野草と野菜
(卓効のある野草と健康野菜)


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13  くこ(強壮、内臓の弱い人に)
 くこは川原や土手などに野生している高さ1〜2メートルの落陽灌木で、ナス科の植物。茎には細長い筋があって、トゲがあります。葉は2〜4センチの長さで、トウガラシに似たつやのないものです。夏に、淡紫色の小さな花を咲かせ、秋には真っ赤な実をつけます。生命力が強くて、秋が過ぎ、霜が降りて他の植物の葉が枯れ落ちても、まだ青々と茂っているという具合いです。
〔効用〕
 『本草網目』によれば「枸杞(くこ)は熱をとる性質を持っており、体内にこもる邪気や邪熱を払い、のどのかわく糖尿病やリュウマチ、神経痛のような痛み、しびれる病気に効能がある。常飲すれば筋肉が強くなり、全身爽快になって老を知らず、寒暑に耐えられるようになる。胸脇の熱を去り、大小腸の機能を高める。腎の精気が補われるから顔色がよくなって、視力が明らかになり、神気が整ってきて、長寿を得さしめる」ということです。漢方では春の若葉を摘んだものを天精子、夏の花をとって長生といい、秋の果実を枸杞子といいます。また、冬には根を掘り出して地根皮と呼び、いずれも珍重されています。特に枸杞子にはベタインという成分が多く、これが肝臓を強くする働きをします。
〈用い方〉漢方薬風な用い方に限るわけではありません。若葉はゆでて、おしたしやごまあえにできますし、ご飯に混ぜ込めばくこ飯になります。くこ茶は長寿の茶として、あまりにも有名ですが、これはくこの葉を用いています。くこの実でで作るくこ酒は精力増強、疲労回復に卓効があります。健胃、強心の作用もあって、理想的な薬酒と考えられています。
 
【くこ飯の作り方】
 ひとつかみほどのくこの若葉を水で洗ってサッと塩ゆでして水をきり、細かく刻んで、炊きあがったご飯に混ぜ合わせます。くこ飯はクセがなく、子供にも食べやすいので、晩春の家庭の行事食として、毎年同じような時期に一度は食べることになさってはいかがでしょうか。
 
【くこ茶の作り方】
 春から初夏のくこの若葉を摘むのが理想的です。この葉は流水でよく洗って、水をきったら、湯気の立った蒸し器に入れてへ2〜3分蒸します。蒸し終わった葉は、さめてから3mmに刻んで、ふきんに包んでよく絞ります。こうして、アクをとるのがコツなのです。絞り終わったら、ザルに広げて乾燥させます。晴れた日なら直射日光に1日当てれば充分、曇天なら2〜3日といったところです。出来上がったら、湿けないように、保存します。
〈用い方〉
 保健や健康増進に用いるなら、番茶と同様に入れて、お茶がわりにするのが、手軽で効果的な使い方です。病気を治そうという目的で飲むなら、ちょっと手がかかりますが、土瓶かホウロウ鍋に、乾燥したくこの葉を、大さじ山盛り2と水2カップを入れ、半量になるまで煎じます。1日3〜4回に分けて、その都度温めて飲むようにします。
 
【くこ酒の作り方】
〈材料〉よく熟した生のくこの実500グラム(健康食品店などで入手できる干したくこの実なら200グラム)、ホワイトリカー1.8リットル
〈作り方〉くこの実を水洗いして、水けをふき、熱湯消毒した広口びんに入れ、ホワイトリカーを注いで密閉します。約2カ月間冷暗所に保存すれば飲みごろになります。
〈用い方〉1日に1〜2杯。夕食前に飲むようにするとよいでしょう。