果があります。
 
【民間薬として食用にする場合】
 そのまま生で食べてもよいのですが、フイシンの効果を高めるためには若い果実をゆっくりと弱火で煮込むなどして食べるのがよいでしょう。いちじくを煮るときは、よく洗って皮は薄くむくのがコツです。水はヒタヒタに入れて、後はいちじくから出る水分で煮るのが良いのです。味付けにはハチミツ、砂糖など甘いものが合います。